イスラエルの指揮者
エリアフ・インバル(Eliahu Inbal, 1936年2月- )
の指揮する
ドイツのオーケストラ
フランクフルト放送交響楽団
(2005年にhr交響楽団に改称)の演奏で、
オーストリア帝国の作曲家
アントン・ブルックナー
(Anton Bruckner, 1824年9月4日-1896年10月11日)の
交響曲第0番 ニ短調 を聴きました。
指揮者53歳の時(1990年1月)の録音です。
CD2
ブルックナー
交響曲第0番ニ短調 WAB100 [ノヴァーク版]
フランクフルト放送交響楽団
エリアフ・インバル(指揮)
録音:1990年1月。フランクフルト、アルテ・オーパー
【TELDEC 11CD 2564 68022-8】※2014年4月発売
交響曲 第0番 ニ短調 は、
ブルックナーが44歳の時、
1869年1月から9月にかけて作曲され、
45歳を迎えて間もなくの同(1869)年9月12日に完成されました。
第1番ヘ短調 は
42歳の時(1866年4月)に完成し、
44歳の時(1868年)に初演。
第2番ハ短調 は、
48歳の時(72年9月)に完成され、
49歳の時(73年10月)に初演されているので、
第0番は本来、
第1番につづく第2番として作曲されたことがわかります。
ウィーン・フィルの指揮者
オットー・デッソフ(Otto Dessoff, 1835-92)
に意見を求めたところ否定的な評価を受けたため、
そのまま撤回された作品です。
全曲初演はブルックナーの没後、
27年をへた1924年5月に行われました。
出版譜は「ヴェス版」と「ノヴァーク版」の2種類あります。
1924年にオーストリアの作曲家
ヨーゼフ・ヴェス(Josef Wöss, 1863-1943)
によって「初版」が出版されました。
そののち、ハース版(旧全集)に同曲は収録されず、
1968年にノヴァーク版(新全集)の総譜が出版されました。
完成後そのまま封印された作品なので、
のちの多くの交響曲のように、
複数の稿の問題に頭を悩まされることはありません。
※ 根岸一美著『作曲家◎人と作品シリーズ ブルックナー』(音楽之友社、2006年6月)と、Wikipedia の「交響曲ヘ短調(ブルックナー)」の項目を参照。
***
第00番に続いて第0番も聴いてみました。
こちらも今回初めて聴きました。
第00番がいかにも習作といった感じの作品だったので、
第0番も似たようなものかと思ったのですが、
実際に聴いてみると、
第1番や第2番と同じレベルか、
聴き慣れていない分、より充実した内容の作品に聴こえました。
驚いて調べてみると、第0番というものの、
第1番より後、第2番より前に書かれた
「第1.5番」というべき作品であったことがわかりました。
初めて聴いたからか、
第1番や第2番よりも新鮮な驚きがあって、
感動のもと全曲を聴き終えることができました。
初期の交響曲に聴かれる
絶品の Adagio がもう1曲増えた喜びも大きいのですが、
初期の交響曲について、
(改訂の施されていない)初稿のままの状態でも、
十分に完成度の高い作品であったことがわかった点も大きいです。
第1番と第2番も、
初稿のままならどんな風に聴こえるのか、
興味が出て来ました。
第1番については
ハース版にせよ、ノヴァーク版にせよ、
すでに第1稿(リンツ稿)にもとづいて出版されているのですが、
第2番はハース版でも、ノヴァーク版でも、
第1稿(1872年稿)は出版されなかったので、
キャラガン版が公にされるまでは耳にする機会がありませんでした。
今後、交響曲第3番に進む前に、
キャラガン校訂の第1稿(1872年鋼)で、
第2番の演奏を聴いてみたいと思っています。
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