伊福部昭の芸術3
舞 ― 伊福部昭 舞踏音楽の世界
1) 舞踏音楽「サロメ」(1948/87)
2) 兵士の序楽(1944)
広上淳一指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1995年8月22-24日、29-31日、9月1日
東京、セシオン杉並ホール
【KICC177】
広上淳一さんの指揮する
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏による
伊福部昭(大正3年〔1914〕生 平成18年〔2006〕没)の
シリーズ3枚目は、
舞踏音楽「サロメ」と、兵士の序楽の2曲です。
舞踏音楽「サロメ」は、昭和23年(1948)、
伊福部さんが33歳のときに作曲、初演された作品です。
これはオスカー・ワイルド(1854生 1900没)の
原作『サロメ』(出版 1891)にもとづくバレエ曲です。
もともとバレエ用の音楽ですが、
40年近くを経た昭和62年(1987)、73歳のときに、
コンサート用に改作されたものが
決定稿となりました。
発売時に聴いたときは、
知らない曲だったため、
何だかよくわからなかったのですが、
今回聴き直してみると、
ストラヴィンスキーのバレエ音楽のような感覚で、
わくわくしながら楽しむことができました。
伊福部さんの独特の親しみやすさもあって、
個人的にはストラヴィンスキーより好きです。
セッション録音なので、
コンサートのライブ録音のような
すごい熱気は感じられませんが、
決して冷徹なわけでもなく、
スコアに忠実に、音楽的に鳴らすことを
心がけているようで、
熱狂の渦に巻き込まれなくとも、
十分に名曲であることを証明してくれていると思いました。
「兵士の序楽」は、昭和19年(1944)、
伊福部さんが30歳のときに、陸軍の委嘱によって
作曲された放送用の作品です。
初演については、恐らく同年、
日本交響楽団によって行われたらしいものの、
確かな記録はないそうです。
その後、このときの録音まで、
一度も演奏されることはなかったそうです。
特にどこかに山があるわけでもないので、
演奏会などで取り上げるのは難しいかもしれませんが、
戦争中の明るくはない雰囲気を伝える、
音楽的な作品に仕上がっていると思います。
それでは、次は4枚目へと進みましょう。
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