イスラエルの指揮者
ガリー・ベルティーニ
(Gary Bertini, 1927年5月-2005年3月)の指揮する
東京都交響楽団の演奏で、
オーストリア帝国の作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第4番ト長調と、歌曲集《亡き子を偲ぶ歌》を聴きました。
指揮者49歳の時(1985年10月)の録音です。
交響曲の独唱者(ソプラノ)は
森麻季(もりまき 1970年8月- )、
歌曲集の独唱者(バスバリトン)は
クラウス・メルテンス(Klaus Mertens, 1949年3月- )でした。
グスタフ・マーラー
①交響曲第4番ト長調《大いなる歓びへの賛歌》
②歌曲集《亡き子を偲ぶ歌》
ガリー・ベルティーニ指揮
東京都交響楽団
矢部達哉(ヴァイオリン)
森麻季(ソプラノ)
クラウス・メルテンス(バス・バリトン)
録音:2002年11月24日、横浜みなとみらいホール
【FOCD9189】2003年7月発売。
交響曲第4番ト長調は、
マーラー41歳の時(1901年11月)に初演された作品です。
《亡き子を偲ぶ歌》は、
マーラー44歳の時(1905年1月)に初演された作品です。
マーラーの第4番、
最近まとめて聴き直していますが、
バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの旧録音は、
マーラーの分裂気質なところを強調していて、
面白いけれども多少落ち着かない演奏で、
それほど感動はしませんでした。
インバル&フランクフルト放送響は、
しっとりと歌わせるオーソドックスな演奏で、
滅多に聴けないレベルの優秀録音も心地よく、
繰り返し聴き込みたい1枚となりました。
家の中を探してみると、昔買った
ベルティーニ&都響のCDがみつかりました。
あまり記憶に残っていなかったので
今回聴き直してみたところ、
心にじんわり響いて来る
感動的な演奏が繰り広げられて、
嬉しい驚きでした。
前2者と比べると、
聴こえて欲しいところはちゃんと聴こえるのですが、
最弱音が少しこもった感じになっていて、
一昔前の国内のライブ録音にありがちな、
不満の残る音質でした。
しかし演奏は素晴らしいです。
ブルーノ・ワルターのように
叙情性を旨とした演奏ですが、
ワルターよりはもっと洗練された印象があります。
インバルの落ち着いた演奏よりは、
テンポをいろいろ動かしているのですが、
インバルより全体的に軽めの印象で、
しかしここぞというところでは深い印象を残していました。
とくに絶品なのは第3楽章で、
誰の指揮で聴いても退屈になりがちな楽章なのですが、
次の第5番のアダージェットを聴くのと変わらない感覚で、
自然な流れのなかに全体を感動的に聴き通すことができました。
ベルティーニ&都響のマーラー、
第6番《悲劇的》と第7番《夜の歌》も持っていたので、
今回聴き直してみたのですが、
第4番より編成が大きくなるからか、
いっそうぼやけた感じの音質で、
細部を聴き取れないもどかしさがかなりあって、
聴き通すのがつらい演奏でした。
第4番は、
この2曲(第6・7番)と比べれば
ずっと聴き取りやすいのですが、
インバルはもとより、
バーンスタインの旧盤と比べても
多少劣る音質のように感じました。
《亡き子を偲ぶ歌》は、
他と比較できるほど聴き込んでいませんが、
先日聴いたフェリアーの名唱に聴き劣りしない優れた歌唱で、
だんだんこの曲の良さがわかってきました。
第4交響曲よりも、
曲としてのまとまりはすぐれているように感じています。
※音楽之友社編『マーラー』(音楽之友社〔作曲家別名曲解説ライブラリー1〕1992年9月)を参照。
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