名古屋市美術館まで特別展
「リバプール国立美術館所蔵
英国の夢
ラファエル前派展」
を観に行ってきました。
新潟市美術館〔2015年7月19日-9月23日〕
名古屋市美術館〔2015年10月3日-12月13日〕
Bunkamura ザ・ミュージアム〔2015年12月22日-2016年3月6日〕
山口県立美術館〔2016年3月18日-5月8日〕
の4箇所で開催されています。名古屋展の主催は、
名古屋市美術館
中日新聞社
となっていました〔図録参照〕。
***
「英国の」とあるので、
落ちついて考えれば事前に気がついたはずですが、
16世紀初めのイタリアの画家
ラファエロ・サンティ(1493.4-1520.4)
の絵画が観られると早合点していました。
入館して、1850年代から1910年代の
イギリス絵画がずらりと並んでいるのをみて、
「ラファエル前派」とは
19世紀半ばにイギリスで活躍した画家の集団
であることを知りました。
美術は好きな方ですが、
きちんと勉強したことがないので、
時にこんな間違いもあるでしょう。
図録を少し読んでみましたが、
専門家向けで初心者にはわかりにくかったので、
「ラファエル前派」についてまとめるのは別の機会に譲り、
知識ゼロのなかで懐いた感想を記しておきます。
ぱっとみて、
古典的な様式の枠組みを壊そうとするような、
強い衝動に駆られた、毒のある作品は見当たりませんでした。
ただ古典的な様式を用いながらも、
絵から伝わる印象は意外に新しく、
瑞々しい感性が巧みに織り込まれていて、
思わず惹き込まれる魅力のある作品がたくさん見つかりました。
形式的な新しさを追うよりは、
作品の内面的な美しさに目を向けていたようで、
イギリス音楽に似た特色を感じました。
***
展示会の図録から、
印象深かった作品10点を挙げておきます。
とくに感動した作品に☆印をつけました。
Ⅰ. ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896)
《良い決心》1877年【図録7】☆
《巣》1887年初出品【図録8】
ジョージ・ジョン・ピンウェル(1842-1875)
《ギルバート・ア・ベケットの誠実 ―夕暮れ時にロンドンへ入るサラセン人の乙女》1872年【図録17】
Ⅱ. 古代世界を描いた画家たち
チャールズ・エドワード・ペルジーニ(1839-1918)
《ドルチェ・ファール・ニエンテ(甘美なる無為)》1882年初出品【図録28】
《シャクヤクの花》1887年初出品【図録29】☆
エドワード・ジョン・ポインター(1836-1919)
《テラスにて》1889年初出品【図録31】
アーサー・ハッカー(1858-1919)
《ペラジアとフィラモン》1887年【図録33】☆
Ⅲ. 戸外の情景
ウィリアム・ヘンリー・ハント(1790-1864)
《卵のあるツグミの巣とプリムラの籠》1850-60頃【図録37】☆
ヘレン・アリンガム(1848-1926)
《ピナーの田舎家》1890年代初め【図録45】☆
Ⅳ. 19世紀後半の象徴主義者たち
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ(1833-1898)
《フラジオレットを吹く天使》1878年【図録54】☆
はっきりとしたわかりやすい印象の
人物画が多かったです。
神話などを題材としつつも、
19世紀後半の「今」の感性を大切にした
瑞々しい作品に心を揺さぶられました。
お薦めの展覧会です。
※Wikipediaの「ラファエロ・サンティ」「ラファエル前派」を参照。
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