ドイツのテノール歌手
フリッツ・ヴンダーリヒ(1930.9-1966.9)の歌唱、
ドイツのピアニスト
フーベルト・ハーゼン(1898.1-1980.2)の伴奏で、
ドイツの作曲家
ロベルト・シューマン(1810.6-1856.7)の
歌曲集《詩人の恋》を聴きました。
ヴンダーリヒ35歳の時(1965-66年)の録音です。
シューマン:
歌曲集『詩人の恋』作品48
~ハインリヒ・ハイネの詩による連作歌曲
1) うるわしい、妙なる5月に
2) ぼくの涙はあふれ出て
3) ばらや、百合や、鳩
4) ぼくがきみの瞳を見つめると
5) ぼくの心をひそめてみたい
6) ラインの聖なる流れの
7) ぼくは恨みはしない
8) 花が、小さな花がわかってくれるなら
9) あれはフルートとヴァイオリンのひびきだ
10) かつて愛する人のうたってくれた
11) ある若ものが娘に恋をした
12) まばゆく明るい夏の朝に
13) ぼくは夢のなかで泣きぬれた
14) 夜ごとにぼくはきみを夢に見る
15) むかしむかしの童話のなかから
16) むかしの、いまわしい歌草を
ベートーヴェン
1) 君を愛す WoO123
2) アデライーデ 作品46
3) 諦め WoO149
4) くちづけ 作品128
シューベルト
1) シルヴィアに D891
2) 双子座の星に寄せる舟人の歌 D360
3) 美しい恋人 D558
4) 孤独な男 D800
5) 夕映えの中で D799
6) セレナーデ D957 No.4
7) リュートに寄せて D905
8) ミューズの子 D764
9) 音楽に寄せて D547
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール)
フーベルト・ギーゼン(ピアノ)
録音:1965年10・11月、1966年7月、ミュンヘン
【449 747-2】1997年2月発売
シューベルトの歌曲を聴き進めているうちに、
36歳で亡くなったテノール歌手
フリッツ・ヴンダーリヒ(1930.9-1966.9) による
シューマンの歌曲集《詩人の恋》が目に留まりました。
インターネット上で絶賛の1枚だったので、
外国語の歌曲の聴かず嫌いをなおすのにもってこいだと思い、
聴いてみることにしました。
シューマンの歌曲集は、
30歳の時(1840年)に集中して作曲されています。
この年に、
《リーダークライス》作品24
《リーダークライス》作品39
《ミルテの花》作品25
《女の愛と生涯》作品42
《詩人の恋》作品48
の5つの歌曲集がまとめられたことから、
「歌曲の年」と呼ばれているそうです。
《詩人の恋》を聴きなれたら、
ここにある5つの歌曲集を制覇していこうと思います。
さて《詩人の恋》ですが、
聴き始めて数ヶ月ほどは、
美しい場面には事欠かないものの、
全体としてはつかみどころのない印象で、
そこまでの名曲には思えませんでした。
しかしだんだん
曲の流れが頭に入って来て、
全体の有機的なつながりがわかって来ると、
シューベルトのとき以上に
心にすっと入り込んで来て、
青春の心の痛みを
程良い空間に閉じ込めた
名曲であることを実感できるようになりました。
ヴンダーリヒの歌唱は、
ひたすらなめらかでつやのある心地よい声質で、
全体を一筆書きにする
勢いのある歌声に魅了されました。
あまり「影」の部分を感じない声質なので、
もっと深い曲なんじゃないかと思わなくもなかったのですが、
ここまで美しければ、
これはこれとして十分に満足できる演奏でした。
ただしその後収録されていた
ベートーヴェンとシューベルト。
ベートーヴェンには特に不満はなかったのですが、
シューベルトはただただ美しいばかりで、
心にひっかかって来るものが少なくて、
今一つな印象でした。
深みには乏しいけれども、
それを補って余りある美声を聴くべき歌手のように思われました。
《詩人の恋》の1枚目としては大満足です。
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