500円で買えるエイベックスの
ベスト・オブ・クラシックスのシリーズから、
ポーランドの指揮者
アントニ・ヴィト(Antoni Wit 1944.2-)の指揮する
ポーランド国立放送交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ロベルト・シューマン(1810.6-1856.7)の
交響曲第1番《春》を聴きました。
ヴィト50-51歳の時(1994.12&1995.3)の録音です。
ロベルト・シューマン
1) 交響曲 第1番 変ロ長調 作品38《春》
アントニ・ヴィト(指揮)
ポーランド国立放送カトヴィツェ交響楽団
録音:1994年12月&1995年3月、カトヴィツェ、ポーランド放送コンサート・スタジオ
2) 4本のホルンと管弦楽のための
コンチェルト・シュテュック ヘ長調 作品86
アメリカン・ホルン四重奏団
ダリウシュ・ヴィシュニエフスキ(指揮)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
録音:2003年7月、ワルシャワ、ポーランド放送スタジオ
【AVCL-25615】2007年12月発売
シューマンの交響曲は、
第1番 変ロ長調 作品38《春》
第2番 ハ長調 作品61
第3番 変ホ長調 作品97《ライン》
第4番 ニ短調 作品120
の4曲知られていますが、
この作品番号は出版された順番によるものであり、
初演順に並べ直すと、
第1番(1841年3月)
第4番(1841年12月)⇒(1853年12月に改訂稿を初演)
第2番(1846年11月)
第3番(1851年 2月)
の順になります。
第4番は、
第1番とほぼ同時期に初演されたものの、
第3番初演の2年後、
大幅な改訂稿が初演されたため、
出版が一番最後となり、
第4番と呼ばれることになったそうです。
つまり第1番は、番号そのままに、
作曲者30歳の時に初演された最初の交響曲 と理解すれば良いことになります。
***
さてヴィトさんの指揮ですが、
ナクソス・レーベルで
たくさんCDを出されていることは知っていましたが、
ほとんど聴く機会がありませんでした。
唯一、遠山慶子さんが弾く
モーツァルトのピアノ協奏曲の伴奏で、
オケからこれまで聴いたことがないくらい
典雅で軽やかな音色をつむぎ出していたのが印象に残っていました。
今回のシューマン、
やはりオケの鳴らし方が独特で、
どんなに強奏しても耳にうるさく響かない、
つねに余裕のある心地よい鳴りっぷりで、
味わい深い響きに満たされた名演でした
緩徐楽章の心のこもった表現も特筆すべきで、
全体的な見通しもよく効いているので、
これまで今一つわかりにくい感じがしていた
《春》を初めて心から楽しむことができました。
シューマンの交響曲全集は、
サヴァリッシュ&ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
メータ&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
の2つの録音が好きなのですが、
第1番にはそれほど心動かされていませんでした。
ヴィトさんのシューマンは、
この2人よりも解釈的によく練れていて、
私には今まででベストの出来でした。
ヴィトさんの指揮で交響曲4曲とも聴けるようなので、
ほかの3曲もぜひ聴いていこうと思います。
強烈な個性によって
他を圧倒するタイプの指揮者ではなさそうですが、
繊細であたたかな感性をもった、
歌心のある職人肌の指揮者だと思いました。
モーツァルトやシューベルト、
ブラームスやブルックナーも良さそうですが、
めぐり合わせの関係か、
ナクソスにはチャイコフスキーやマーラーなど
ロマン派の大物や、ポーランドの現代物を数多く録音しているようです。
楽しみな指揮者にまた一人出会えました。
***
後半に収録されている
「4本のホルンと管弦楽のための
コンチェルト・シュテュック ヘ長調 作品86」
は、曲はそれなりに面白そうなのですが、
演奏・録音ともに今一つで楽しめませんでした。
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