2011年9月17日土曜日

小林研一郎&チェコ・フィルのベートーヴェン:交響曲第2・5番



ベートーヴェン
交響曲第2番ニ長調作品36
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
Czech Philharmonic Orchestra
小林研一郎(指揮)
Ken-ichiro Kobayashi (conductor)

録音:2010年4月29・30日(第2番)、
  2010年11月18・19日(第5番)、
  プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール
【OVCL-00440】


コバケンさんとチェコ・フィルによる充実のベートーヴェン。

先に第1・7番を紹介しましたが、
その前に発売されたのが、第2・5番です。

今風の流行には背を向け、
現代的なオーケストラの威力を十分に発揮させ、
楽譜への音楽的な解釈だけで勝負するところが好ましいです。

チェコ・フィルの響きは、
いわゆるドイツ風の重々しいゴツゴツしたものではなく、
イギリス風ののっぺりした感じを
もう少し柔らかく、華やかにしたような、
しかしフランス風の軽やかさと比べれば、
もう少し重心を低くした感じで、

チェコ・フィル独自の個性的な響きをもっています。

私がこれまでイメージしていた
ベートーヴェンの響きとは少し違うのですが、
とても音楽的で、清新な感じがあって、
ベートーヴェンの異なった側面をみるようで、とても楽しいです。

指揮者によっては、
サラサラ通りすぎていくだけの、
あまり面白みのないベートーヴェンになっていたかもしれませんが、

円熟味を増しつつあるコバケンさんの指揮のもと、
説得力のある音楽的で充実した演奏を繰り広げています。


第2番は、オケを存分に歌わせた、
メロディの美しさにあふれた演奏です。

オケを素のままに鳴らした、というよりは、
細部までコバケンさんの意志が行き渡っており、
最近の流行に背を向けている分、
ああ、オケってこんなに美しい響きがするんだな、
と再発見するところの多い演奏でした。

第5番は、
オケのふくよかな響きと、音楽的な流れを重視する中で、
コバケンさんの強い意志の力も感じられる名演奏です。

全体の流れが滞ることはありませんが、
快速に飛ばしてしまうこともなく、
造形を大切にした「運命」です。

第2・5番ともに、
あまり誰それの路線で、と比喩できない、
コバケンさんの個性が刻印された、しかし音楽的な自然な流れを失わない名演だと思います。

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