イングリット・ヘブラー(1926-)による
オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)の
ピアノソナタ全集、3枚目を聴きました。
モーツァルト: ピアノ・ソナタ全曲
モーツァルト
ピアノ・ソナタ 第9番 ニ長調 K.311
ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330
ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331《トルコ行進曲付き》
イングリット・ヘブラー(ピアノ)
録音:1963年4月(第9・11番)、1963年9月(第10番)
【PROC-1201/5】CD3
K.311(第9番)は、
モーツァルトが21歳のとき(1777年)、
母とともに
ザルツブルグからパリへと向かう途中で、
マンハイムに滞在した折、
K.309(第7番)とともに作曲されています。
この翌年(1778年)7月にパリで母を亡くしますが、
その悲しみを反映させた可能性のある
K.310(第8番)と組み合わせて、
「作品4」(K.309-311)として、
1781年にパリで出版されています。
K.330(第10番)と
K.331(第11番)は、
27歳(1783年)のときに、
K.332(第12番)とともに作曲され、
「作品6」(K.330-332)として、
翌年(1784年)ウィーンで出版された作品です。
作品4と6の間に、
大きな作風の変化はないようですが、
聴き方によっては、少し深まりを見せているようにも感じられます。
K.331 《トルコ行進曲付き》 は、
第3楽章を先によく知っていたため、
しばらく第1・2楽章の魅力がわからなかったのですが、
今回聴き直してみて、
ようやく全体がバランスよく、頭に入って来るようになりました。
そうしてみると、
やはりこれは名曲だな、と再認識しました。
***
さて演奏ですが、
1、2枚目と変わることなく、
私の中で、
一番モーツァルトらしいと思える演奏で、
聴き込むにつれ、味わいの増す名演だと思います。
典雅で清楚な雰囲気の中で、
次々とうつりゆく曲想に、
若々しいリズム感で答える演奏です。
あとほんの少し、
踏み込んだところがあっても良いのかな、
とも思いますが、
モーツァルトのピアノ・ソナタは、
演奏者の作為的な解釈を拒絶するようなところがあって、
作為が耳につくと、
モーツァルトの魅力がたちまちのうちに消え失せてしまいます。
実際にいろいろ聴いてみると、
なかなかこれだけ無理のない解釈で、
モーツァルトの魅力を伝えてくれる演奏にはなかなか出会えないと思います。
※Wikipediaの「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「イングリット・ヘブラー」「ピアノ・ソナタ第9番(モーツァルト)」「ピアノ・ソナタ第10番(モーツァルト)」「ピアノ・ソナタ第11番(モーツァルト)」の各項目を参照。
※作品の基本情報について、
ピティナ・ピアノ曲事典「モーツァルト」の項目
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/index/73】を参照。
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