2011年11月17日木曜日

クライスラーの初期ヴァイオリン協奏曲録音(opus蔵)

ワルターさんのSP復刻を聴き直しているのに併せて、
オーパス蔵さんの復刻CDの中から、
クライスラーによるヴァイオリン協奏曲集を聴きました。



クライスラー初期ヴァイオリン協奏曲録音

1.ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
 (mat.HMV CWR631-41)1926年12月14~16日録音

2.モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218
 (mat.HMV CC5396-401,5408-09)1924年12月1・2日録音

3.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
 (mat.HMV CWR1355-57, 66-70)1927年11月21・23・25日録音

4.メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
 (mat.HMV CWR614-19)1926年12月9・10日録音

(1~4)フリッツ・クライスラー(Vn)
(1・3・4)レオ・ブレッヒ(指揮)
       ベルリン国立歌劇場管弦楽団
(2)ランドン・ロナルド(指揮)
   ロイヤル・アルバート・ホール管弦楽団
【OPK-2073/4】


フリッツ・クライスラー(1875年生-1962年没)は、
「愛の喜び」「愛の悲しみ」といったヴァイオリンの小品の
作曲者として知られておりますが、

演奏家としても優れていて、多くの録音を残しています。

聴いてみたいなと思っていたところに、
オーパス蔵さんから復刻が出たので購入し、
それ以来愛聴しております。


1920年代の録音なので、
ワルターの一連のSP録音を、
さらに10年もさかのぼっておりますので、
音質はかなり良くないです。

幸いヴァイオリンの音色は美しく録られているのですが、
オケはかなり貧弱ですし、針音も相当耳障りです。

なら聴かなければと言われるかもしれませんが、
針音は数回聴いているうちに気にならなくなりますし、

何よりクライスラーの演奏には、
他では聴かれない独特の気品ある節回しが聴かれて、
他をもって代えがたい十分な魅力があります。

独特の節回しは、
他のヴァイオリニストがまねしようとしても、
たいてい下品な感じになって
魅力には結びつかないことが多いのです。

ごく微妙な違いなので、
どうでもよい、と捨ておくことも可能ですが、
そこを楽しんでこその音楽だとも思えます。

このCDの中で、
モーツァルトの協奏曲は、
かなり時代がかった感じがして
あまり馴染めなかったのですが、
他はどれも味わい深く、楽しめました。

私の中では、ベートーヴェン、
メンデルスゾーン、ブラームスの順で好きです。

これのみが一番というわけではないのですが、
一度クライスラーの絶妙な節回しの魅力にはまると、
現代のたいがいの演奏がつまらなく聴こえて来ることも事実です。
時々、聴き直したくなる演奏です。

SP復刻というのは、
少々贅沢な楽しみかもしれませんが、
現代のクラシック演奏に至る道筋を知る上でも、
興味深く、面白いものだと思います。

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