ピエール・フルニエ(1906.6-1986.1)が
54歳のときに録音した
ドイツの作曲家
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685.3-1750.7)の
無伴奏チェロ組曲 BWV1007-1012
を聴きました。
バッハの自筆譜が失われており、
正確な作曲年代はわかっていませんが、
1720年に清書された自筆譜が残されている
「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001-1006」
と同時期の作曲と推測されています。
1717年から1723年まで、バッハは
アンハルト=ケーテン候レーオポルトのもとで
宮廷楽長として仕えていたので、
この時期は「ケーテン時代」と呼ばれています。
つまりバッハ30代、
32歳から38歳のころの作品ということになります。
J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲 BWV1007-1012
組曲第1番 ト長調 BWV1007
組曲第2番 ニ短調 BWV1008
組曲第3番 ハ長調 BWV1009
組曲第4番 変ホ長調 BWV1010
組曲第5番 ハ短調 BWV1011
組曲第6番 ニ長調 BWV1012
ピエール・フルニエ(チェロ)
録音:1960年12月、ベートーヴェンザール、ハノーファー(ステレオ)
【ARCHIV 449 711-2】
無伴奏チェロ組曲は、
なかなかピッタリ来る演奏に出会いませんでした。
カザルスならばと思い、
何種類か復刻版を聴いてみましたが、
出だしの覇気には圧倒されるものの、
チェロ独特の弓と弦がこすれあうときの、
嫌味のある派生音が耳につき、
全体を聴き通すのは多少忍耐がいりました。
かと言って、
チェロの音色は申し分なく美しい
ヨーヨー・マやロストロポーヴィチでは、
心にひっかかってくるものが足りなくて、
それほど感動できなかったので、
チェロとは縁がないのかも、
と思いかけておりました。
今回偶然、
フルニエの録音を手に入れて聴いてみたところ、
弦と弓がこすれ合うときの派生音がほぼ皆無で、
チェロの低音の美しい響きを存分に楽しむことができました。
音色の美しさだけなら、
ヨーヨー・マやロストロポーヴィチも
負けてはいないのですが、
様式感といいますか、
バッハらしさといいますか、
独特の気品を具えていて、
聴いていて、しみじみと感慨にひたれるのは
フルニエさんならではでした。
チェロ一本で奏でられる低音域の音楽は、
一聴ぱっとしないところもあるのですが、
聴き込むにつれ、
心にぴったりと寄り添ってきて、
今後の自分にとって欠かせない存在になりそうです。
※Wikipediaの「ピエール・フルニエ」
「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ」
「ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品一覧」の項目を参照。
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