2018年1月22日月曜日

朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲第3番(2000年7月録音)

朝比奈隆(1908年7月9日-2001年12月)氏が亡くなる前の年に、
大阪フィルハーモニー交響楽団とともに収録された

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
交響曲全集から、第3番を聴きました。

朝比奈隆91・92歳の時(2000年7月8・23日)の録音です


ベートーヴェン
Disc1
①交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
~2000年7月8日 大阪、ザ・シンフォニーホール

Disc2
②交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
~2000年7月23日 東京、サントリーホール
【OVCL-00026】※2000年10月発売

交響曲第3番は、
ベートーヴェン34歳の時(1805年4月)に初演されました


こちらは
第1番と同様にゆったりとしたテンポで、

特に第2楽章は、
間がもたなくなるくらい
ぎりぎりまでテンポを落として、全体として
スケールの大きな《英雄》が描かれています。

何気なく聴いていると、
遅めのテンポにじれったくなることもあるので、
万人向けの演奏とはいえないかもしれませんが、

はじめから朝比奈の
巨大なエロイカを聴くつもりでいれば、
大きな感動を得られる演奏だと思います。


2日間の演奏はどちらも同じスタイルですが、

わたしには、
②は木管がうしろに引っ込んでいるように聴こえ、
痒いところに手が届かない、もどかしい感じが残りました。
(特に第2楽章のオーボエ!)

もとより弦を分厚く鳴らすスタイルなので、
①でも木管が、それほどクッキリ前に出てくるわけではありませんが、
②と比べれば、細部までちゃんと聴こえてきました。

エクストンで
2008年12月に発売された全集のセット盤では、
①ではなく7月23日(②)の演奏をベースにしているのですが、
私には①のほうが良い音質のように感じられました。



あるいは実演における聴衆の反応は、
②のほうが良かったのかもしれません。

全集のセット盤で第3番(②)を聴いて、
今一つの感想をもたれた方には、少し印象の異なる
7月8日録音(①)もあることをお伝えしておきます。



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2018年1月15日月曜日

朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲第2番(2000年3月録音)

朝比奈隆(1908年7月9日-2001年12月)氏が亡くなる前年に、
大阪フィルハーモニー交響楽団とともに取り組んだ

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
交響曲全集から、第2番を聴きました。

朝比奈隆91歳の時(2000年3月)の録音です


ベートーヴェン
Disc1
①交響曲第2番ニ長調作品36
~2000年3月10日 大阪、フェスティバルホール

Disc2
②交響曲第2番ニ長調作品36
~2000年3月12日 愛知県芸術劇場
【OVCL-00019】※2000年4月発売

交響曲第2番は、
ベートーヴェン32歳の時(1803年4月)に初演された作品です

第1番と同じイメージの、
堂々としたスケールの大きな、
ゆったりとした演奏を想像していたのですが、

聴いてみると、第1番とは違って、
腰の据わらないせかせかしたテンポの演奏で、
けっこう違和感がありました。

2日間の演奏がどちらも、
先へ先へとテンポを煽って落ち着かない印象なので、

恐らく第1番との違いを際立たせるために、
指揮者が意図的にした解釈だと思いますが、

テンポを急がせるにしても、
全体的にもっさりした不揃いな感じがあって、
今一つな印象が残りました。

時間を置いて聴き直すと
印象が異なる可能性もありますが、
今の時点での感想は第1番(◎)、第2番(△)です。


エクストンで2008年12月に発売された
全集のセット盤では、3月10日(①)の演奏をベースにしています


朝比奈氏のほかの全集では、
1番と2番の描き分けがどうだったのか興味がわいてきました。
いずれ時間をとって聴き直して見ようと思います。



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2018年1月7日日曜日

朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲第1番(2000年7月録音)

朝比奈隆(1908年7月9日-2001年12月)氏が亡くなる1年前に、
大阪フィルハーモニー交響楽団とともに取り組まれた

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
交響曲全集から、第1番を聴きました。

朝比奈隆91・92歳の時(2000年7月8・21・23日)の録音です


朝比奈隆氏が、
最晩年に大阪フィルと録音した
ブルックナー選集とベートーヴェン全集は、
それ以前のものと比べて、
録音の基本スタンスが変わっているようです。

大フィルとの録音でよく聴かれた
耳にうるさく響くオケの強奏が影を潜め、
体全体を包み込むような、きめ細かい、
やわらかな音色に変わっています。

ちょうどインバル&フランクフルト放送響の
マーラー録音のような、
全体の美しさと細部の明晰さが同居した
耳に心地の良い響きで、それまでの
大フィルの録音イメージとは随分違っているのです。

それゆえ発売当初は
多少の違和感があったのですが、

少いながら私が聴いた
(朝比奈氏の)実演の記憶をたどってみると、
エクストンとの最晩年の録音のほうが、
大阪フィルの実演に近かったことを思い出し、

今回改めて1曲ずつ、
朝比奈氏最晩年の境地に浸ってみることにしました。


ベートーヴェン
Disc1
①交響曲第1番ハ長調作品21
~2000年7月8日 大阪、ザ・シンフォニーホール

◆アーカイブズ
序曲《レオノーレ》第2番作品72a
~1965年6月18日 大阪、フェスティバルホール

Disc2
②交響曲第1番ハ長調作品21
~2000年7月21日 東京、サントリーホール

③交響曲第1番ハ長調作品21
~2000年7月23日 東京、サントリーホール
【OVCL-00030】※2000年11月発売

交響曲第1番は、
ベートーヴェン29歳の時(1800年4月2日)に初演された作品です


このCDには、
ほぼ同じ時期に演奏された
第1番が3種類収録されています。

どれが一番良いのだろうと思いながら、
聴いていきました。

第1番のみ
一気に3回聴くのはさすがに飽きが来るので、
少し間隔を空けて何度か聴き直しました。

収録日が変わると、思わぬミスが出て、
印象が大きく異なることもあるはずですが、

このCDでは3種とも目立ったミスがなく、

ゆっくりめのテンポで、
気力の漲ったスケールの大きな演奏が繰り広げられていました。

どの日を選んでも、
ベト1の曲の良さを実感できる
スキのない名演で、感動を新たにしました。

エクストンで2008年12月に発売された
全集のセット盤では、7月23日(③)の演奏をベースにしていますが、

第1番の場合は、
どの日を選んでも大差のない充実した内容だと思います。




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