オーストリアのザルツブルク生まれの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
ディヴェルティメント第17番と第1番を、
ユーゴスラヴィア生まれのヴァイオリニストで
ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めた
ゲルハルト・ヘッツェル(1940.4-1992.7)率いる
ウィーン室内合奏団の演奏で聴きました。
W.A.モーツァルト
1) ディヴェルティメントニ長調
行進曲 ニ長調 K.445(K6-320c)
ディヴェルティメント(第17番)ニ長調 K.334(K6-320b)
2) ディヴェルティメント(第1番)変ホ長調 K.113(初稿)
ウィーン室内合奏団
ゲルハルト・ヘッツェル(第1ヴァイオリン)
ヨーゼフ・ヘル(第2ヴァイオリン)
ハット・バイエルレ(ヴィオラ)
アーダルベルト・スコチッチ(チェロ)
ヘルベルト・マイヤー(コントラバス)
フランツ・ゼルナー(ホルン)
フォルカー・アルトマン(ホルン)
ノルベルト・トイブル(クラリネット)*2)
ヨハン・ヒントラー(クラリネット)*2)
録音:1991年4月29日-5月4日、ウィーン、カジノ・ツェーガーニッツ
【COCO-70441】
ディヴェルティメント 第1番 変ホ長調 K.113 は、
モーツァルト15歳の時(1771)の作品。
ディヴェルティメント 第17番 ニ長調 K.334 と、
行進曲ニ長調 K.445 は、
モーツァルト24歳の時(1780)の作品です(異説あり)。
行進曲K.445は、
ディヴェルティメントK.334への導入曲として
追加で作曲されたもので、一緒に演奏されることが多いそうです。
モーツァルトのディヴェルティメントは、
第1番から第17番までの17曲とするのが普通です。
この時期はちょうど、
交響曲 第12番 ト長調 K.110 から
交響曲 第34番 ハ長調 K.338 まで
が作られた時期に当たるので、
後期の6大交響曲が作曲される前に、
ディヴェルティメントの作曲は終わっていたことになります。
この後、
32歳の時(1788)に作曲された
弦楽三重奏のためのディヴェルティメント 変ホ長調 K.563
もありますが、こちらはふつう通番で呼ばれることはありません。
***
このCD、
モーツァルトのディヴェルティメントだからと言うよりは、
贔屓のヴァイオリニスト、
ゲルハルト・ヘッツェル氏率いる
ウィーン室内合奏団の演奏という理由で手に入れいました。
ヘッツェルが登山事故で亡くなる(1992年7月)1年前の録音です。
同じ時期に、
ディヴェルティメントの第7・10・15番等も録音されているので、
事故がなければ、他にも色々な作品が収録されていたかもしれません。
ヘッツェル氏のヴァイオリン、
出しゃばった所、気負った所がどこにもなく、
楽譜に書かれたことを忠実に再現するスタイルで、
曲の本質をありのままで伝えようとする
誠実な人柄が偲ばれる演奏なので、
刺激的なものを求めると肩透かしにあうかもしれません。
しかし凡庸なわけではなく、
絹のようになめらかな音色で、
自然な流れを失わない範囲で、
切れ味の鋭い、品のある演奏を聴かせてくれます。
繰り返し聴き込んでいきたい名演です。
※梅沢敬一氏によるCD解説を参照。
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