すばらしいバッハを聴かせてくれた
ゲルハルト・ボッセ(1922.1-2012.2)さんの追悼盤、
新日本フィルとのライブ録音が
廉価980円で再販されていましたので、
購入し聴いてみたところ、
予想をはるかに上回る名演で、
びっくりしました。
1) シューベルト(1797-1828)
劇附属音楽「ロザムンデ」序曲
2) モーツァルト(1756-91)
交響曲第39番変ホ長調Kv.543
3) ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
ゲルハルト・ボッセ(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
録音:2011年5月13・14日(1・2)、2010年4月2・3日(3)
すみだトリフォニーホール
【ALT231】
まず何より、
オーケストラから引き出される響きが魅力的でした。
肩の力の抜けた、濁りのない、
明るい響きを旨としながら、
ここぞという所での凄み、力強さにも欠けておらず、
オケの清新な響きだけで、十分心地良く、満ち足りた気持ちになりました。
こうした経験は、
サヴァリッシュ&ドレスデン国立管弦楽団の
シューマンを聴いて以来のことです。
日本のオケも、振る人が振れば、
こんな響きになるんだなと、感心しました。
***
シューベルトは、
これまでそれほど意識して聴いて来なかったので、
他と比べてどうなのかは良くわかりませんが、
シューベルトらしい、
典雅で明るく楽しい曲だと思いました。
他の演奏も聴いてみたくなりました。
モーツァルトは、
これまでそれなりに聴き込んできたはずですが、
その中では明らかにベストの出来で、
初めて聴くような感動を覚えました。
オケの明るく清々しい響きも39番には合っており、
これしかないと思われる絶妙な間合いで
曲が新たに紡ぎ出されていくさまは、
出会えたことに心から感謝したい、
融通無碍の名演奏でした。
ベートーヴェンは、
これまで幾度となく聴いてきた曲なので、
今さら「運命」でも、と思っていたのですが、
これが実に若々しく、
清新な響きに満ちた、
心洗われる、躍動的な演奏で、
それを特別に趣向をこらした解釈によらず、
オーソドックスな解釈の中で実現しているのは、
ボッセさんの類まれな実力によるものでしょう。
この追悼盤、
ボッセさんの指揮者としての実力を知るのに十分な、
すばらしい内容だと思います。
***
新日本フィルとのCDは、このほか
J.C.バッハとブラームスを取り上げた
2009年のコンサートを収録した1枚があったので、
手に入れてみましたが、
肝心の録音が
うすいヴェールをかぶせたようで、
オケの魅惑的な響きが伝わって来ず、
もどかしい思いがしました。
リマスタリングでどうにかなるのであれば、
再販を期待したいです。
もう一つ、DVDで
ベートーヴェンの交響曲全集も出されているので、
購入すべきかどうか、迷っているところです。
ふだんあまりDVDは観ないので、
CDで、廉価版で出たらいいなと思っています。
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