パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)が48・49歳のときに(1977・78)、
イギリスのボーンマス交響楽団と録音した
同郷フィンランドの作曲家
ジャン・シベリウス(1865.12-1957.9)の
交響曲第3番と組曲《ペレアスとメリザンド》を聴きました。
ペレアスは今回初めて聴きました。
ジャン・シベリウス
1) 交響曲 第3番 ハ長調 作品52
第1楽章 アレグロ・モデラーと
第2楽章 アンダンテ・コンモート、クワジ・アレグレット
第3楽章 モデラート - アレグロ・ノン・タント
2) 組曲《ペレアスとメリザンド》作品46
第1曲 城門にて
第2曲 メリザンド
第3曲a 海辺にて
第3曲b 庭園の噴水
第4曲 3人の盲目の姉妹
第5曲 パストラーレ
第6曲 糸を紡ぐメリザンド
第7曲 間奏曲
第8曲 メリザンドの死
パーヴォ・ベルグルンド(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:1977年6月20-21日(交響曲)、1978年5月6-7日(組曲)
サウサンプトン・ギルドホール、イギリス
【TOCE-16013】
交響曲 第3番 ハ長調 作品52 は、
シベリウスが41歳のとき(1907.9)に初演された交響曲です。
36歳(1902.3)のときに
第2番が初演されてから5年を経て、
新たな独自の世界へと足を踏み入れた、
画期となる交響曲です。
初めて聴いたわけではありませんが、
これまでは今ひとつ、つかみきれないところがありました。
しかし今回のベルグルンドさんのCDで、
ようやく開眼したようです。
心の中の鬱蒼とした霧が、
ゆるやかに晴れわたっていくような1・3楽章と、
悲しいワルツをより深化させたような2楽章。
計3楽章からなる小ぢんまりとした構成も好ましく、
ああこんなに美しかったんだと、
心洗われる、めったにない感動を味わうことができました。
今は第1・2番よりも遥かに素敵な作品に思えます。
組曲《ペレアスとメリザンド》作品46は、
ベルギーの劇作家
モーリス・メーテルリンク(1862-1949)の
戯曲『ペレアスとメリザンド』にもとづく管弦楽組曲です。
この戯曲は、
1892年にフランス語で発表されましたが、
1905年にヘルシンキで、
スウェーデン語版が上演されるのにともない、
シベリウスによって劇付随音楽が作曲され、
劇の上演後、
8曲からなる組曲に編曲しなおされたそうです。
つまり交響曲第3番とほぼ同時期、
40歳のころの作品ということになります。
『ペレアスとメリザンド』は、
他の作曲家も取り上げている題材なので、
もっと昔の作品かと思っていましたが、
『青い鳥』で知られるメーテルリンクが書いた戯曲だとは、
今回初めて知りました。
しかしその『青い鳥』すらまだ読んでいない身ですので、
何も語る資格はありませんが、
とりあえずの印象を少し。
交響曲第3番の出だしを
よりロマンティックにしたような、
心浮き立つ、はなやかな開始から心を捕らえられ、
ほどほどに悲劇的な終曲へと、
実にわかりやすい音楽で、十分に楽しんで聴き終えることができました。
今回の全集では、
交響曲以外の管弦楽曲に、
意外に楽しめるものが多く、
新しい発見が出来てたいへんありがたいです。
《フィンランディア》や《悲しいワルツ》だけではないのですね。
《ペレアスとメリザンド》も、もっと取り上げられて良い名曲だと思いました。
※Wikipediaの「ジャン・シベリウス」「交響曲第3番(シベリウス)」「ペレアスとメリザンド(シベリウス)」を参照。
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