2014年3月31日月曜日

金聖響&神奈川フィルの:マーラー:交響曲第10番(2013年2月録音)

『レコード芸術』2014年2月号の、
宇野功芳氏による推薦評にひかれて、

オーストリア帝国(1804成立-1867崩壊)に生まれ、
オーストリア=ハンガリー帝国(1867成立-1918崩壊)に没した

作曲家グスタフ・マーラー(Gustav Mahler 1860.7-1911.5)の遺作
交響曲第10番嬰ヘ短調を、

イギリスの音楽学者
デリック・クック(1919.9-1976.10)による補筆完成版で聴きました。

日本生まれの指揮者
金聖響(1970.1-)が指揮する

日本のオーケストラ
神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏。

金氏43歳の時の録音です。


マーラー:交響曲第10番[デリック・クック補筆完成版]

グスタフ・マーラー
交響曲第10番嬰ヘ長調(デリック・クック補筆完成版)

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
金聖響(指揮)
録音:2013年2月14・15日、横浜みなとみらいホール
【OVCX-00073】


マーラーが亡くなる前年50歳の時(1910.7)に構想を得、
未完成のままで残された作品です。

クック版は、
1960年に第1稿、
1964年に第2稿、
1972年に第3稿が初演され、
第3稿が「最終稿」とされ、1976年に出版されました。

クックの亡くなる前年に第3稿(第2版)が完成し、
クックの没後十年以上をへた1989年に出版されました。

解説に明言されていませんが、このCDは、
クック版第3稿(第2版)による演奏と思われます。


これまで第10番は、マーラーの交響曲の、
第1番から第9番までの大きな流れからどこか浮いている感じがして、

自分にとって今ひとつわからない曲だったのですが、

今回のCDではじめて、
全曲の見通しよく感動のうちに聴き通すことができました。


第9番の先に何があるのかと、
どちらかといえば第10番には懐疑的だったのですが、

いったん死の淵を覗きこんだ上で、
その先にもやはり前向きに生きるほかない、
人生のかなり深いところをえぐり抜いている作品だと思いました。


聖響さんの深い楽譜の読みと、
それに答える神奈川フィルの大健闘の賜物でしょう。

第9番につづくマーラーの大交響曲であることが深く実感できました。

ザンデルリンクのCD以外は
ほとんど聴いて来なかったので、
改めてほかのCDも聴いてみようと思っています。


※Wikipediaの「グスタフ・マーラー」「交響曲第10番(マーラー)」を参照。

0 件のコメント:

コメントを投稿