辻井伸行さんの自作集「神様のカルテ」を聴きました。
神様のカルテ~辻井伸行 自作集
1.神様のカルテ
2.風の家
3.コルトナの朝
4.ショパンへのオマージュ
5.音の絵
6.風がはこんできたもの
7.神様のカルテ = 手紙 =
8.それでも、生きてゆく
9.ロックフェラーの天使の羽
10.花水木の咲く頃
11.セーヌ川のロンド
12.高尾山の風
13.川のささやき
14.ヴェネツィアの風に吹かれて
15.神様のカルテ = エンディング =
(オーケストラ編曲:松谷卓/岩村力指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 15のみ)
録音(1) 2010年9月24日 松本ハーモニーホール
(2)~(5) 2011年1月29日 トッパンホール
(8)(14) 2011年6月7日 トッパンホール
(6)(15) 2011年2月28日 すみだトリフォニーホール
(7) 2010年11月17日 Sound lnn
(9)~(13) 2007年1月17~19日 サラマンカホール
【AVCL25736】
辻井さんの存在は、
デビュー当初から知っていましたが、
さすがにまだ若かったこともあって、
また、それが彼の長所でもあるわけですが、
屈託の無い「明るさ」に、若干相容れないものを感じ、
遠ざけて来たように思います。
その印象は、
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝されてからも、
あまり変化していなかったのですが、
時折テレビ等で耳にする彼のピアノの音に、
少しずつ心を動かされるようになっていました。
その中で特に心を奪われたが、自作の演奏です。
あるテレビ局で、アンコール曲として演奏された
「コルトナの朝」
を聴いて以来、彼のファンになりました。
太陽のような包み込む暖かさ、明るさは彼の大きな長所だと思うので、
ぜひこのまま良い方向に、成長を続けていってほしいです。
さて今回の2度目の自作集、
すべてが良い、といったら、贔屓の引き倒しになるでしょう。
続けて1、2時間、
自分の曲だけで間をもたせることは、
もともと意図していなかったことだと思いますので、
すべてを一気に聴くと、同じような音楽に聴こえて来てしまう弱さは、
まだあると思います。
またこれは、
聴く人によって違った印象をもたれると思いますが、
私は、短調の曲には、まだそれほどの魅力を感じませんでした。
しかし、明るさを基調にした作品、その中でも
1.神様のカルテ
2.風の家
3.コルトナの朝
6.風がはこんできたもの
13.川のささやき
14.ヴェネツィアの風に吹かれて
の6曲は、この世にこんな美しい音楽があって良いのだろうか、
と思うくらい、心を明るく和やかにしてくれる、佳曲だと思いました。
恐らく、ごくふつうに音楽大学に進んで、
作曲の勉強をしていたのなら、こんな素直な優しい曲は、
書けなかったのではないでしょうか。
誰にでもわかる美しい曲で勝負することは、
ほんとは一番難しい、勇気のいることです。
これから楽しみにしていきたいピアニストです。
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