2014年10月31日金曜日

鈴木秀美&OLCのハイドン:交響曲第43番ほか〔2002年5月録音〕

日本の指揮者、チェリスト
鈴木秀美(すずきひでみ 1957-)の指揮する

オーケストラ・リベラ・クラシカの演奏で、
 C・P・E・バッハのシンフォニア
 ハイドンの交響曲第43番「マーキュリー」
 モーツァルトの交響曲第29番
を聴きました。

鈴木秀美45歳の時(2002)の録音です。


C.P.E.バッハ(1714-88)
 弦楽器のためのシンフォニア ハ長調 Wq.182/3(1773)

J.ハイドン(1732-1809)
 交響曲第43番 変ホ長調 Hob.I-43「マーキュリー」(-1772)

W.A.モーツァルト(1756-91)
 交響曲第29番 イ長調 K.201(186a)(1774)

P.ファン・マルデレ(1729-68)
 シンフォニア 作品5/第6番 ニ長調より第1楽章(1768)

オーケストラ・リベラ・クラシカ
鈴木秀美 指揮
収録:2002年5月17日、東京・浜離宮朝日ホール
【TDK-AD001】


鈴木氏が音楽監督を務める
オーケストラ・リベラ・クラシカは、

平成14年(2002)5月15日に高山、
17日に東京の浜離宮朝日ホールで旗揚げ公演が行われました。

その時の東京公演を収録したのがこのCDです。



ドイツの作曲家
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714.3-1788.12)は、
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685.3-1850.7)の次男です。

弦楽のためのシンフォニア ハ長調 Wq.182-3

は、CPE59歳の時(1773)に作曲された、
6曲からなる「弦楽のためのシンフォニア」中の1曲です。

ほぼ初めて聴く曲です。

CPEの音楽は、奇をてらうというか、
内面的というよりも外面的な効果をねらったところがあって、
それほど好きな作曲家ではないのですが、

今回の演奏は、
何よりオケの響きが耳に心地良く、
リズムもきびきびハッキリと刻まれていて、
これなら聴ける!と思いました。


オーストリアの作曲家
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732.3-1809.5)の

交響曲第43番 変ホ長調 Hob.I-43《マーキュリー

は、作曲者39歳の頃(1771前後)に作曲されました。

ハイドンはC.P.E.バッハより、
はるかに落ちついた感じに聴こえるのですが、

音楽史上はハイドンのほうが18歳若く、
CPEの影響をハイドンが受けていることになるようです。

初めて聴いたので、
最初のうちは一番影が薄かったのですが、

聴きこんでくると、
逆に全体のバランスの良さ、
内容の充実さは一番だと思うようになりました。


  ***

オーストリアの作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1-1791.12)の

交響曲第29番 イ長調 K.201(186a)

は、作曲者18歳の時(1774.4)に完成された作品です。

モーツァルトは17-18歳の2年間(1773-74)で、
計9曲の交響曲(第22-30番)を作曲しています。

29番は後期の6大交響曲をのぞけば、
わりと演奏される機会のある作品で、
時折耳にしてきました。

後期の充実度からすると、
肩透かしにあった感じもする
軽めの1曲ですが、

これはこれで耳に馴染んでくると、
おっとりとした雰囲気の典雅な名曲だと思えます。

このCDは、
快速テンポで一気に駆け抜ける第3楽章が特徴的ですが、
よくこなれているので違和感なく楽しめました。

ハイドン的な雰囲気のなかに、
モーツァルトの感性が刻み込まれた1曲でした。


コンサート当日アンコールとして演奏された

ベルギー(ブリュッセル)生まれの作曲家
ピエール・ファン・マルデレ(1729.10-1768.11)の

 シンフォニア 作品5/第6番 ニ長調より第1楽章(1768)

は初めて効きました。

ハイドンより2歳半ほど年上で、
ほぼ同じ年代の人ですが、39歳で若くして亡くなっています。
マルデレが亡くなる年に完成された作品のようです。

この1楽章だけでは何とも言えませんが、
モーツァルトが第29番を作曲する際に参考にしたそうです。

そう言われてみれば、
何となくそんな気もする程度ですが、
ほかの作品も聴いてみたくなりました。


  ***

このCD、
1770年代前半に作曲された作品が並べてありますが、

年齢的には、
 C.P.E.バッハ59歳、
 ハイドン39歳、
 モーツァルト18歳
と20歳ずつ若返っているので、
おもしろい趣向だなと思いました。


鈴木秀美氏の指揮は、
アーノンクールのように
持ってまわったところのない素直な音楽。

ブリュッヘンのように、
ロマン的な味の濃いところとも決別していて
清楚な純度の高い音楽。

リズムのきびきびしたところも良く、
明るく爽やかな印象も受けました。

ハイドンには特に合っていると思います。


※Wikipediaの「カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ」「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」「Pierre van Maldere」を参照。

0 件のコメント:

コメントを投稿