ドイツの指揮者
カール・ミュンヒンガー
(Karl Münchinger, 1915.5-1990.3)の指揮する
オーストリアのオーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、
オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756.1-1791.12)の
フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299 (K.297c)
クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
を聴きました。
独奏はそれぞれウィーン・フィルのメンバーが担当しており、
フルート独奏はウェルナー・トリップ
(Werner Tripp, 1930.4-2003.12)、
ハープ独奏はフーベルト・イェリネク
(Hubert Jellinek, 1909- )、
クラリネット独奏はアルフレート・プリンツ
(Alfred Prinz, 1930.6-2014.9)、
の3名が担当しています。
モーツァルト
①フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(K.297c)
ウェルナー・トリップ(フルート)
フーベルト・イェルネク(ハープ)
②クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
アルフレート・プリンツ(クラリネット)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ミュンヒンガー(指揮)
録音:1962年9月、ウィーン、ゾフィエンザール
【PCD-429】2015年7月発売
フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(K.297c) は、
モーツァルト22歳の時(1778年4月)に作曲されました。
クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 は、
35歳の時(1791年9-11月)に作曲されました。
モーツァルトは同年12月に亡くなっているので、
クラリネット協奏曲は、
亡くなる直前に作曲された作品の一つということになります。
***
学生の頃に、
宇野功芳氏の著書で存在を知った有名な録音ですが、
そのころ出ていた音の悪い廉価盤CDで聴いて、
何が良いのかわからなかった演奏です。
今回、廉価盤なのに意外な音の良さで驚かされている
キープ株式会社さんのシリーズで聴き直してみたところ、
これが大正解。
雑味を含んだ
ウィーン・フィル独特のざらざらした音色に、
独奏楽器がくっきりと浮かび上がって、
初めてその真価を知ることが出来ました。
解釈はウィーンの流儀に従ったオーソドックスなものですが、
音像がくっきり鮮やかになることで、
モーツァルトの典雅な世界が確信をもって雰囲気が広がって行き、
感動を新たにすることができました。
個人的に、
フルートとハープのための協奏曲には
さほどこだわりがないのですが、
この録音なら聴ける、と初めて思いました。
私にとって大ヒットだったのは、
プリンツ独奏のクラリネット協奏曲のほうで、
プリンツはこの録音の10年後(1972年9月)に
ベームの指揮するウィーン・フィルと再録音しているのですが、
分厚いオケの響きにプリンツのソロが埋もれがちで、
もどかしい思いをする新録音となっていました。
まさか旧録音のほうが、
これほど新鮮な印象の快演になっているとは思わずに、
ベームとの録音のほうをいろいろな復刻CDで聴き比べていました。
まだまだ聴き逃している名演は多いはずですが、
今回のプリンツ独奏による旧録音は、
十分に満足できるクラリネット協奏曲の演奏となりました。
ここにさらに、
晩年のモーツァルト特有の枯れた味わいが加われば
鬼に金棒なのでしょうが、
それは今後の楽しみに残しておくことにします。
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