ウィーン生まれのヴァイオリニスト
ワルター・バリリ(Walter Barylli, 1921年6月~)が、
1945年に、ウィーン・フィルの同僚たちとともに結成した
バリリ四重奏団の演奏で、
結成7年目から11年目
(1952-56年)にかけて録音された
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
の弦楽四重奏曲全集を聴き進めていますが、
今回は2枚目として、
ベートーヴェン30歳の時(1801年)に出版された
作品18の後半3曲(第4・5・6)番を聴きました。
バリリ四重奏団の芸術~
Disc2
ベートーヴェン:
① 弦楽四重奏曲第4番ハ短調 Op.18-4
② 弦楽四重奏曲第5番イ長調 Op.18-5
③ 弦楽四重奏曲第6番変ロ長調 Op.18-6
バリリ四重奏団
ヴァルター・バリリ(第1ヴァイオリン)
オットー・シュトラッサー(第2ヴァイオリン)
ルドルフ・シュトレンク(ヴィオラ)
リヒャルト・クロチャック(チェロ)
録音時期:1952年(第4,5番)、1953年(第6番)
【SCRIBENDUM SC805】2016年7月発売
第4番が
ハ短調の耳に残りやすい旋律から始まることもあって、
2枚目(後半3曲)は1枚目(前半3曲)よりも、
音楽的にぐっと深まりをみせているように思われました。
調べてみると、作品18は
第1番 ヘ長調
第2番 ト長調
第3番 ニ長調
第4番 ハ短調
第5番 イ長調
第6番 変ロ長調
という6曲からなりますが、
これらは、
1798年から1800年にかけて作曲され、
ベートーヴェンが30歳の時、
1801年6月に前半3曲(第1-3番)が、
同年10月に後半3曲(第4-6番)が出版されました。
作曲順に並べ直してみると、
前半(1-3)と後半(4-6)で二分されることに変わりはありませんが、
実際は
①→ 第3番 ニ長調
②→ 第2番 ト長調
③→ 第1番 ヘ長調
④→ 第5番 イ長調
⑤→ 第4番 ハ短調
⑥→ 第6番 変ロ長調
の順で作曲されており、
確かにこのように聴き進めたほうが、
ベートーヴェンの成長の様子が聴き取りやすくなるようです。
出版する側からすれば、あまりはっきりと
成長の段階がわかるのは好ましくないと考えたのかもしれませんが、
ベートーヴェンの努力の跡を正確にたどるためには、
作曲順に6曲を聴き込んでみたほうが、
納得できるところが多いようにも思います。
***
バリリ四重奏団のCD、いざ聴いてみると、
そこまで目新しく刺激的な演奏というわけではなく、
当たり前のことが普通になされているだけのようにも思われるのですが、
すべてが均等に響く
スメタナ四重奏団の演奏などと比べると、
第一ヴァイオリンを担当するバリリの、
音楽的なセンスの良さが際立っていて、
オーソドックスなスタイルのもとで、
中身のある充実した音楽を繰り広げていました。
繰り返し聴き込むにつれ、
ベートーヴェンらしい歌が程良く伝わってくる
好演であることがわかってきました。
実際のところ、
まだ6曲それぞれの個性を聴き分けられるところまでは来ていませんが、
かなり聴き込んで来たので、
そろそろ次の1枚に進もうと思います。
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