日本の指揮者
朝比奈隆(1908.7-2001.12)の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770.12-1827.3)の
交響曲第3番《英雄》を聴きました。
朝比奈隆の最晩年、
2000年に録音された7回目の交響曲全集からの分売です。
指揮者92歳(2000年7月)の時の録音です。
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
録音:2000年7月23日 東京、サントリーホール
【AVCL84002】※2014年11月発売。
朝比奈隆7回目の全集は、
各曲2回の公演をそのままCD化する
マニア向けの趣向だったので(2000年4月- 2001年5月発売)、
途中まで購入したものの全曲揃えるには至りませんでした。
2008年12月に改めて、
6枚組の全集として発売されましたが、
高価なので買いそびれているうちに、
今回(2014年11月)の再販となりました。
第3番は初出時に、
2000年7月8日(大阪)と23日(東京)の演奏が2種類ともCD化されました。
今回のCDには、
2000年7月23日のライブ収録とありますので、
23日の東京での演奏をもとに微調整された音源ということだと思います。
***
さて今回の演奏、
第1・2番がとても良かったので期待していたのですが、
指揮者の意欲が空回りしたのか、
始めから微妙に縦の線がズレるところがあり、
ごく僅かですがリズムに乱れが生じ、
大きなミスこそないものの、
全体的に散漫な印象で、集中力に欠ける演奏となっていました。
失敗とまでは言えないものの、
朝比奈隆の《英雄》として第一に推せる演奏でないことは確かだと思います。
ライブ録音でいつも
絶好調時の名演を残せるとは限らないので、
まあ仕方がないかなと思いましたが、
念のため、
初出時のCDで確認してみたところ、驚きました。
ベートーヴェン
交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
〔DISC1〕2000年7月8日 大阪、ザ・シンフォニーホール
〔DISC2〕2000年7月23日 東京、サントリーホール
【OVCL00026】※2000年10月発売。
ほぼ同時期に行われた2回分の演奏会がそのまま収録されています。
このうち上記のとは収録日の異なる
〔DISC1〕2000年7月8日(大阪)
の演奏を確認してみると、
23日の東京の演奏会で聴かれた
指揮者とオーケストラとの微妙な齟齬がどこにもなく、
第1・2番で聴かれたのと同じレベルの完成度で、
安心して身を任せられる立派な《英雄》が演奏されていました。
私の思い違いかもしれませんが
CDの音だけ繰り返し聴いてみる限りでは、
7月8日(大阪)の演奏会のほうが、
7月23日(東京)の演奏会よりも
はるかに優れた演奏であるように聴こえました。
〔DISC1〕2000年7月8日(大阪)
の演奏であれば、
朝比奈隆の最後の結論として、
繰り返し聴くに足る《英雄》の優れた演奏といって良いと思います。
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