宇野功芳氏による推薦評にひかれて、
オーストリア帝国(1804成立-1867崩壊)に生まれ、
オーストリア=ハンガリー帝国(1867成立-1918崩壊)に没した
作曲家グスタフ・マーラー(Gustav Mahler 1860.7-1911.5)の遺作
交響曲第10番嬰ヘ短調を、
イギリスの音楽学者
デリック・クック(1919.9-1976.10)による補筆完成版で聴きました。
日本生まれの指揮者
金聖響(1970.1-)が指揮する
日本のオーケストラ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏。
金氏43歳の時の録音です。
マーラー:交響曲第10番[デリック・クック補筆完成版]
グスタフ・マーラー
交響曲第10番嬰ヘ長調(デリック・クック補筆完成版)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
金聖響(指揮)
録音:2013年2月14・15日、横浜みなとみらいホール
【OVCX-00073】
マーラーが亡くなる前年50歳の時(1910.7)に構想を得、
未完成のままで残された作品です。
クック版は、
1960年に第1稿、
1964年に第2稿、
1972年に第3稿が初演され、
第3稿が「最終稿」とされ、1976年に出版されました。
クックの亡くなる前年に第3稿(第2版)が完成し、
クックの没後十年以上をへた1989年に出版されました。
解説に明言されていませんが、このCDは、
クック版第3稿(第2版)による演奏と思われます。
これまで第10番は、マーラーの交響曲の、
第1番から第9番までの大きな流れからどこか浮いている感じがして、
自分にとって今ひとつわからない曲だったのですが、
今回のCDではじめて、
全曲の見通しよく感動のうちに聴き通すことができました。
第9番の先に何があるのかと、
どちらかといえば第10番には懐疑的だったのですが、
いったん死の淵を覗きこんだ上で、
その先にもやはり前向きに生きるほかない、
人生のかなり深いところをえぐり抜いている作品だと思いました。
聖響さんの深い楽譜の読みと、
それに答える神奈川フィルの大健闘の賜物でしょう。
第9番につづくマーラーの大交響曲であることが深く実感できました。
ザンデルリンクのCD以外は
ほとんど聴いて来なかったので、
改めてほかのCDも聴いてみようと思っています。
※Wikipediaの「グスタフ・マーラー」「交響曲第10番(マーラー)」を参照。
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