スイス出身のテノール歌手
エルンスト・ヘフリガー
(Ernst Haefliger 1919.7-2007.3)の歌唱、
スイス出身の鍵盤楽器奏者
イェルク・エーヴァルト・デーラー
(Jörg Ewald Dähler 1933.3-)の伴奏で、
オーストリアの作曲家
フランツ・シューベルト
(Franz Schubert 1797.1-1828.11)の
歌曲集《美しき水車小屋の娘》を聴きました。
ヘフリガー62歳の時(1982.6)の録音です。
フランツ・シューベルト
歌曲集《美しき水車小屋の娘》作品25 D795
~ヴィルヘルム・ミュラーの詩による連作歌曲
1) さすらい
2) どこへ?
3) 止まれ!
4) 小川に寄せる感謝の言葉
5) 仕事を終えた宵の集いで
6) 知りたがる男
7) いらだち
8) 朝の挨拶
9) 粉ひき職人の花
10) 涙の雨
11) 僕のものだ!
12) 休息
13) リュートの緑色のリボンを手に
14) 狩人
15) 嫉妬と誇り
16) 好きな色
17) 邪悪な色
18) 枯れた花
19) 粉ひき職人と小川
20) 小川の子守歌
エルンスト・ヘフリガー(テノール)
イェルク・エーヴァルト・デーラー(ハンマーフリューゲル)
録音:1982年6月、ゼオン福音教会、スイス、アールガウ州
【KICC3710】
歌曲集《美しき水車小屋の娘》は、
シューベルトの三大歌曲集のうち最初のもので、
26歳の時(1823年5-11月)に作曲されました。
亡くなる1年前(1827年2-10月)に作曲された
歌曲集《冬の旅》の4年前にまとめられました。
***
秋に久しぶりに、
フィッシャー・ディースカウの
《冬の旅》を聴いて、
彼の歌唱でほかの歌曲集も聴こうと思っていたのですが、
つい最近、1枚1,000円ほどで
ヘフリガーの三大歌曲集が再販されたのを見かけたので、
1枚聴いてみることにしました。
するとこれが大正解!
ヘフリガーはテノールだからなのか、
(ディースカウはバリトン)
ディースカウのときより
軽く明るい声質が若々しい印象で、
初めて味わう
さわやかな感動のうちに
《美しき水車小屋の娘》を聴き通すことができました。
この作品が、
シューベルト20代半ば、
青春時代の作品であることを確認できました。
聴いてしばらくは、
ヘフリガーの若いころの録音だと思い込んでいたのですが、
調べてみると何と62歳(!)の録音で、
びっくりしました。
わかって聴き直してみると、
若々しい声質ながらも、若手にはまず不可能な、
きわめつくされた感のあるよく練られた解釈で、
確かに、若手の歌唱ではないなと納得しました。
しかし声の若々しさは驚くべきレベルで、
老いのかけらも感じさせません。
堂々とした覇気あふれる歌いっぷりに、
自然な感動に浸ることができました。
ちなみにヘフリガーは、
51歳の時(1970年11月30日、12月24・25日)にも、
小林道夫氏の伴奏で同曲を録音していますが、
試聴音源(各曲45秒ずつ)を聴く限りでは、
62歳の時よりずっと堅い印象で、年齢相応の歌唱になっていました。
それから10年後の歌唱のほうが、
ずっと若々しく聴こえるのはとても興味深かったです。
参考までに、
ドイツのバリトン歌手
ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ
(1925.5-2012.5)の同曲録音は、
ディースカウ30代、40代の時でした。
(詳しくないので、他にもあるかもしれません。)
1961年12月録音
ディースカウ 36歳
ジェラルド・ムーア(ピアノ)……EMI
1971年12月録音
ディースカウ 46歳
ジェラルド・ムーア(ピアノ)……グラモフォン
※Wikipediaの「エルンスト・ヘフリガー」「Jörg Ewald Dähler 」「フランツ・シューベルト」「美しき水車小屋の娘」を参照。
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