イスラエルの指揮者
エリアフ・インバル(Eliahu Inbal, 1936年2月- )
の指揮する
ドイツのオーケストラ
フランクフルト放送交響楽団
(2005年にhr交響楽団に改称)の演奏で、
オーストリア帝国の作曲家
アントン・ブルックナー
(Anton Bruckner, 1824年9月4日-1896年10月11日)の
交響曲第1番 ハ短調 を聴きました。
指揮者50歳の時(1987年1月)の録音です。
CD3
アントン・ブルックナー
交響曲第1番ハ短調(リンツ稿) [ノヴァーク版]
録音:1987年1月(ライブ録音)。フランクフルト、アルテ・オーパー
フランクフルト放送交響楽団
エリアフ・インバル(指揮)
録音:1982~88年月。フランクフルト、アルテ・オーパー
【TELDEC 11CD 2564 68022-8】※2014年4月発売
交響曲第1番 ヘ短調 は、
ブルックナーが
41歳の時(1865)に着手、
42歳の時(1866)に完成し、
44歳の時(1868)に初演されました。
この第1稿を「リンツ稿」と呼んでいます。
その後1877年と84年に細部の改訂が行われたので、
1935年に出版された
ハース校訂の「リンツ稿」(第1稿)では、
1877年の改訂を含めた状態で出版されました。
第1稿の初演から22年をへた
66歳の時(1890)に全面改訂が行われ、
翌91年に改訂稿の初演が行われました。
この第2稿を「ウィーン稿」と呼んでいます。
改訂稿の初演から2年後(1893)、
「ウィーン稿」(第2稿)に基づく「初版」が出版されました。
ブルックナーはこの3年後、
72歳の時(1896)に亡くなりますが、
1935年にハース校訂の「リンツ稿」が出版されるまで、
40年余り、第1番の出版譜は「ウィーン稿」しか存在しませんでした。
本格的な校訂譜としては、1935年に、
ハース校訂による「ウィーン稿」と「リンツ稿」が出版され、
その後、
1953年にノヴァーク校訂による「リンツ稿」が、
1979年にノヴァーク校訂による「ウィーン稿」が
それぞれ出版されました。
ノヴァーク版の「ウィーン稿」は、
実際の校訂者名をとって「ブロッシェ版」と呼ばれることもあるそうです。
このCDでは、
1953年に出版されたノヴァーク校訂による
「リンツ稿」が用いられています。
※根岸一美『作曲家◎人と作品 ブルックナー』(音楽之友社、2006年6月)と、Wikipediaの「交響曲第1番(ブルックナー)」の項を参照。
***
ヨッフム&ドレスデン・シュターツカペレを聴いた後だと、
オケの音色が澄んで、
きれいに整っていることに気付かされます。
楽譜がきれいに鳴っているので、
スコア・リーディングにはもってこいの演奏ですが、
だからといって、
きれいなだけで無表情に聴こえる訳ではなく、
感動的に最後まで聴き通すことができるので、
持っていて後悔することはない、模範的な演奏だと思います。
どちらが感動するかといえば、
ヨッフム&ドレスデン・シュターツカペレのほうですが、
全体の構造がより伝わりやすいのは、
インバル&フランクフルト放送響のほうだと思います。
音質が多少硬めに聴こえるので、
マーラーのように、
Blu-spec CD などの音質改善があれば、
なおのこと聴き映えするはずですが、
今のままでも大きな不満はありません。
0 件のコメント:
コメントを投稿