20代後半から30代はじめにかけて録音された
モーツァルト(1756 - 1791)の
ピアノ・ソナタ全集が久しぶりに再販されました。
新録音が好評だったからか、
しばらく見かけなかったのですが、
私には旧盤の方が思い出深い演奏だったので、
さっそく購入し、聴いてみました。
モーツァルト: ピアノ・ソナタ全曲
モーツァルト
1) ピアノ・ソナタ 第1番 ハ長調 K.279
2) ピアノ・ソナタ 第2番 ヘ長調 K.280
3) ピアノ・ソナタ 第3番 変ロ長調 K.281
4) ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 K.282
5) ピアノ・ソナタ 第5番 ト長調 K.283
イングリット・ヘブラー(ピアノ)
録音:1963年9月(4)、1965年11月(2・3・5)、1967年6月(1)
【PROC-1201/5】CD1
モーツァルトの初期のソナタは、
20歳でピアノ協奏曲第6番(K.238)を手がける前年、
19歳のときに(1775年初め)、デュルニッツ伯爵の注文で、
第1番から第6番まで(K.279~284)が連作されました。
この6曲をまとめて、もしくは最後の
「第6番 ニ長調 K.284」1曲をさして、
「デュルニッツ・ソナタ」と呼ぶことがあります。
CD1には、第5番まで収録されています。
演奏は、
古典的な枠の中で、
適度に自由に振る舞いながら、
やわらかく清楚で、
明るくあたたかな気持ちにさせられるモーツァルトです。
さらさらと流れていくような所はありませんが、
野暮ったさを感じさせることもなく、
ほどほどに芯のある表現で、
私にとってのベスト演奏でした。
あとほんの少し、
押しの強いところがあったら言うことなしなのですが、
それは私の好みの問題なので、
現代ピアノで、
モーツァルトの楽譜を十分に活かした演奏
といって差し支えない、と思います。
新録音の方は、
じっくり聴く分には、決して悪くはないのですが、
多少リズムがもたつき、やぼったさを感じさせる所が、
私にはマイナスでした。
さらさら流れていくよりは全然いいのですが、
飛び跳ねるような絶妙なリズムの切れは、
モーツァルトに欠かせないものだと思うので、
私にはこちらの旧盤のほうが、
理想的なモーツァルト演奏になっていると思います。
宇野功芳さん大推薦の
リリー・クラウスさんのモーツァルトは、
動的に過ぎる感じが私の好みに合わないのか、
今ひとつ真価がつかめないでいるので、
今のところ、イングリット・ヘブラーさんの旧盤が、
私にとってのベスト演奏のようです。
※作品の基本情報については、
ピティナ・ピアノ曲事典「モーツァルト」の項目
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/index/73】
を参照しました。
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