オーストリア出身のピアニスト
アルトゥル・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノソナタ全集の3枚目です。
ベートーヴェン・ピアノソナタ録音協会全集第3集
ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノソナタ 第7番 ニ長調 作品10-3
ピアノソナタ 第8番 ハ短調《悲愴》作品13
ピアノソナタ 第9番 ホ長調 作品14-1
ピアノソナタ 第10番 ト長調 作品14-2
アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1935年11月12日〔7番〕、1933年10月2日・1934年4月3日〔8番〕、1932年3月25日〔9番〕、1934年4月23日〔10番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110695】
ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 作品10-3 は、
27歳のとき(1798.9)に出版された
3つのピアノ・ソナタの最後の1曲です。
第5番 ハ短調 作品10-1(3楽章)
第6番 ヘ長調 作品10-2(3楽章)
第7番 ニ長調 作品10-3(4楽章)
第5・6番は、3楽章制で
コンパクトにまとめられていたのに対して、
第7番は4楽章制で、規模の大きなものとなっています。
しかし多少無理して大きくしたようなところがあって、
とくに物思いに沈み込んでいくような第2楽章は、
間延びした感じもあってまとめるのが難しそうでした。
何度も聴き返して、
2楽章が耳に馴染んでくると、
全体の構造も見えてきて、
それなりに楽しめるようになりました。
ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調《悲愴》作品13 は、
28歳のとき(1799秋)に出版された作品です。
いつからとは思い出せないのですが、
ピアノ教室の生徒が弾いていた記憶もあって、
よく知っている曲です。
それなりに集中して聴いたのは、
ハイドシェックさんのライブ録音以来でしょうか。
この曲は、
シュナーベルさんにとっても想い入れのある曲なのか、
また有名すぎて演奏しにくかったのか、
多少もって回ったようなところがあって、
耳に馴染むのに少し時間がかかりました。
珍しく半年ほど置いて、録り直しをしているので、
どこか意に満たないところがあったのかもしれません。
でも独特の節回しで、
細かいことは気にせずに、
曲の本質のみをつかんで語りかけてくる
シュナーベルのピアノは、
一聴の価値ありです。
ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 作品14-1
ピアノ・ソナタ第10番ト長調 作品14-2
は、29歳のとき(1799.12)に2曲合わせて出版されました。
3楽章構成で、品良くまとめられた作品です。
気持ちを前向きに、
明るく楽しい方へと導いてくれる作品です。
シュナーベルの演奏は2曲とも完璧です。
作品14の魅力を十二分に引き出していて、
初めていい曲だな、と思って聴き通すことができました。
CD3枚目は、
第9・10番の魅力を発見できたのが一番の収穫でした。
では4枚目に進みましょう。
※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。
※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。
※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。
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