アメリカの指揮者
マイケル・ティルソン・トーマス
(1944.12-)の指揮する
イギリスのオーケストラ
ロンドン交響楽団の演奏で、
オーストリア帝国の作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第3番ニ短調を聴きました。
グスタフ・マーラー
交響曲第3番ニ短調
ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
エドウィン・パリング(ソロ・ヴァイオリン)
モーリス・マーフィ(ソロ・ポストホルン)
ロンドン交響楽団合唱団(音楽監督:リチャード・ヒコックス)
サウスエンド少年合唱団(合唱指揮:マイケル・クラッブ)
ロンドン交響楽団
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
録音:1987年10月20日、ロンドン、エイビー・ロード・スタジオ
【Sony SICC955-6】2008年11月発売
交響曲第3番は、
35歳の夏(1895)に第2-6楽章、
翌年に第1楽章が作曲され、8月までに完成されました。
41歳の時(1902.6)に全曲初演されました。
交響曲第2番は
35歳の冬(1894.12)に全曲初演されたので、
それほど間を置くこともなく、
第3番が作曲されていたことがわかります。
***
MTT43歳の時の録音です。
技術的に文句を言われるレベルではありませんが、
ロンドン響独特の、
いかにもスタジオで鳴っている感じの人工臭がして、
あまり好きな「音」ではありません。
ただし恐らく、
神経質にならなければ気にならないレベルでしょう。
バーンスタインやレヴァインと同じ基調で、
細部へのこだわりから
全体をまじめに構築していくタイプの演奏ですが、
レヴァイン盤よりまた少し流れがスムーズになっていて、
さらに聴きやすい演奏に仕上がっていると思います。
恐らく第1楽章は、
十分魅力的な演奏ですが、
まだまだ、ところどころ音楽が停滞気味になって、
集中力の途切れた感じがするのはマイナス・ポイントです。
ライブではないからか、
曲全体への冷静な視線が感じられるのも、
マーラーを聴くうえでマイナスでしょう。
これがライブだったら、
流れがもう少し良くなって、
躊躇なく名演といえたように感じます。
全体としてみると、
バーンスタイン(▲)<レヴァイン(▲)<トーマス(◯)
の位置づけでしょうか。
まだ名演を期待すると肩透かしにあうレベルです。
※WIkipediaの「グスタフ・マーラー」「交響曲第3番(マーラー)」を参照。
2015年7月27日月曜日
2015年7月20日月曜日
レヴァイン&シカゴ響のマーラー:交響曲第3番(1975年録音)
アメリカの指揮者
ジェームズ・レヴァイン(1943.6-)の指揮する
アメリカのオーケストラ
シカゴ交響楽団の演奏で、
オーストリアの作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第3番ニ短調を聴きました。
グスタフ・マーラー
交響曲第3番ニ短調
マリリン・ホーン(メゾ・ソプラノ)
シカゴ・シンフォニー・コーラスの女声メンバー
(合唱指揮:マーガレット・ヒリス)
グレン・エリン(合唱指揮:ドリーン・レイオ)
シカゴ交響楽団
ジェームズ・レヴァイン(指揮)
録音:1975年6月21-23日、シカゴ、メディナ・テンプル
【RCA BVCC-38132/33】2001年3月発売
交響曲第3番は、
35歳の夏(1895)に第2-6楽章、
翌年に第1楽章が作曲され、8月までに完成。
41歳の時(1902.6)に全曲初演されました。
***
レヴァイン32歳の時の録音です。
マーラー・ブームとはいえない時期に、
若くしてこの大曲に取り組んで、
かなり良い成果をあげていると思います。
オケの技術は完璧ですが、
豊穣で深みがあるというよりは、
シカゴ響独特のゴージャスな鳴り方なので、
好みの別れるところかもしれません。
また、バーンスタインほどではないのですが、
細部を丁寧に構築していくうちに、
音楽の流れがほんの少し停滞気味になるのがマイナスで、
特に第6楽章は、
ゆっくり過ぎて間がもたないように感じました。
第1楽章はバーンスタインよりいい流れで、
まずまず聴けるのですが、
オケの響きが若干堅めで、
今でもあえてレヴァインを選びたいかといえば、
残念ながらそこまでの魅力には乏しいように思いました。
バーンスタインの旧盤<レヴァイン盤
といって印象ですが、評価は両方とも▲、
買って後悔するかもしれない演奏でした。
※WIkipediaの「グスタフ・マーラー」「交響曲第3番(マーラー)」を参照。
ジェームズ・レヴァイン(1943.6-)の指揮する
アメリカのオーケストラ
シカゴ交響楽団の演奏で、
オーストリアの作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第3番ニ短調を聴きました。
グスタフ・マーラー
交響曲第3番ニ短調
マリリン・ホーン(メゾ・ソプラノ)
シカゴ・シンフォニー・コーラスの女声メンバー
(合唱指揮:マーガレット・ヒリス)
グレン・エリン(合唱指揮:ドリーン・レイオ)
シカゴ交響楽団
ジェームズ・レヴァイン(指揮)
録音:1975年6月21-23日、シカゴ、メディナ・テンプル
【RCA BVCC-38132/33】2001年3月発売
交響曲第3番は、
35歳の夏(1895)に第2-6楽章、
翌年に第1楽章が作曲され、8月までに完成。
41歳の時(1902.6)に全曲初演されました。
***
レヴァイン32歳の時の録音です。
マーラー・ブームとはいえない時期に、
若くしてこの大曲に取り組んで、
かなり良い成果をあげていると思います。
オケの技術は完璧ですが、
豊穣で深みがあるというよりは、
シカゴ響独特のゴージャスな鳴り方なので、
好みの別れるところかもしれません。
また、バーンスタインほどではないのですが、
細部を丁寧に構築していくうちに、
音楽の流れがほんの少し停滞気味になるのがマイナスで、
特に第6楽章は、
ゆっくり過ぎて間がもたないように感じました。
第1楽章はバーンスタインよりいい流れで、
まずまず聴けるのですが、
オケの響きが若干堅めで、
今でもあえてレヴァインを選びたいかといえば、
残念ながらそこまでの魅力には乏しいように思いました。
バーンスタインの旧盤<レヴァイン盤
といって印象ですが、評価は両方とも▲、
買って後悔するかもしれない演奏でした。
※WIkipediaの「グスタフ・マーラー」「交響曲第3番(マーラー)」を参照。
2015年7月13日月曜日
山田一雄&大阪センチュリー響のベートーヴェン:交響曲第3番(1991年録音)
山田一雄(1912.10-1991.8)の指揮する
大阪センチュリー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第3番《英雄》を聴きました。
大阪センチュリー交響楽団は、
現在の日本センチュリー交響楽団であり、
2011年4月に名称変更されました。
1989年に設立され、
1990年3月に最初の演奏会が開かれています。
このCDは
それから1年後に開催された
第4回定期演奏会のライブ録音です。
山田一雄はこの年の8月に急逝されているので、
亡くなる5ヶ月前の記録としても貴重なものです。
ベートーヴェン
交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
モーツァルト
歌劇《イドメネオ》のためのバレエ音楽 K.367
より第4曲 ガヴォット
大阪センチュリー交響楽団
山田一雄(指揮)
録音:1991年3月15日大阪、ザ・シンフォニーホール
【WWCC-7782】2015年3月発売
山田一雄氏は、
クラシック音楽を聴き始めたころに、
テレビで見かけた
情熱的で規格外の指揮姿に心を奪われて以来、
大好きな指揮者の一人です。
わかりやすい棒をふる方ではなかったので、
残されたライブ録音を聴くと、
技術的に難のあるものが多く、
たまに発売される
昔の録音を聴いてみては、
こんなはずではないと
がっかりすることの繰り返しが続いています。
さて今回の
大阪センチュリー響との《英雄》、
実はそれほど期待していなかったのですが、
店頭で視聴してみたところ、
オケの状態がかなり良く、
どこにもオケの乱れがない様子だったので、
これは成功作かもと思い、購入してみました。
家でじっくり聴いてみたところ、
かつて聴いた新星日本交響楽団や
札幌交響楽団との《英雄》と比べて、
大阪センチュリー響のほうが、
オケの規模は小さいので迫力には欠けるのですが、
極端に無理なことはさせずに、
ごくオーソドックスな《英雄》が描き出されていて、
技術的には十分納得のいくレベルで演奏されていました。
しかしそれでは、これが
山田一雄による《英雄》の決定版足りうるのか
といえば、残念ながら否と答えざるを得ません。
すべてがスッキリと見通しよくまとめられている分、
彼ならではの、
心を激しく揺さぶられる感動には欠けていて、
おとなしい印象で、
繰り返しこのCDを聴きたくなる
特色には欠けているように思うのです。
山田一雄氏のベートーヴェン、
私にとっての名盤は、
新星日本交響楽団との《運命》1枚のみで、
他はその真価を伝えていない、
とする判断に変わりはありません。
大阪センチュリー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第3番《英雄》を聴きました。
大阪センチュリー交響楽団は、
現在の日本センチュリー交響楽団であり、
2011年4月に名称変更されました。
1989年に設立され、
1990年3月に最初の演奏会が開かれています。
このCDは
それから1年後に開催された
第4回定期演奏会のライブ録音です。
山田一雄はこの年の8月に急逝されているので、
亡くなる5ヶ月前の記録としても貴重なものです。
ベートーヴェン
交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》
モーツァルト
歌劇《イドメネオ》のためのバレエ音楽 K.367
より第4曲 ガヴォット
大阪センチュリー交響楽団
山田一雄(指揮)
録音:1991年3月15日大阪、ザ・シンフォニーホール
【WWCC-7782】2015年3月発売
山田一雄氏は、
クラシック音楽を聴き始めたころに、
テレビで見かけた
情熱的で規格外の指揮姿に心を奪われて以来、
大好きな指揮者の一人です。
わかりやすい棒をふる方ではなかったので、
残されたライブ録音を聴くと、
技術的に難のあるものが多く、
たまに発売される
昔の録音を聴いてみては、
こんなはずではないと
がっかりすることの繰り返しが続いています。
さて今回の
大阪センチュリー響との《英雄》、
実はそれほど期待していなかったのですが、
店頭で視聴してみたところ、
オケの状態がかなり良く、
どこにもオケの乱れがない様子だったので、
これは成功作かもと思い、購入してみました。
家でじっくり聴いてみたところ、
かつて聴いた新星日本交響楽団や
札幌交響楽団との《英雄》と比べて、
大阪センチュリー響のほうが、
オケの規模は小さいので迫力には欠けるのですが、
極端に無理なことはさせずに、
ごくオーソドックスな《英雄》が描き出されていて、
技術的には十分納得のいくレベルで演奏されていました。
しかしそれでは、これが
山田一雄による《英雄》の決定版足りうるのか
といえば、残念ながら否と答えざるを得ません。
すべてがスッキリと見通しよくまとめられている分、
彼ならではの、
心を激しく揺さぶられる感動には欠けていて、
おとなしい印象で、
繰り返しこのCDを聴きたくなる
特色には欠けているように思うのです。
山田一雄氏のベートーヴェン、
私にとっての名盤は、
新星日本交響楽団との《運命》1枚のみで、
他はその真価を伝えていない、
とする判断に変わりはありません。
2015年7月6日月曜日
朝比奈隆&大阪フィルのベートーヴェン:交響曲第3番(2000年録音)
日本の指揮者
朝比奈隆(1908.7-2001.12)の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第3番《英雄》を聴きました。
朝比奈隆の最晩年、
2000年に録音された7回目の交響曲全集からの分売です。
指揮者92歳(2000年7月)の時の録音です。
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
録音:2000年7月23日 東京、サントリーホール
【AVCL84002】※2014年11月発売。
朝比奈隆7回目の全集は、
各曲2回の公演をそのままCD化する
マニア向けの趣向だったので(2000年4月- 2001年5月発売)、
途中まで購入したものの全曲揃えるには至りませんでした。
2008年12月に改めて、
6枚組の全集として発売されましたが、
高価なので買いそびれているうちに、
今回(2014年11月)の再販となりました。
第3番は初出時に、
2000年7月8日(大阪)と23日(東京)の演奏が2種類ともCD化されました。
今回のCDには、
2000年7月23日のライブ収録とありますので、
23日の東京での演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
***
さて今回の演奏、
第1・2番がとても良かったので期待していたのですが、
指揮者の意欲が空回りしたのか、
始めから微妙に縦の線がズレるところがあり、
ごく僅かですがリズムに乱れが生じ、
大きなミスこそないものの、
全体的に散漫な印象で、集中力に欠ける演奏となっていました。
失敗とまでは言えないものの、
朝比奈隆の《英雄》として第一に推せる演奏でないことは確かだと思います。
ライブ録音でいつも
絶好調時の名演を残せるとは限らないので、
まあ仕方がないかなと思いましたが、
念のため、
初出時のCDで確認してみたところ、驚きました。
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
〔DISC1〕2000年7月8日 大阪、ザ・シンフォニーホール
〔DISC2〕2000年7月23日 東京、サントリーホール
【OVCL00026】※2000年10月発売。
ほぼ同時期に行われた2回分の演奏会がそのまま収録されています。
このうち上記のとは収録日の異なる
〔DISC1〕2000年7月8日(大阪)
の演奏を確認してみると、
23日の東京の演奏会で聴かれた
指揮者とオーケストラとの微妙な齟齬がどこにもなく、
第1・2番で聴かれたのと同じレベルの完成度で、
安心して身を任せられる立派な《英雄》が演奏されていました。
私の思い違いかもしれませんが
CDの音だけ繰り返し聴いてみる限りでは、
7月8日(大阪)の演奏会のほうが、
7月23日(東京)の演奏会よりも
はるかに優れた演奏であるように聴こえました。
〔DISC1〕2000年7月8日(大阪)
の演奏であれば、
朝比奈隆の最後の結論として、
繰り返し聴くに足る《英雄》の優れた演奏といって良いと思います。
朝比奈隆(1908.7-2001.12)の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第3番《英雄》を聴きました。
朝比奈隆の最晩年、
2000年に録音された7回目の交響曲全集からの分売です。
指揮者92歳(2000年7月)の時の録音です。
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
録音:2000年7月23日 東京、サントリーホール
【AVCL84002】※2014年11月発売。
朝比奈隆7回目の全集は、
各曲2回の公演をそのままCD化する
マニア向けの趣向だったので(2000年4月- 2001年5月発売)、
途中まで購入したものの全曲揃えるには至りませんでした。
2008年12月に改めて、
6枚組の全集として発売されましたが、
高価なので買いそびれているうちに、
今回(2014年11月)の再販となりました。
第3番は初出時に、
2000年7月8日(大阪)と23日(東京)の演奏が2種類ともCD化されました。
今回のCDには、
2000年7月23日のライブ収録とありますので、
23日の東京での演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
***
さて今回の演奏、
第1・2番がとても良かったので期待していたのですが、
指揮者の意欲が空回りしたのか、
始めから微妙に縦の線がズレるところがあり、
ごく僅かですがリズムに乱れが生じ、
大きなミスこそないものの、
全体的に散漫な印象で、集中力に欠ける演奏となっていました。
失敗とまでは言えないものの、
朝比奈隆の《英雄》として第一に推せる演奏でないことは確かだと思います。
ライブ録音でいつも
絶好調時の名演を残せるとは限らないので、
まあ仕方がないかなと思いましたが、
念のため、
初出時のCDで確認してみたところ、驚きました。
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
〔DISC1〕2000年7月8日 大阪、ザ・シンフォニーホール
〔DISC2〕2000年7月23日 東京、サントリーホール
【OVCL00026】※2000年10月発売。
ほぼ同時期に行われた2回分の演奏会がそのまま収録されています。
このうち上記のとは収録日の異なる
〔DISC1〕2000年7月8日(大阪)
の演奏を確認してみると、
23日の東京の演奏会で聴かれた
指揮者とオーケストラとの微妙な齟齬がどこにもなく、
第1・2番で聴かれたのと同じレベルの完成度で、
安心して身を任せられる立派な《英雄》が演奏されていました。
私の思い違いかもしれませんが
CDの音だけ繰り返し聴いてみる限りでは、
7月8日(大阪)の演奏会のほうが、
7月23日(東京)の演奏会よりも
はるかに優れた演奏であるように聴こえました。
〔DISC1〕2000年7月8日(大阪)
の演奏であれば、
朝比奈隆の最後の結論として、
繰り返し聴くに足る《英雄》の優れた演奏といって良いと思います。
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