2017年2月27日月曜日

ヴィト&ポーランド国立放送響のマーラー:交響曲第4番(1992年録音)

ポーランドの指揮者
アントニ・ヴィト(Antoni Wit, 1944.2- )の指揮する

ポーランド国立放送交響楽団の演奏、

イギリス生まれのソプラノ歌手
リンダ・ラッセル(Lynda Russell, 1963- )の独唱で、

オーストリア帝国生まれの作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第4番を聴きました。


マーラー:交響曲第4番 ト長調
リンダ・ラッセル(ソプラノ)
ポーランド国立放送交響楽団
アントニ・ヴィト(指揮)
録音:1992年6月26-28日、9月15日、カトヴィツェ、ポーランド国立放送コンサートホール
【Naxos 8.550527】1993年発売

交響曲第4番は、
1899-1900年にかけて作曲され、
マーラー41歳の時(1901年11月)に初演されました

ちなみに第3番は、
1895-96年にかけて作曲されたものの、
初演の指揮が遅れ、第4番初演の7ヶ月後、
1902年6月に初演されました。


  ***

シューマンの《ライン》と、
マーラーの第10番(1楽章のみ)
非常な名演が印象に残るヴィトさん、

いくつか聴いてみると、
飛び切り良いものと今一つなものとの差が大きいので、
CDは買ってみないとわからないところがあります。

マーラーでは、
期待して買った第3番が平凡でがっかりした反面、
同じCDに収録されていた第10番(第1楽章)は、
それまで聴いた中でも飛び抜けて優れた演奏でした。

それからしばらく空きましたが、
最近なじみの古本屋で偶然マラ4のCDを見かけました。

格安でしたので、
すぐに購入して聴いてみたところ、

清楚で夢見るように美しい、
この曲のイメージにピッタリ合うように作られた
模範的な演奏だと思いました。

元々どちらかといえば、
それほど思い入れたっぷりな演奏をする方ではないので、
少しマーラーらしく聴こえない所もあるように感じますが、
古典的な編成の第4番ならこれもありかなと。

あえて言うなら、
インバル&フランクフルト放送響の
第4番(1985年録音)より7年近くのちの録音であるにもかかわらず、
少し古ぼけた感じの艶のない音質になっているが引っかかるので、

今後どこかからリマスターされて再販されることがあれば、
聴き直してみたいと思います。

2017年2月20日月曜日

ワルターのマーラー:若き日の歌&交響曲第5番(1947年録音)

ドイツ出身の指揮者
ブルーノ・ワルター
(Bruno Walter, 1876年9月-1962年2月)の指揮する

アメリカのオーケストラ
ニューヨーク・フィルの演奏で、

オーストリア帝国ボヘミア出身の作曲家
グスタフ・マーラー
(Gustav Mahler, 1860年7月-1911年5月)の
交響曲第5番と、歌曲集《若き日の歌》を聴きました。

歌曲集は、
オーストリアのソプラノ歌手
デシ・ハルバン(Desi Halban, 1912年4月-96年2月)の独唱で、
ワルターがピアノで伴奏しています。

ワルターが70-71歳の時(1947年)の録音です


グスタフ・マーラー(1860-1911)
①歌曲集《若き日の歌》
 デシ・ハルバン(ソプラノ)
 ブルーノ・ワルター(ピアノ)
 録音:1947年12月16日、ロサンジェルス

②交響曲第5番 嬰ハ短調
 ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
 ブルーノ・ワルター(指揮)
 録音:1947年2月10日、カーネギーホール、ニューヨーク
【Naxos 8.110896】

①歌曲集《若き日の歌》は、
 マーラーが32歳の時(1892年)に出版されました

このCDでは全14曲の中から、
 第2曲「思い出」ト短調
 第12曲「別離と忌避」ヘ長調
 第13曲「もう会えない」ハ短調
 第7曲「緑の森を楽しく歩いた」ニ長調
 第11曲「夏に小鳥はかわり」変ロ短調
 第3曲「ハンスとグレーテ」ニ長調
 第1曲「春の朝」ヘ長調
 第9曲「たくましい想像力」変ロ長調
の8曲がこの順番で演奏されています。

②交響曲第5番嬰ハ短調は、
 マーラー44歳の時(1904年10月)に初演されました


  ***

①の《若き日の歌》は今回初めて聴きました。

肩の力を抜いて、
普段着の一コマを切り出したような、
素朴な印象の歌唱。

そんなに上手い歌ではなく、
いい音で録れているわけでもないので、

ワルターの伴奏が聴ける!
という歴史的な価値から考えるべき録音のように感じました。


②の交響曲第5番は、
速めのテンポで一気に駆け抜ける
共感度の高い演奏で、予想外の熱演に驚きました。

演奏だけをみれば、
 1938年録音のマラ9
 1953年録音の《大地の歌》
に匹敵する感動的な演奏が繰り広げられていると思いますが、

NAXOSのこの盤で聴くと、
生々しくはあるのですが、
オケの音が耳にうるさく響いて、
感動以前に聴き通すのがつらい演奏になっていました。

もう少し聴きやすい復刻盤が見つかれば、
少なくともバーンスタイン&ニューヨーク・フィルの録音よりは、
はるかに優れた演奏だと思うので、

音の良い復刻盤を求めて、
気長に探してみたいと思います。

2017年2月13日月曜日

ケンプ&ケンペンのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番(1953年録音)

ドイツのピアニスト
ヴィルヘルム・ケンプ
(Wilhelm Kempff, 1895.11-1991.5)の独奏、

オランダ出身のドイツの指揮者
パウル・ファン・ケンペン
(1893.5-1955.12)の指揮する

ドイツのオーケストラ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(Berliner Philharmoniker)の伴奏で、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770.12-1827.3)の
ピアノ協奏曲第5番《皇帝》を聴きました。

ケンプ57歳の時(1953.5)に録音された演奏です

※Wikipediaの「ヴィルヘルム・ケンプ」「パウル・ファン・ケンペン」「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」を参照。


ヴィルヘルム・ケンプ名演集
CD7
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73《皇帝》
 パウル・ヴァン・ケンペン(指揮)
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音:1953年5月、ベルリン、イエス・キリスト教会

ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 作品81a《告別》
 録音:1951年
【Membran 10CD Collection 233479】


均等な美しさに魅了されてきた
ケンプによるベートーヴェンの
ピアノ協奏曲全集(旧録音)、
ようやく第5番に辿り着きました。

聴いてみると、
第1番から4番までの
見通しの良い落ちついた演奏とは違って、

ライブ一発録りのような趣きで、
荒々しく、ケンプの熱い想いが先走って、
空回りしてしまったかのような演奏で、
残念な印象が残りました。

 Menbran のCDは音質に難があることもあるので、
 別の復刻で聴いたら、違った感想になるかもしれませんが、

全体としてみると、
第1~4番は◎、第5番?
という内容でした。

ベルリン・フィルの分厚い響きに圧倒される、
一度は聴いておきたい演奏でした。


《告別》は他のソナタ録音と同じく、
訥々とした語り口の中に深い味わいのある、
ケンプならではの名演で、
感銘度では《皇帝》を遥かにしのいでいました。

2017年2月6日月曜日

インバル&フランクフルト放送響のマーラー:交響曲第5番嬰ハ短調(1986年録音)

イスラエルの指揮者
エリアフ・インバル(Eliahu Inbal, 1936年2月- )の指揮する

ドイツのオーケストラ
フランクフルト放送交響楽団
(2005年にhr交響楽団に改称)の演奏で、

オーストリア帝国の作曲家
グスタフ・マーラー(1860.7-1911.5)の
交響曲第5番嬰ハ短調を聴きました。

指揮者49歳の時(1986年1月)の録音です


マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

エリアフ・インバル指揮
フランクフルト放送交響楽団
録音:1986年1月23-25日、フランクフルト、アルテ・オーバー
【COCO73074】2010年8月発売。

交響曲第5番嬰ハ短調は、
マーラー44歳の時(1904年10月)に初演された作品です


先月、インバル&都響による
1995年録音(旧サイクル)のマラ5を聴いて、
深く感動したので、

その9年前(1986年)、
インバル49歳の時に録音された
フランクフルト放送交響楽団とのCDを購入し、
聴いてみることにしました。

一聴して音の良さにびっくり!
まさかこれほどとは思っていませんでした。

もともと音の良さで有名な録音ですが、
2010年に発売された[Blu-spec CD]仕様の効果が絶大なのか、

一枚だけ持っていたCD(大地の歌)で聴いていた
音質の印象を一新しました。

これまでも十分高音質だったのですが、
ほんの少し線が細く、無機質な印象もあり、
それほど注目して来ませんでした。

ところが[Blu-spec CD]仕様では、
本当にコンサートホールでオケを聴いているような
自然な臨場感に加えて、
オケの細部までよく聴こえてくる透明でふくよかな音色で、
驚くほどの美しい「音」そのものにまず耳を奪われてしまいました。

演奏自体は、
この9年後の都響との録音のほうが、
ライブなのでよりいっそう熱く燃えた演奏になっているので、

どちらか一方を選ぶのであれば、
都響との95年ライブのほうが好きなのですが、

フランクフルト放送響との録音も、
決して冷静なわけではなく、音楽を壊さない範囲で
十分に熱さを感じる演奏ではあります。

音の良い[Blu-spec CD]仕様でしたら、
マラ5のお薦めの1枚と言ってよいと思います。