鈴木秀美(すずきひでみ 1957-)の指揮する
オーケストラ・リベラ・クラシカの演奏で、
C・P・E・バッハのシンフォニア
ハイドンの交響曲第43番「マーキュリー」
モーツァルトの交響曲第29番
を聴きました。
鈴木秀美45歳の時(2002)の録音です。
C.P.E.バッハ(1714-88)
弦楽器のためのシンフォニア ハ長調 Wq.182/3(1773)
J.ハイドン(1732-1809)
交響曲第43番 変ホ長調 Hob.I-43「マーキュリー」(-1772)
W.A.モーツァルト(1756-91)
交響曲第29番 イ長調 K.201(186a)(1774)
P.ファン・マルデレ(1729-68)
シンフォニア 作品5/第6番 ニ長調より第1楽章(1768)
オーケストラ・リベラ・クラシカ
鈴木秀美 指揮
収録:2002年5月17日、東京・浜離宮朝日ホール
【TDK-AD001】
鈴木氏が音楽監督を務める
オーケストラ・リベラ・クラシカは、
平成14年(2002)5月15日に高山、
17日に東京の浜離宮朝日ホールで旗揚げ公演が行われました。
その時の東京公演を収録したのがこのCDです。
ドイツの作曲家
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714.3-1788.12)は、
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685.3-1850.7)の次男です。
弦楽のためのシンフォニア ハ長調 Wq.182-3
は、CPE59歳の時(1773)に作曲された、
6曲からなる「弦楽のためのシンフォニア」中の1曲です。
ほぼ初めて聴く曲です。
CPEの音楽は、奇をてらうというか、
内面的というよりも外面的な効果をねらったところがあって、
それほど好きな作曲家ではないのですが、
今回の演奏は、
何よりオケの響きが耳に心地良く、
リズムもきびきびハッキリと刻まれていて、
これなら聴ける!と思いました。
オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732.3-1809.5)の
交響曲第43番 変ホ長調 Hob.I-43《マーキュリー》
は、作曲者39歳の頃(1771前後)に作曲されました。
ハイドンはC.P.E.バッハより、
はるかに落ちついた感じに聴こえるのですが、
音楽史上はハイドンのほうが18歳若く、
CPEの影響をハイドンが受けていることになるようです。
初めて聴いたので、
最初のうちは一番影が薄かったのですが、
聴きこんでくると、
逆に全体のバランスの良さ、
内容の充実さは一番だと思うようになりました。
***
オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の
交響曲第29番 イ長調 K.201(186a)
は、作曲者18歳の時(1774.4)に完成された作品です。
モーツァルトは17-18歳の2年間(1773-74)で、
計9曲の交響曲(第22-30番)を作曲しています。
29番は後期の6大交響曲をのぞけば、
わりと演奏される機会のある作品で、
時折耳にしてきました。
後期の充実度からすると、
肩透かしにあった感じもする
軽めの1曲ですが、
これはこれで耳に馴染んでくると、
おっとりとした雰囲気の典雅な名曲だと思えます。
このCDは、
快速テンポで一気に駆け抜ける第3楽章が特徴的ですが、
よくこなれているので違和感なく楽しめました。
ハイドン的な雰囲気のなかに、
モーツァルトの感性が刻み込まれた1曲でした。
コンサート当日アンコールとして演奏された
ベルギー(ブリュッセル)生まれの作曲家
ピエール・ファン・マルデレ(1729.10-1768.11)の
シンフォニア 作品5/第6番 ニ長調より第1楽章(1768)
は初めて効きました。
ハイドンより2歳半ほど年上で、
ほぼ同じ年代の人ですが、39歳で若くして亡くなっています。
マルデレが亡くなる年に完成された作品のようです。
この1楽章だけでは何とも言えませんが、
モーツァルトが第29番を作曲する際に参考にしたそうです。
そう言われてみれば、
何となくそんな気もする程度ですが、
ほかの作品も聴いてみたくなりました。
***
このCD、
1770年代前半に作曲された作品が並べてありますが、
年齢的には、
C.P.E.バッハ59歳、
ハイドン39歳、
モーツァルト18歳
と20歳ずつ若返っているので、
おもしろい趣向だなと思いました。
鈴木秀美氏の指揮は、
アーノンクールのように
持ってまわったところのない素直な音楽。
ブリュッヘンのように、
ロマン的な味の濃いところとも決別していて
清楚な純度の高い音楽。
リズムのきびきびしたところも良く、
明るく爽やかな印象も受けました。
ハイドンには特に合っていると思います。
※Wikipediaの「カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ」「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「Pierre van Maldere」を参照。
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