朝比奈隆(1908年7月9日-2001年12月)氏が亡くなる1年前に、
大阪フィルハーモニー交響楽団とともに取り組まれた
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
の交響曲全集から、第1番を聴きました。
朝比奈隆91・92歳の時(2000年7月8・21・23日)の録音です。
朝比奈隆氏が、
最晩年に大阪フィルと録音した
ブルックナー選集とベートーヴェン全集は、
それ以前のものと比べて、
録音の基本スタンスが変わっているようです。
大フィルとの録音でよく聴かれた
耳にうるさく響くオケの強奏が影を潜め、
体全体を包み込むような、きめ細かい、
やわらかな音色に変わっています。
ちょうどインバル&フランクフルト放送響の
マーラー録音のような、
全体の美しさと細部の明晰さが同居した
耳に心地の良い響きで、それまでの
大フィルの録音イメージとは随分違っているのです。
それゆえ発売当初は
多少の違和感があったのですが、
少いながら私が聴いた
(朝比奈氏の)実演の記憶をたどってみると、
エクストンとの最晩年の録音のほうが、
大阪フィルの実演に近かったことを思い出し、
今回改めて1曲ずつ、
朝比奈氏最晩年の境地に浸ってみることにしました。
ベートーヴェン
Disc1
①交響曲第1番ハ長調作品21
~2000年7月8日 大阪、ザ・シンフォニーホール
◆アーカイブズ
序曲《レオノーレ》第2番作品72a
~1965年6月18日 大阪、フェスティバルホール
Disc2
②交響曲第1番ハ長調作品21
~2000年7月21日 東京、サントリーホール
③交響曲第1番ハ長調作品21
~2000年7月23日 東京、サントリーホール
【OVCL-00030】※2000年11月発売
交響曲第1番は、
ベートーヴェン29歳の時(1800年4月2日)に初演された作品です。
このCDには、
ほぼ同じ時期に演奏された
第1番が3種類収録されています。
どれが一番良いのだろうと思いながら、
聴いていきました。
第1番のみ
一気に3回聴くのはさすがに飽きが来るので、
少し間隔を空けて何度か聴き直しました。
収録日が変わると、思わぬミスが出て、
印象が大きく異なることもあるはずですが、
このCDでは3種とも目立ったミスがなく、
ゆっくりめのテンポで、
気力の漲ったスケールの大きな演奏が繰り広げられていました。
どの日を選んでも、
ベト1の曲の良さを実感できる
スキのない名演で、感動を新たにしました。
エクストンで2008年12月に発売された
全集のセット盤では、7月23日(③)の演奏をベースにしていますが、
第1番の場合は、
どの日を選んでも大差のない充実した内容だと思います。
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