2011年11月29日火曜日

ベルグルンド&ヘルシンキ・フィルのシベリウス:交響曲第3・4番

フィンランドの作曲家、ジャン・シベリウス
(Jean Sibelius, 1865年12月生 1957年9月没)の交響曲、
お次は第3番と第4番です。



シベリウス
交響曲第3番ハ長調op.52
交響曲第4番イ短調op.63

パーヴォ・ベルグルンド 指揮
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1987年7月(3番)
    Culture Hall, Helsinki
   1984年2月(4番)
    All Saints Church, Tooting

【EMI 7243 4 76963 2 9】


第3番は1907年9月、
シベリウス41歳のときに初演。

第4番は1911年4月、
45歳のときに初演されています。

それぞれ作曲者40代半ばまでの作品ということになります。

しかしこの第3番からは、ほんとうに
シベリウス独特の世界が描かれており、
その分、オケと指揮者ともどもに共感に満ちた演奏をするのは難しいようで、
なかなか心から感動できる演奏には出会えないものです。

その点、ベルグルンドさんと
ヘルシンキ・フィルのペアは、万全です。
この1枚もとてもよい出来だと思います。

第3番は清明な、心洗われる、
冬の晴天に明るくやわらかな光が降りそそぐような音楽。

3楽章でよくまとまっていて、
今回はじめて聴くような感動を覚えました。

第1・2番よりも、今の私の好みに合っています。


第4番は、より内向的な作品です。

これまで聴いてきた中では、一番わかりやすく、
シベリウスの心情に近づけた気がしましたが、
やはりまだ、私には少し謎なところが残りました。

また折をみて聴き返しましょう。
今回は、第3番の真価に気がつけたのが収穫です。

2011年11月26日土曜日

今井美樹 『One Night at the Chapel - Special Collection』

秋の夜長に、
今井美樹さんのライブCDを聴いていました。

もともと、すばらしい歌唱力をそなえた方ですが、
2000年をこえた辺りから、特に磨きがかかって来たように感じられます。

殊にライブの魅力は絶大で、
独特の透明な歌声はそのままに、
暖かな色調で、聴く者を大きく包みこむ、懐の深さを持つようになって来たように思います。

以前の歌声には、
もっと心の痛みをじかに訴えかける、
心の苦しみを感じさせるところがあって、
繰り返し聴くのは若干、敬遠したくなるところがあったのですが、

最近の歌声は、
よりのびやかな心地よさを身につけて来たようで、
彼女のライブCDのいくつかは、私の愛聴盤になっております。



今井美樹
 『One Night at the Chapel - Special Collection -』

  1) AQUA (作詞:今井美樹/作曲:布袋寅泰)
  2) Boogie-Woogie Lonesome High-Heel (作詞:戸沢暢美/作曲:上田知華)

  3) amour au chocolat (作詞:今井美樹/作曲:布袋寅泰)
  4) 泣きたかった (作詞:今井美樹/作曲:柿原朱美)
  5) PRIDE (作詞・作曲:布袋寅泰)
  6) 猫の唄 (作詞・作曲:布袋寅泰)
  7) 明るくなるまで (作詞:戸沢暢美/作曲:佐藤博)
  8) あこがれのままで (作詞:岩里祐穂/作曲:上田知華)
  9) 潮騒 (作詞・作曲:布袋寅泰)
 10) Goodbye Yesterday (作詞・作曲:布袋寅泰)
 11) 瞳がほほえむから (作詞:岩里祐穂/作曲:上田知華)
 12) 海辺にて (作詞:岩里祐穂/作曲:上田知華)
 13) 新しい街で (作詞:岩里祐穂/作曲:KAN)
 14) Pray (作詞:岩里祐穂/作曲:柿原朱美)


Recorded at Gloria Chapel, Tokyo
August, 2001
【TOCT-24890】


聴く人によってそれぞれ、
感動する楽曲は異なるでしょうが、
私には後半9曲目、「潮騒」からが絶品です。


  9) 潮騒 (作詞・作曲:布袋寅泰)
 10) Goodbye Yesterday (作詞・作曲:布袋寅泰)
 11) 瞳がほほえむから (作詞:岩里祐穂/作曲:上田知華)
 12) 海辺にて (作詞:岩里祐穂/作曲:上田知華)
 13) 新しい街で (作詞:岩里祐穂/作曲:KAN)
 14) Pray (作詞:岩里祐穂/作曲:柿原朱美)


布袋寅泰さんといえば
「PRIDE」なのかもしれませんが、
詩に共感できないので、
私には今ひとつです。

同じタイプなら「Goodbye Yesterday」の方が好きです。

文句なしに凄いのは「潮騒」で、
ピアノのみのシンプルな伴奏にのせて、
別世界にもっていかれます。

歌唱のテクニックも、
感情表現のバランスも、ピアノの伴奏も、
完璧この上ない「潮騒」はめったに聴けない、
奇跡的なレベルに達していると思います。


岩里祐穂さんと上田知華さんのコンビによる
「瞳がほほえむから」「海辺にて」の2曲も、
完成度の高い楽曲の名唱です。

最後の「Pray」は、
これもピアノ伴奏のみのスタイルで、
彼女の深く透き通った歌声をじか楽しむことができます。


若いころの録音と比べると、
わずかずつだけれども明らかな深化がみられ、
地道な努力の跡が聴かれて嬉しいです。

ピアノ伴奏だけで、
これだけの感銘を与えてくれる歌手が
現在どれくらいいるのか。

私はあまり知りません。

2011年11月21日月曜日

Bruno Walter Conducts Mozart その1



モーツァルト
 交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」
  ※録音:1959年1月13・16・19・21日

 交響曲第36番ハ長調 K.425「リンツ」
  ※録音:1960年2月28・29日

 歌劇『劇場支配人』序曲K.486
 歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』序曲K.588
 歌劇『フィガロの結婚』序曲K.492
 歌劇『魔笛』序曲K.620
  ※以上、録音:1961年3月5-31日

ブルーノ・ワルター指揮
コロンビア交響楽団
【SONY 8 86079 06832 2】CD1


ワルターさんのモーツァルト、
最近SONYから出た6枚組のものを購入しましたので、
1枚ずつ聴きなおしていきます。

まず1枚目は、
交響曲第35番「ハフナー」と第36番「リンツ」
そして序曲集です。


「ハフナー」は
現代のきびきびした演奏とは違って、
のんびりおっとりとしたはじまり方で、
それほど肩をはらない感じの、美しい演奏です。

これはこれで十分楽しめますが、
他にもいい演奏はあるかもしれません。

「リンツ」は
同じ傾向の演奏ですが、
より完成度が高く、
曲の魅力がそこかしこにあふれていて、
お薦めの演奏です。

序曲はどれも最上レベルです。


音質は、細かいことをいわなければ、
十分に満足できるレベルです。

この時期のステレオ録音は、
ホールの残響を考慮に入れないからか、
かなり耳にうるさく聴こえることがあるのですが、
その点、耳にやわらかく聴こえるようにまとめてあって、
聴きやすいです。


ワルターさんのモーツァルトは、
かねてより定評がありますので、
この機会にまとめて聴いていきます。

2011年11月17日木曜日

クライスラーの初期ヴァイオリン協奏曲録音(opus蔵)

ワルターさんのSP復刻を聴き直しているのに併せて、
オーパス蔵さんの復刻CDの中から、
クライスラーによるヴァイオリン協奏曲集を聴きました。



クライスラー初期ヴァイオリン協奏曲録音

1.ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
 (mat.HMV CWR631-41)1926年12月14~16日録音

2.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218
 (mat.HMV CC5396-401,5408-09)1924年12月1・2日録音

3.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
 (mat.HMV CWR1355-57, 66-70)1927年11月21・23・25日録音

4.メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
 (mat.HMV CWR614-19)1926年12月9・10日録音

(1~4)フリッツ・クライスラー(Vn)
(1・3・4)レオ・ブレッヒ(指揮)
       ベルリン国立歌劇場管弦楽団
(2)ランドン・ロナルド(指揮)
   ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
【OPK-2073/4】


フリッツ・クライスラー(1875年生-1962年没)は、
「愛の喜び」「愛の悲しみ」といったヴァイオリンの小品の
作曲者として知られておりますが、

演奏家としても優れていて、多くの録音を残しています。

聴いてみたいなと思っていたところに、
オーパス蔵さんから復刻が出たので購入し、
それ以来愛聴しております。


1920年代の録音なので、
ワルターの一連のSP録音を、
さらに10年もさかのぼっておりますので、
音質はかなり良くないです。

幸いヴァイオリンの音色は美しく録られているのですが、
オケはかなり貧弱ですし、針音も相当耳障りです。

なら聴かなければと言われるかもしれませんが、
針音は数回聴いているうちに気にならなくなりますし、

何よりクライスラーの演奏には、
他では聴かれない独特の気品ある節回しが聴かれて、
他をもって代えがたい十分な魅力があります。

独特の節回しは、
他のヴァイオリニストがまねしようとしても、
たいてい下品な感じになって
魅力には結びつかないことが多いのです。

ごく微妙な違いなので、
どうでもよい、と捨ておくことも可能ですが、
そこを楽しんでこその音楽だとも思えます。

このCDの中で、
モーツァルトの協奏曲は、
かなり時代がかった感じがして
あまり馴染めなかったのですが、
他はどれも味わい深く、楽しめました。

私の中では、ベートーヴェン、
メンデルスゾーン、ブラームスの順で好きです。

これのみが一番というわけではないのですが、
一度クライスラーの絶妙な節回しの魅力にはまると、
現代のたいがいの演奏がつまらなく聴こえて来ることも事実です。
時々、聴き直したくなる演奏です。

SP復刻というのは、
少々贅沢な楽しみかもしれませんが、
現代のクラシック演奏に至る道筋を知る上でも、
興味深く、面白いものだと思います。

2011年11月14日月曜日

宇野功芳&新星日本響のベートーヴェン:交響曲第6・2番



ベートーヴェン
交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
交響曲第2番ニ長調 作品36

モーツァルトの子守唄
(フリース、佐々木具 編曲)
 クラリネット・ソロ:荒井伸一

宇野功芳 指揮
新星日本交響楽団

録音:1995年10月5日、東京芸術劇場コンサートホール
【KICC-185/6】


さきにワルターさんが指揮する
ベートーヴェンの「田園」交響曲を紹介しましたので、
同じ「田園」交響曲で、私が一番好きなCDを紹介します。

それは宇野功芳さんが新星日本交響楽団を指揮した時のライブです。

宇野さんの指揮は、
落ちつきのあるオケの豊かな響きが好ましく、
よく練られた独自の解釈を、自然な流れの中で実現していて、
つぼにはまったときの演奏は、すばらしいです。
(アマオケとの録音はのぞく)

惜しむらくは、
宇野さんが好んで取り上げる
ベートーヴェンの「英雄」「運命」「合唱」は、
いびつなテンポ設定がオケのせっかくの有機的な響きを殺しており、
すべて残念な仕上がりとなっていることでしょう。

この3曲をのぞけば、
結構注目すべき演奏を残していると思うのですが、
そちらはめったに聴かれる機会がないので、
評価につながらず、残念です。


宇野さんが指揮するベートーヴェンで、
格別にすばらしいのは「田園」交響曲です。

この曲は意外とまとめるのが難しいようで、
有名な指揮者の演奏でも、途中で眠たくなることが少なくありません。

そんなレベルでないことは当然として、
宇野さんの指揮する「田園」は、曲の大きな枠組は逸脱することなく、
ゆったりしたほどほどのテンポ感で、
「田園」の魅力を存分に引き出した演奏となっております。

聴いていて、
とても豊かな楽しい気持ちにさせられる「田園」です。
私は、「田園」はこの演奏が一番好きです。


合わせて収録されている第2番も
「田園」と同じ路線の演奏で、ゆったりとしたテンポで
この曲の魅力を最大限にひきだした演奏となっております。

この曲については、
ほかにも十分魅力的な演奏がたくさんあるので、
宇野さんだけが、というつもりはありませんが、
個性的な、楽しい第2番であることは間違いありません。

これを聴いて思い出したのは、
広上淳一さんと京都市交響楽団による第4の録音です。
広上さんの方がリズム感はキレキレなので、
それをもう少し野暮ったくしたら、宇野さんに似ているかもしれません。


宇野さんのベートーヴェン、
第1と第7も変わったテンポ設定はないので、
それなりに楽しめますが、これも敢えて宇野さんを選ばなくても良いかもしれません。

どちらかというと、
ベートーヴェンよりは、モーツァルトのほうが、
宇野さんの性質に合っているのではないかと思うのですが、

プロのオーケストラで、
まとめてモーツァルトの交響曲を取り上げる機会はもうないのでしょうか。
できれば聴いてみたい気がします。

2011年11月12日土曜日

ベルグルンド&ヘルシンキ・フィルのシベリウス:交響曲第1・2番

朝比奈さんのシベリウスを聴いて、そういえば、
一番の本命というべきベルグルンドさんの録音を

聴いていなかったことに気がついて、
手に入れて、聴いてみることにしました。



シベリウス
交響曲第1番ホ短調 作品39
交響曲第2番ニ短調 作品43

パーヴォ・ベルグルンド 指揮
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1986年5月(1番)、1986年12月(2番)
   Culture Hall, Helsinki
【EMI 7243 4 76963 2 9】


2枚組のCDで、
2枚目に第3・4番が収録されております。
それはまた後日に取り上げます。


ベルグルンドさんのシベリウスは、
ヨーロッパ室内管弦楽団と3度目の全集に
取り組まれたときに1枚買ってみたのですが、
それほど大きな感銘は受けなかったので、
そのままになっておりました。

ヘルシンキ・フィルとの全集は、
ベルグルンドさん2度目の全集ですが、

シベリウスの交響曲を第1番から第6番まで
初演されていることも関係しているのでしょう、
オケの鳴り方が、これまで記憶していたのと全然違います。

よく知っているはずの曲ですが、

すべての場面場面が生き生きして、
初めて聴くような感動が随所に聴かれて、
新鮮な驚きの連続でした。

とくに第1番は圧倒的な感銘を受けました。

第1と第2は、誰がどのように演奏しても
それなりに楽しめるところがありますが、

ベルグルンドさんとヘルシンキ・フィルの演奏は、
私の中で、基準の演奏になりそうです。


ジャン・シベリウス(Jean Sibelius)は
1865年生まれで、1957年に没しております。

交響曲第1番は1899年、第2番は1902年の初演です。

どちらも30代半ばに作曲されているわけで、
そろそろ40に近づいて来た身としては、
すごいなあ、と感心します。

この2曲だけでも、
おそらくイギリスの作曲家エルガーのような、
十分な評価を得ていたと思われますが、

ここからさらに、
独特の個性が刻まれた交響曲を5曲発表されています。
一つずつ、じっくり楽しんでいこうと思います。

2011年11月8日火曜日

ワルター&ウィーン・フィルのベートーヴェン:「田園」交響曲

Opus蔵によるブルーノ・ワルターさんのSP復刻、
1枚だけ取り上げるのなら、この1枚でしょう。



1.ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番 作品72a
 (mat.Col CHAX109-11)
  ※1936年5月21日録音
2.モーツァルト:セレナード第13番 K.525
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
 (mat. Col 2VH234-37)
  ※1936年12月17日録音
3.ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
 (mat. Col 2VH224-33)
  ※1936年12月5日録音

ブルーノ・ワルター指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
【OPK-2021】


宇野功芳さんの文章で、
かなり前からこの演奏のことは知っていましたが、
実際に聴く機会はなかなかなく、
Opus蔵さんの復刻で初めて聴くことになりました。

今から70年以上前の録音ですから、
現代の鮮明な音になれた耳からすると、
ノイズが少し気になりますが、
音楽を楽しむのには問題ないレベルだと思います。

演奏の内容は、
曲を楽しく聴かせてくれる演奏としては、
同曲の最上レベルだと思いました。

曲が曲だけに、
それほど崇高な何か、
が表現されているわけではないのですが、

ごく自然な流れの中に、
音楽の自由な雰囲気を楽しめる、
リラックスして聴いていられる名演奏だと思います。

それほど特別なことはしていないようにも聴こえますが、

これが他の指揮者で聴くと、
途中で眠たくなって来ることが多く、
なかなかまとめるのが難しい曲だと思います。

ワルターさんがやりたいように振舞うと、
自然と曲のよいところが引き出されて、
楽しく最後まで聞き通せてしまう、
幸福感のある演奏だと思います。

「田園」交響曲の魅力を
存分に引き出した演奏として、
今でもまっ先に上げるべき名演の一つだと思います。

2011年11月5日土曜日

朝比奈隆&大阪フィルの交響組曲「シェエラザード」(1982)

最近、キングレコードから、
1980年代に朝比奈隆さんが大阪フィルと
ライブ収録したCDがまとめて発売されています。

いくつか聴いていた中で、
いちばん感動したのは、意外な1枚、
リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」でした。



リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」

朝比奈隆 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

録音:1982年11月22日、大阪 フェスティヴァル・ホール
【KICC-3618】


この時期の朝比奈さんならではの
覇気に満ちたオケの豪快な鳴りっぷりはそのままに、
緩徐楽章での魅惑的なメロディーの歌わせ方が、
そのまま心の奥に響いて来て、
すなおに感動できます。

朝比奈さんの指揮は、
現代の切れ味するどい演奏に比べると、
ほんの少しもたつく感はありますが、

晩年ほどのぎこちなさはないので、
サラサラと流れていってしまわない分、
私にはより好ましく感じられます。


私にとって「シェエラザード」は
あまり縁のない曲のようで、

これまでいくつか聴いてきた演奏では、
それほど心動かされることはありませんでしたが、

朝比奈さんのCDで、
はじめてこの曲の良さがわかった気がします。


1000円の廉価盤CDは
音質が今一つのことが間々ありますが、
このシリーズは音質面への気配りも行き届いていて、
お勧めです。

2011年11月4日金曜日

朝比奈隆&大阪フィルのシベリウス:交響曲第2番(1978)

時々聴きたくなるのが、
シベリウスの交響曲第2番です。

第3番以降の深遠な世界には、
いずれ腰を据えてと思いながら、
未だ集中して聞く機会がないままなのですが、

第1・2番はわかりやすい名曲なのでよく聴いています。
第2番でよく聴くのが朝比奈隆&大阪フィルのCDです。


シベリウス:交響曲第2番ニ長調 作品43

ブルックナー:アダージョ第2番
(交響曲第3番第2楽章 L.ノヴァーク校訂第1稿の2)

朝比奈隆 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

録音:1978年11月22日、大阪フェスティバルホール(シベリウス)
1983年9月16日、東京カテドラル聖マリア大聖堂(ブルックナー)
【VICC-60323】


朝比奈さんとシベリウスはあまりイメージがわかなかったのですが、
買ってびっくり、とびきりの名演でした。

めったにないくらい豪快にオケを鳴らした演奏ですが、

テンポに粘ったところがないので、
シベリウスらしい清明さも感じさせてくれて、

豪快さと清明さをあわせもつ、
朝比奈さんの個性が刻まれた名演だと思います。

70歳をこえたばかりの、
朝比奈さんの覇気に満ちた演奏を聴くことができます。

第2番だからこそ許されるのだと思いますが、
何より感動的なので、私はこの演奏が好きです。


最後に、
ブルックナーの交響曲第3番の第2楽章の異稿が収められています。

残響がよすぎて、細部が聴きとりにくいのが難ですが、
豪快なシベリウスで感動したあとには、
アンコールとして心地よく感じられます。
(17分近くありますが。)

朝比奈さんのベートーヴェン、ブルックナーも大好きなのですが、
CDがいろいろあり過ぎて、どう紹介して行こうか迷いますね。

でも、自分との関わりのもとに語る、のが正直だと思うので、
自分が好きな演奏から、また紹介していきます。

2011年11月3日木曜日

武久源造のバッハ:ゴールドベルク変奏曲



J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲 BWV988

武久源造(チェンバロ)

チェンバロ(Philip Tyre製作)
録音:1994年6月11~13日(旧東伏見宮別邸)、
 8月30日~9月1日(秩父ミューズパーク音楽堂)
【ALCD-1013】


ハイドシェックさんのパルティータに続いて、
ゴールドベルク変奏曲を聴きたくなりました。

ゴールドベルク変奏曲で一番気に入っているのは、
武久源造さんの録音です。

出会ってからもう十年以上たちますが、
聴き込むほどに味わいが増して、
私の中での定番となって来ました。

まず耳を奪われるのが
美しいチェンバロの響きです。

チェンバロの録音は、
最新のものでもキンキンとした響きが耳につくことがあって、
演奏以前にそれでがっかりしてしまうことも多いのですが、

この録音では、
チェンバロの響きがとてもやわらかく、
耳に優しく響いてきて、心地よく感じられます。

演奏はわりとゆっくり目のテンポで、
一つ一つの変奏がていねいに紡がれていきます。

全体が自然な流れになるように、
微妙にテンポを揺らしているので、
ゆっくり目ですが、
意外に自由さを感じさせる演奏です。

まだそんなにたくさん聴いていませんが、

 グールドさん、
 レオンハルトさん、
 ヴァルハさん、
 鈴木雅明さん、
 曽根麻矢子さん、

と聴いてきた中では、一番です。
この中で、グールドさんとヴァルハさんは、
違った味わいもあってわりと好きです。

今期待しているのは、シフさんの最新録音です。
近々聴いてみたいと思っております。