十代目柳家小三治(やなぎやこさんじ 1939.12-)の落語、
前回のシリーズより10年程前に集中して録音された
「昭和の名人 古典落語名演集」を聴いていきます。
1枚目には
「船徳」と「野ざらし」が収録されています。
どちらも、38歳の時(1978年5・8月)の口演なので、
29歳の時(1969年9月)に真打に昇進し、
十代目柳家小三治を襲名してから約10年後の成果ということになります。
昭和の名人
古典落語名演集
十代目柳家小三治〈一〉
1) 船徳
2) 野ざらし
録音:1978年5月16日、安田生命ホール(1)、
1978年8月26日、横浜教育文化センター(2)。
【KICH-2521】
「船徳(ふなとく)」は、
「人情噺『お初徳兵衛浮名の浅橋』の発端を
明治の人気者初代三遊亭円遊が一席の滑稽噺とした」演目で、
「八代目桂文楽の十八番として知られる」そうです。
「野ざらし」は、
「托善という名の僧侶から咄家になった
二代目林家正蔵の作といわれる」演目で、
「怪談噺の要素が強い落語だったのを
初代三遊亭円遊が笑いの多い咄に改めた」そうです。
(以上、布目英一氏のCD解説参照)。
このCD、
2009年3月に発売されてすぐに購入したので、
初めて聴いてから5年ほど経つことになります。
「船徳」も「野ざらし」も、
音だけでは面白さがわかりにくい所があるので、
最初のうちは今一つよくわからなかったのですが、
動画でもたまに観る機会があって
噺の流れがつかめてくると、
音だけでも映像が浮かんで
それなりに楽しめるようになって来ました。
小三治の口演は、
声が若々しくて非常に聴き取りやすく、
早めのテンポでどんどん切り込んでいく風で、
うまさを感じさせられる落語です。
上手さが嫌味に聴こえるかもしれない
ギリギリのところで踏み止まっている印象ですが、
これだけ話せるのであれば、
まだ朴訥飄々とした語りの魅力は必要ないのかもしれません。
噺自体、
何も深刻に考える必要のない、
軽めの芸を楽しむようなお噺で、
特別好きなわけではないのですが、
それなりに楽しい時間を過ごすことができました。
どちらもまだ他の噺家さんのはあまり聴いていないので、
そろそろ聴いてみようかな、とも思っています。
※Wikipediaの「柳家小三治」を参照。
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