マレイ・ペライア(1947生)さんが
1975年から1988年にかけて、
イギリス室内管弦楽団と録音された名盤、
モーツァルトのピアノ協奏曲全集を
12枚組2,400円ほどで購入しましたので、
1枚ずつ聴いていこうと思います。
まずは1枚目です。
モーツァルト
ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調 K.37
ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 K.39
ピアノ協奏曲 第3番 ニ長調 K.40
ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 K.41
マレイ・ペライア(ピアノ)
イギリス室内管弦楽団
録音:1984年2月18日、ロスリン・ヒル教会、ロンドン
【SONY MUSIC/8 86919 141122】CD1
ペライアさん37歳のときの録音です。
ピアノ協奏曲の第1~4番は、
モーツァルトが11歳(1767年)のときに作曲されました。
年齢的に父レオポルドの補筆が推測されるほか、
同時代の作曲家の作品をもとにした編曲であることも、
20世紀はじめの研究によって明らかにされております。
ただし一曲まるっとそのまま
他人の作品を借用したわけでなく、
ピアノ協奏曲 第1番 ヘ長調 K.37
第1楽章 H・F・ラウパッハ:作品1-5の第1楽章
第2楽章 不明
第3楽章 L・ホーナウアー:作品2-3の第1楽章
ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 K.39
第1楽章 H・F・ラウパッハ:作品1-1の第3楽章
第2楽章 J・ショーベルト :作品17-2
第3楽章 H・F・ラウパッハ:作品1-1の第3楽章
ピアノ協奏曲 第3番 ニ長調 K.40
第1楽章 L・ホーナウアー :作品2-1の第1楽章
第2楽章 J・G・エッカルト:作品1-4の第1楽章
第3楽章 C・P・E・バッハ :クラヴィーア曲集Wq.117~《ボヘミアン》
ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 K.41
第1楽章 L・ホーナウアー :作品1-1の第1楽章
第2楽章 H・F・ラウパッハ:作品1-1の第2楽章
第3楽章 L・ホーナウアー :作品1-1の第3楽章
というように、各楽章それぞれ
違う作曲家の作品が想定されています。
ふつうに聴くかぎりは、
彼のオリジナルな作品と言われても気がつかない位に、
モーツァルトらしい曲想で統一されていて、
彼の個性が明瞭に刻印された、
魅力的な作品として楽しむことができました。
恐らくそれは、ペライアさんの
共感に満ちた演奏によるところも大きいのでしょう、
グランドピアノを使って、
後半の有名な曲を弾くのと同じように心をこめて、
若いモーツァルトの最良の部分をひき出した演奏だと思います。
原曲の影響をどの程度受けているのか、
比較できるようなCDがあれば面白いと思うのですが、
今のところ、
そうしたマニアックな録音はないようです。
(しっかりと探したわけではありません。)
J・C・バッハの原曲の跡が明瞭な
K.107のピアノ協奏曲3曲とともに取り上げたら、
楽しい企画になりそうです。
※モーツァルトが
ピアノ協奏曲に取り組むときに参照したのが、
大バッハこと、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(J.S.Bach)でなく、
次男カール・フィリップ・エマヌエル(C.P.E)と、
末子ヨハン・クリスティアン(J.C)の作品であったことは、
バッハの受容史を考える上でも、興味深いなあと、
石井宏氏の『反音楽史』
(新潮文庫、平成22年10月。201頁以下)
の記述を思い出しました。
※作品の基本情報については、
ピティナ・ピアノ曲事典「モーツァルト」
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/index/73】
を参照しました。
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