横山幸雄(1971-)氏による
ポーランド出身の作曲家
フレデリック・フランソワ・ショパン
(1810-1849)のピアノ独奏曲全集
9枚目を聴きました。
プレイエルによる
ショパン・ピアノ独奏曲全曲集〈9〉
2つのノクターン 作品37
①第1番 ト短調〔第11番〕
②第2番 ト長調〔第12番〕
⇒(1838-39年作曲、40年出版)
③バラード第2番 ヘ長調 作品38
⇒(1836-39年作曲、40年出版)
2つのポロネーズ 作品40
④第1番 イ長調「軍隊」〔第3番〕
⑤第2番 ハ短調〔第4番〕
⇒(1838-39年作曲、40年出版)
⑥スケルツォ第3番 嬰ハ短調 作品39
⇒(1839年作曲、40年出版)
4つのマズルカ 作品41
⑦第1番 ホ短調〔第26番〕
⑧第2番 ロ長調〔第27番〕
⑨第3番 変イ長調〔第28番〕
⑩第4番 嬰ハ短調〔第29番〕
⇒(1838-39年作曲、1840年出版)
⑪ワルツ第5番 変イ長調《大円舞曲》作品42
⇒(1840年作曲、40年出版)
⑫タランテラ 変イ長調 作品43
⇒(1841年作曲、41年出版)
⑬アレグレットとマズール イ長調
⇒[遺作◆](1974年出版)
円熟期の遺作の小品
⑭ソステヌート 変ホ長調 WN53
⇒[遺作◆IVb-10](1840年作曲、1955年出版)
⑮フーガ イ短調
⇒[遺作◆IVc-2](1841-42年作曲、1898年出版)
⑯モデラーと“アルバムの一葉”ホ長調 WN56
⇒[遺作◆IVb-12](1843年作曲、1910年出版)
⑰ギャロップ・マルキ 変イ長調 WN59
⇒[遺作◆IVb-13](1846年作曲、1990年出版)
⑱ノクターン《遺作》ハ短調 WN62
⇒[遺作◆IVb-8](1845-46年作曲、1938年出版)
⑲2つのブーレ ト長調・イ長調
⇒[遺作◆VIIb-1,2](1846年作曲、1968年出版)
⑳ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 作品44
⇒(1840-41年作曲、41年出版)
横山幸雄(ピアノ)
使用楽器:プレイエル(1910年製)
録音:2011年6月10・11日
上野学園 石橋メモリアルホール
【KICC-921】※2011年9月発売
伊藤はに子氏のCD解説には、
「作品は、
ほとんどの作品がマヨルカ島とノアンで生まれ、
サンドとの日々が刻印された作品群を形成する。
これに加え、1841年から1846年にかけての遺作の小品が添えられている。」
とあります。年齢でいえば、ショパンが
30歳前後(1810年生まれ)に作られた作品群で編まれています。
演奏がずば抜けているのは、
バラード第2番ヘ長調 と
スケルツォ第3番嬰ハ短調
の2曲。
個人的に、
バラードとスケルツォは
どうにもつかみどころがない感じがして、
誰の演奏で聴いても納得できなかったのですが、
横山氏の演奏で聴いて初めて、
どんな曲なのかわかって来ました。
少し規模の大きな作品、
筋道の立ちにくい複雑な作品を弾くときの説得力の強さは、
ほかの演奏家ではなかなか聴けないレベルに達していると思います。
ほかの曲でも、
楽譜が求めるところを
抜群のテクニックで過不足なく音にしながら、
情感に欠けるわけでもなく、
曲本来の魅力をよく引き出していると思います。
日本人である横山氏が、
ポーランド人ならではの節回しで勝負するわけにもいかないので、
一つのスタイルとしてありだと思わせる説得力があります。
バラードとスケルツォにつぐのがポロネーズで、
そのほかノクターンも普遍的な美しさを表現し得ていると思います。
意外に面白いのがマズルカで、
ならではのリズムとは違うのでしょうが、
曲本来の美しさが引き出されています。
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