チェコスロバキア共和国(現・チェコ共和国)
モラヴィア地方生まれのピアニスト、
アルフレード・ブレンデル
(Alfred Brendel, 1931年1月- )が、
40代前半の時(1971-74年)に録音した
オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert, 1797年1月 - 1828年11月)の
ピアノ作品集の7枚目(最後の1枚)を聴きました。
シューベルト:ピアノ作品集
CD7
①幻想曲ハ長調 作品15《さすらい人》 D760(1972年録音)
②楽興の時 作品94 D780(1972年録音)
③12のドイツ舞曲(レントラー)D790(1972年録音)
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
【Eloquence 480 1218】※2008年発売
①《さすらい人幻想曲》作品15 は、
シューベルト25歳の時(1822)に作曲、出版された作品です。
4楽章からなる作品ですが、続けて演奏されます。
リストがピアノ・ソナタを作曲する際に、
大きな影響を受けたといわれれば、
何となく似ていることに気がつかされます。
リストによる《さすらい人幻想曲》の
ピアノ協奏曲への編曲版もあるそうなので、
いずれ聴いてみようと思います。
若々しい印象の作品なので、
最後の作品群のなかに混ぜられると場違いな感じもしますが、
充実した内容のよく出来た作品だと思います。
②《楽興の時》作品94 は、
26から31歳(1823-28)までに作曲された作品です。
即興曲よりもさらに色々な様式の小品を6曲。
一見無造作に、
しかし絶妙なバランスでまとめられていて、
小さな歌曲集を聴くような趣きがありました。
第3番が突出して有名ですが、
6曲全体として不思議な統一感を醸し出しているようにも聴こえたので、
ほかのピアニストの演奏も聴いてみたいと思いました。
③ 12のドイツ舞曲(レントラー) D790 は、
26歳の時(1823年5月)に作曲された作品です。
調べてみると、シューベルトは
ピアノによる舞曲集を他にもたくさん残しているのですが、
その中でも良くできた1曲のようで、
かのコルトーを始めとして録音がいろいろ見つかりました。
シューベルトの舞曲は、
今一つ霊感に乏しい軽めのものが多い印象だったので、
隠れた名曲に出会えた気がしました。
ソナタだけでは寂しいので、
今後は舞曲集にも注目していきたいと思います。
***
ブレンデルのシューベルト、
無色透明、純粋無垢な路線で、
一聴ほんの少し押しが足りないような、
没個性的な印象を受けるのですが、
聴き込むほどに、
曲本来の美しさが伝わって来て、
シューベルトの面白さをじっくり味わうことが出来ました。
ただし、
ある程度聴き込まなければ、
良さが伝わりにくい面もあるので、
これがシューベルトのベスト演奏かといわれれば、
私の好みとは違うような気もします。
ブレンデルは15年程をへた
50代後半(1987-88年)のときに、
これらの曲を再録音しているので、
そちらを聴けば、今回の不満が解消されている可能性は高いですが、
それはもう少し先の楽しみに取っておきます。
最近、
ウィーン生まれのピアニスト
パウル・バドゥラ=スコダ
(Paul Badura-Skoda, 1927年10月6日- )が
39-43歳の時(1967年5月-71年5月)に録音した、
シューベルトのピアノ・ソナタ全集を手に入れたので、
次はこちらを聴いていこうと思っています。
ブレンデルよりずっと前の録音かと思っていたら、
ブレンデルより3年歳上なだけで、
録音もほぼ同じ時期であることがわかりました。
どちらかというと、ブレンデル以上に、
シューベルトの演奏に生涯を捧げているピアニストなので、
期待して聴いてみたいと思います。
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