もう2ヶ月以上たってしまいましたが、
お盆休み中の8月14日(木)に、
名古屋ボストン美術館まで、
「開館15周年記念
ボストン美術館
ミレー展~バルビゾン村とフォンテーヌブローの村から」
を観に行ってきました。
高知県立美術館 〔2014年2月2日-4月6日〕
名古屋ボストン美術館〔4月19日-8月31日〕
三菱一号館美術館 〔10月17日-2015年1月12日〕
の3箇所で開催され、名古屋会場の主催は、
ボストン美術館
名古屋ボストン美術館
中日新聞社
となっていました(図録参照)。
ミレーにはこれまで強い印象がなかったのですが、
まとめて観られる機会はあまりないので足を運びました。
***
フランスの画家
ジャン=フランソワ・ミレー(1814.10-1875.1)
とともに、
パリ郊外、
フォンテーヌブローの森のはずれにある
バルビゾン村に定住した「バルビゾン派」の画家たちも
展示してありました。
ミレーの作品が25点。
ほかの画家19人の作品が17点です。
作品数の多い順に整理しておきます。
(展示会図録参照。)
▼25点〔1名〕
・ジャン=フランソワ・ミレー(1814.10-1875.1)
【図録1-4,21,22,28,31-35,38,40,44-52,55,56】
▼6点〔1名〕
・ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
【図録5,6,18,20,23,37】(1796.7-1875.2)
▼5点〔2名〕
・ナルシス・ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ
【図録12-15,19】(1807.8-1876.11)
・エミール・シャルル・ランビネ
【図録16,29,30,41,42】(1815.1-1877)
▼3点〔2名〕
・コンスタン・トロワイヨン
【図録11,39,43】(1810.8-1865.3)
・ジュリアン・デュプレ
【図録60-62】(1851.3-1910)
▼2点〔3名〕
・テオドール・ルソー
【図録8,24】(1812.4-1867.12)
・ヨーゼフ・イスラエルス
【図録53,54】(1824.1-1911.8)
・レオン=オーギュスタン・レルミット
【図録58,87】(1844.7-1925.7)
▼1点〔11名〕
・カール・ボドメル
【図録7】(1809.2-1893.10)
・ウジェーヌ・シセリ
【図録9】(1813.1-1890.4)
・シャルル=エミール・ジャック
【図録59】(1813.5-1894.5)
・アントワーヌ・シャントルイユ
【図録27】(1814.5-1873.8)
・フランソワ・ルイ・フランセ
【図録17】(1814.11-1897.5)
・シャルル=フランソワ・ドービニ
【図録25】(1817.2-1878.2)
・ギュスターヴ・クールベ
【図録10】(1819.6-1877.12)
・アンリ=ジョゼフ・アルビニー
【図録64】(1819.7-1916.8)
・セザール・ド・コック
【図録63】(1823-1904.7)
・アントン・マウフェ
【図録36】(1838.9-1888.2)
・クロード・モネ
【図録26】(1840.11-1926.12)
1830年代から70年代くらいまでの作品に、
ミレー没後の80・90年代の作品も数点ずつ。
同年代の画家を並べてみると、
似たテーマ、構図の絵がいろいろあって興味深かったのですが、
そうした中でもミレーの絵は、
人物の描き方に特徴があることはよくわかりました。
それほど写実的ではないのですが、
じっと観ていると
どの人物も今にも動き出しそうな
独特の雰囲気をそなえていました。
でもミレーが好きかと問われれば、
私の好みからはズレていて、
それほど好きではないと答えます。
人物のとらえ方に感銘は受けましたが、
特別な感動を受ける絵はありませんでした。
それでもミレーについて、
「写実主義を確立し、近代絵画への先駆者とされて」いて、
「田園で働く農民の姿や身近な情景、自然の様子を
畏敬の念を込めて描き取った」画家であり、
「それまで美術の対象とは見なされなかった
農民の地道な日々の営みを、
荘厳な芸術に高めた画期的な試みにより、
ミレーは西洋絵画史に大きな足跡を残し」た
という通説的評価を、
自分の目で確認できたことは大きな収穫でした。
(『展覧会図録』ごあいさつ、参照)
***
純粋に作品だけをみると、
風景画では、
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
《ブリュノワの牧草地の思い出》【図録18】
ウジェーヌ・シセリ
《ゴルジュ・オ・ルー(オオカミ渓谷)を行く画家、
フォンテーヌブローの森》【図録9】
フランソワ・ルイ・フランセ
《プロンビエール近くの小川》【図録17】
の3点を気に入りました。
自分の好みに合っただけなので、
芸術的な評価とは一致しないかもしれません。
コローはこれまでも
同じような風景画を観ていますが、
今回初めて良さがわかったような気がしました。
シセリとフランセは
これまでに観ていたか記憶にないのですが、
この2点は、絵の繊細さと、
暗い森のなかから明るい光を求めていく感じが、
良いバランスで実現されているようで、
好ましく思われました。
人物画では、
ヨーゼフ・イスラエルス
《病みあがりの母と子ども》【図録53】
《別離の前日》【図録54】
の2点が強く印象に残りました。
哀しみの一場面を切り出してみせた
写実的な訴えかける力のある絵でした。
ほかと作風が違っていたからか、
イスラエルスの絵だけが、
圧倒的なオーラを放っているように感じました。
イスラエルスはこれまで知らなかったので、
今後注目していきたいと思います。
人と動物を描いた作品では、
アントン・マウフェ
《田舎道の荷馬車屋》【図録36】
ジュリアン・デュプレ
《牛に水を飲ませる娘》【図録60】
《ガチョウに餌をやる子どもたち》【図録61】
の3点を気に入りました。
アントン・マウフェはこれまで注目していませんでした。
デュプレの明るい色調はミレーより好きです。
※今回の展覧会図録『ボストン美術館 ミレー展』を参照。
※Wikipediaの「ジャン=フランソワ・ミレー」を参照。
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