アルトゥル・シュナーベル
(Artur Schnabel 1882.4-1951.8)が、
50歳から53歳にかけて(1932-35)録音した
ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven 1770.12-1827.3)の
ピアノソナタ全集を聴いていきます。
ベートーヴェンのピアノソナタ全集を最初に録音したのが、
シュナーベルというピアニストであったことは
以前から知っていましたが、
その演奏を聴く機会はありませんでした。
Documents から2009年に、
格安で発売された10枚組の全集(1000円台前半)を聴いたのが、
私の初シュナーベル体験だったと思います。
お昼時にBGMのつもりで
1枚ずつ流しはじめたのですが、
志ん生の落語を聴くような、
独特の雄弁な語り口にすぐに魅了されました。
少々荒っぽいところもありますが、
テクニックに欠けるわけではなく、
聴かせどころのツボを良く心得ていて、
どの曲も実におもしろく聴かせてくれました。
Documents 盤は、
針音がきれいに取り除かれていて、
1930年代の録音とは信じられないくらいなのですが、
その分、
緩徐楽章の微妙な雰囲気まで、
きれいに取り除かれているようでした。
改めてNaxos 盤を取り寄せてみると、
針音がほどほどに残されてるおかげで、
その場で弾かれているような臨場感はこちらの方が上でした。
とくに急ぐつもりはないので、今回は、
Naxos 盤を1枚ずつ聴き進めることにします。
***
それでは1枚目です。
ベートーヴェン・ピアノソナタ録音協会全集第1集
ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノソナタ 第1番 ヘ短調 作品2-1
ピアノソナタ 第2番 イ長調 作品2-2
ピアノソナタ 第3番 ハ長調 作品2-3
アルトゥル・シュナーベル(ピアノ)
録音:1934年4月23・24・28日〔1番〕、1933年4月9日〔2番〕、1934年4月26-27日〔3番〕、EMIアビー・ロード第3スタジオ、ロンドン
【Naxos 8.110693】
25歳のとき(1796年3月)に、
ウィーンで出版されたのが、
3曲からなる作品2のピアノソナタです。
作曲は1974-75年にかけて行われたと考えられていますので、
20代前半の作品ということになります。
私の母がピアノの先生をしていたので、
第1番は何度もくりかえし聴いた記憶があります。
ほかの2曲もこれまで何度も聴いていますが、
今回初めて、ベートーヴェンってすごい、と思いながら、
3曲を聴き通すことができました。
確かにこれは、
ハイドンやモーツァルトとは異質の音楽で、
新しい才能が瑞々しく花開いているさまを聴くことができました。
シュナーベルのベートーヴェンは、
一聴あっさりとした印象で、
細部にこだわりぬくよりは、
全体の造形をしっかり保ちつつ、
その中でほどほどに自由にふるまって、
コンサートでお客さんに実際に語りかけているような、
雄弁な演奏を聴かせています。
非常な聴かせ上手というか、
ベートーヴェンとの、非常な相性の良さを感じました。
ここふた月ほど、
ずっとこればかり聴いて来ましたので、
1月からは次の1枚にうつります。
※L.v.ベートーヴェン全作品目録(国立音楽大学 音楽研究所)
【http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/bdb/bdb_index.html】を参照。
※ペティナ・ピアノ曲事典「ベートーヴェン」
【http://www.piano.or.jp/enc/composers/61/】を参照。
※Wikipedia の「アルトゥル・シュナーベル」
「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
「ベートーヴェンの楽曲一覧」を参照。
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