ドイツのピアニスト
ウィルヘルム・ケンプ
(Wilhelm Kempff 1895.11-1991.5)が
66歳のときに録音した
オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
(Wolfgang Amadeus Mozart 1756.1-1791)の
ピアノ・ソナタ集を聴きました。
モーツァルト
ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331(300i)《トルコ行進曲付き》
幻想曲ニ短調K.397(385g)
幻想曲ハ短調K.475
ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310(300d)
ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ)
録音:1962年1月、UFAスタジオ、ベルリン
【UCCG-5296】2012年5月発売
とある動画サイトで、
ケンプさんが弾く
モーツァルトのピアノ・ソナタを聴き、
まるでシューベルトのように
深い間合いで歌い込まれた独特の演奏に感動し、
元のCDを探して購入しました。
これは最近再販されたケンプの名盤を集めた
1,000円のシリーズの中にも入っていますが、
リマスタリングの加減か、
ケンプさんのタッチの微妙なところ、
深く美しいピアノの響きが消え去っており、
オススメ出来ません。
うっかり買ってしまったのですが、
まったく別の演奏かと思うほど、平凡に聴こえました。
私の記憶違いかとも思いましたが、
もう一枚、1,200円のを買い直してみたところ、
動画を観たときの感動が甦りました。
少し遅めのテンポで、
シューベルトを弾くときのように、
すべての音符に絶妙な歌を感じる演奏で、
その分、
ふだん聴くモーツァルトとは幾分違っていて、
ヘブラーさんよりよほど歌い込まれていますが、
造形を壊してしまうほどではなく、
彼のベートーヴェンよりよほど曲の本質を突いていると想います。
(歌に満ちたケンプさんのベートーヴェン、
個性的で、私は好きです。)
収録曲のうち、
とくに感銘を受けたのは、
K.331《トルコ行進曲付き》の第1楽章です。
この曲は、
第3楽章の印象が強すぎて、
第1・2楽章はそのつけたしのように感じてしまうことが多いのですが、
ゆっくりと存分に歌い込まれた
ケンプさんの演奏で、初めて第3楽章に匹敵する名曲だと思えました。
2つの幻想曲は、
シューベルトの即興曲を2つ聴くよう。
速めのテンポで駆け抜けるイ短調のソナタも、
シューベルトを思い浮かべました。
こんな調子で、
ソナタ全集を完成してくれていたら!
私にとっては、
最高の全集になっていたと思いますが、
このときは、
これしか録音されなかったようです。
ほかにもライブ盤が数曲あるようなので、
いずれ機会があれば聴いてみようと思います。
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