モラヴィア地方生まれのピアニスト、
アルフレード・ブレンデル
(Alfred Brendel, 1931.1- )の演奏で、
オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト(Franz Schibert, 1797.1-1828.11)の
ピアノ作品集を聴きました。
7枚組CDの2枚目で、
ピアノ・ソナタ
第14番 イ短調 D784 ※3楽章
第15番 ハ長調 D840《レリーク》※2楽章
第16番 イ短調 D845 ※4楽章
の3曲が収録されています。
CD2
①ピアノ・ソナタ(第14番)イ短調 D784(op.post.143)
②ピアノ・ソナタ(第15番)ハ長調 D840《レリーク》
③ピアノ・ソナタ(第16番)イ短調 D845(op.42)
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
録音:1972年(第14・15番)、1975年(第16番)
【Eloquence 480 1218】2008年発売
シューベルト22歳の時、
1819年7月に作曲された
ピアノ・ソナタ(第13番) イ長調 D.664
から4年をへて、
26歳の時、
1823年2月に作曲されたのが、
①ピアノ・ソナタ(第14番)イ短調 D784(op.post.143)※3楽章
28歳の時、
1825年4月に作曲されたのが、未完の大作
②ピアノ・ソナタ(第15番)ハ長調 D840《レリーク》 ※2楽章
同年5月頃に作曲されたのが、
③ピアノ・ソナタ(第16番)イ短調 D845(op.42)※4楽章
です。
作曲者本人のなかでは、
第16番のソナタが画期になっていたようで、
作曲後、間もなく出版された初版譜には
「グランド・ソナタ 第1番」と題されていたそうです。
※作品番号等の分類については、便宜的に、音楽之友社編『作曲家別 名曲解説ライブラリー17 シューベルト』(音楽之友社、1994年11月)の記述に従いました(「ピアノソナタ 総説」の執筆は平野昭氏)。
2枚目は名曲揃いです。
このうち真ん中に収録されている
②第15番ハ長調 D840《レリーク》
は、未完の2楽章の作品で、
自らの心の奥底に向かって
どこまでも沈み込んでいるうちに、
収拾がつかなくなったような作品です。
構成面は弱いのですが、
部分部分の危うい美しさは捨てがたく、
独特の魅力に惹き込まれました。
残りの2曲、
①第14番イ短調 D784 ※3楽章
③第16番イ短調 D845 ※4楽章
はどちらも完成度の高い、
良くまとまった作品です。
小柄で品のよい感じの14番に対して、
16番は一つの殻を破った感じの規模の大きな作品で、
特に緩徐楽章はベートーヴェンの後期のソナタを聴いているかのようでした。
CDで聴くと、未完の作品を間にはさむので、
ソナタ3曲の切れ目がわかりにくくなる欠点はあるのですが、
それなりに聴き込むと、
作曲家としての変化の過程を知られる1枚として興味深かったです。
ブレンデルのピアノは、
ベートーヴェンだと踏み込み不足や線の細さを感じてしまうのですが、
シューベルトでは不思議と、
楽譜の自然な魅力をそのまま引き出した
過不足のない演奏に聴こえます。
ひと月ほど聴き込みましたので、
そろそろ次の1枚に進みたいと思います。
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