2011年11月14日月曜日

宇野功芳&新星日本響のベートーヴェン:交響曲第6・2番



ベートーヴェン
交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
交響曲第2番ニ長調 作品36

モーツァルトの子守唄
(フリース、佐々木具 編曲)
 クラリネット・ソロ:荒井伸一

宇野功芳 指揮
新星日本交響楽団

録音:1995年10月5日、東京芸術劇場コンサートホール
【KICC-185/6】


さきにワルターさんが指揮する
ベートーヴェンの「田園」交響曲を紹介しましたので、
同じ「田園」交響曲で、私が一番好きなCDを紹介します。

それは宇野功芳さんが新星日本交響楽団を指揮した時のライブです。

宇野さんの指揮は、
落ちつきのあるオケの豊かな響きが好ましく、
よく練られた独自の解釈を、自然な流れの中で実現していて、
つぼにはまったときの演奏は、すばらしいです。
(アマオケとの録音はのぞく)

惜しむらくは、
宇野さんが好んで取り上げる
ベートーヴェンの「英雄」「運命」「合唱」は、
いびつなテンポ設定がオケのせっかくの有機的な響きを殺しており、
すべて残念な仕上がりとなっていることでしょう。

この3曲をのぞけば、
結構注目すべき演奏を残していると思うのですが、
そちらはめったに聴かれる機会がないので、
評価につながらず、残念です。


宇野さんが指揮するベートーヴェンで、
格別にすばらしいのは「田園」交響曲です。

この曲は意外とまとめるのが難しいようで、
有名な指揮者の演奏でも、途中で眠たくなることが少なくありません。

そんなレベルでないことは当然として、
宇野さんの指揮する「田園」は、曲の大きな枠組は逸脱することなく、
ゆったりしたほどほどのテンポ感で、
「田園」の魅力を存分に引き出した演奏となっております。

聴いていて、
とても豊かな楽しい気持ちにさせられる「田園」です。
私は、「田園」はこの演奏が一番好きです。


合わせて収録されている第2番も
「田園」と同じ路線の演奏で、ゆったりとしたテンポで
この曲の魅力を最大限にひきだした演奏となっております。

この曲については、
ほかにも十分魅力的な演奏がたくさんあるので、
宇野さんだけが、というつもりはありませんが、
個性的な、楽しい第2番であることは間違いありません。

これを聴いて思い出したのは、
広上淳一さんと京都市交響楽団による第4の録音です。
広上さんの方がリズム感はキレキレなので、
それをもう少し野暮ったくしたら、宇野さんに似ているかもしれません。


宇野さんのベートーヴェン、
第1と第7も変わったテンポ設定はないので、
それなりに楽しめますが、これも敢えて宇野さんを選ばなくても良いかもしれません。

どちらかというと、
ベートーヴェンよりは、モーツァルトのほうが、
宇野さんの性質に合っているのではないかと思うのですが、

プロのオーケストラで、
まとめてモーツァルトの交響曲を取り上げる機会はもうないのでしょうか。
できれば聴いてみたい気がします。

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