十代目柳家小三治(やなぎやこさんじ 1939.12-)氏の落語、
「昭和の名人 古典落語名演集」2枚目は、
「猿後家」と「時そば」を聴きました。
小三治38歳の時(1978年4・11月)の口演です。
29歳でに真打に昇進(1969年9月)し、
十代目柳家小三治を襲名してから9年目の成果ということになります。
昭和の名人
古典落語名演集
十代目柳家小三治〈二〉
1) 猿後家
2) 時そば
録音:1978年4月12日、安田生命ホール(1)、
1978年11月17日、横浜教育文化センター(2)。
【KICH-2522】
「猿後家」(さるごけ)は、
「一七七八(安政七)年江戸板『乗合船』の『物忌』」を原話とするが、
主人公は後家でなく「旦那」だそうです。
また、
「江戸時代の咄家・初代喜久亭寿暁のネタ帳
『滑稽集』(文化四年・一八〇七)にも『さるだんな』の題名と
『木からおちた猫』のサゲが出て」くるそうです。
そこでもともと江戸で、
「『お猿旦那』として演じられていたものが、上方に伝わり、
主人公を後家に替え、関西風の味付けをしたものが
再び東京へ移入された」と推測されています。
(以上、布目英一氏のCD解説参照)
この口演は5年ほど前、
CD発売時に聴いた折には、
おかみさんの器量の悪さをあざ笑うという
最初の場面設定からして趣味が悪いと思い、
そのおかみさんもまた、
性格の悪い嫌味な感じが強く出ていて、
まったく好きにはなれませんでした。
今回聴き直してみると、
そこまで小難しく考えなくても、
小三治の口演にのせられ、
一緒になって笑っていればいいのかなと、
肩の力を抜いて、
それなりに楽しむことができました。
もしかしたら、
小三治の口調が真に迫りすぎて、
おかみさんの嫌味な感じが、
本来よりも増幅されて伝わって来るのかもしれません。
「時そば」は、
「一七二六(享保二)年刊『当流軽口初笑』巻三の『他人は喰より』、
一七七三(安永二)年刊『坐笑産』の『あま酒』、
同年刊古喬子『芳野山』の『夜たかそば』などが原型と思われる」そうです。
「大阪の『時うどん』を三代目柳家小さんが移したといわれるが、
内容は異なる」そうです。
(以上、布目英一氏のCD解説参照)。
音を聴くだけでも、
蕎麦をすする音が美味しそうな、
快調なテンポで語られる
まずは完璧といって良い口演です。
恐らくこれは
映像で観たほうが圧倒的に楽しめるはずですが、
音だけでも十分に楽しめます。
うまさが鼻につくようなところもなく、
くりかえし聴き返しても飽きの来ない名演です。
※Wikipediaの「柳家小三治」を参照。
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