11月2日(日)に、松坂屋美術館まで
「氏家浮世絵コレクション設立四〇周年記念展」
を観に行ってきました。
愛知県美術館の「デュフィ展」をみた後、
実はすぐ近くで浮世絵の名品展が開催されていたことを知り、
翌週再び栄に足をのばしました。
「氏家浮世絵コレクション」は、
「昭和49年10月1日、
多年にわたって肉筆浮世絵の蒐集につとめてきた
氏家武雄氏と鎌倉市が協力し、
鎌倉国宝館に財団法人として設置され、
平成24年4月1日付けで公益財団法人に移行」したものだそうです。
※展覧会チラシ、参照。
デュフィ展の後に観たため、
わりと質素な感じのスリムな展示が多少気になりましたが、
葛飾北斎(宝暦10年〔1760〕9月-嘉永2年〔1849〕4月)
の名画を観られたのが大収穫でした。
北斎はどれも良かったのですが、
【図録35】
「酔余美人図(すいよびじんず)」
※1輻。絹本著色。文化4年(1807)頃。
【図録37】
「雪中張飛図(せっちゅうちょうひず)」
※1輻。絹本著色。天保14年(1843)。
【図録38】
「大黒に大根図(だいこくにだいこんず)」
※1輻。絹本著色。天保12年(1841)。
【図録39】
「桜に鷲図(さくらにわしず)」
※1輻。絹本著色。天保14年(1843)。
【図録40】
「鶴鸛図(つるこうのとりず)」
※2曲1隻。文化(1804-18)中後期頃。絹本著色。
【図録43】
「蛸図(たこず)」
※1輻。絹本著色。文化8年(1811)頃。
【図録46】
「寿布袋図(じゅほていず)」
※1輻。紙本淡彩。嘉永元年(1848)。
の7点は訴えかけてくる力が強く、
特に気に入りました。
展覧会の図録
『氏家浮世絵コレクション』を観ると、
ほかの画家とそれほど違うようには感じないのですが、
実物の迫力は圧倒的で、
北斎だけ他から浮かび上がっているような力強さがありました。
ほかの画家たちは、
歴史的な価値の高さは別にして、
芸術的に心を揺さぶられる絵はほとんどありませんでした。
その中で、
歌川広重(寛政9年〔1797〕-安政5年〔1858〕9月)の
【図録56】
「高輪の雪・両国の月・御殿山の花図」
(たかなわのゆき・りょうごくのつき・ごてんやまのはなず)
※3輻。絹本著色。嘉永(1848-54)~安政(1854-60)前期。
の飄々広々とした3輻の風景画に惹かれましたが、
広重はこの1点のみで、
同じタイプの絵も展示されていなかったので、
他と比べてどうなのかはよくわかりませんでした。
もう一人有名なところでは、
喜多川歌麿(宝暦3年〔1753〕頃-文化3年〔1806〕9月)の
【図録27】
「かくれんぼ図」
※1輻。絹本著色。寛政元-3年(1789-91)頃。
【図録28】
「万歳図(まんざいず)」
※1面(4枚)。絹本著色。寛政5-8年(1793-96)頃。
の2点は、
才気あふれるというわけではありませんが、
動きのある一瞬をとらえた完璧な構図を、
的確に繊細に表現しうる技量に感心しました。
これも2点のみでは何も言えませんが、
人間味あふれる叙情性のある絵だと思いました。
鎌倉を訪れる機会はなかなか取れないと思うので、
「氏家浮世絵コレクション」に含まれる名品の数々を、
名古屋で観られたことに感謝です。
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