2015年4月6日月曜日

ヤンドーのハイドン:ピアノ・ソナタ全集 その8

ハンガリーのピアニスト
イエネ・ヤンドー(1952 - )さんの
ハイドン:ピアノ・ソナタ全集

8枚目は、
ウィーン原典版(旧版)の通し番号で、
第48-52番のソナタ5曲を聴きました。


フランツ・ヨセフ・ハイドン(1732 - 1809)
 1) ピアノ・ソナタ 第48番 ハ長調  作品30-1 Hob.XVI:35
 2) ピアノ・ソナタ 第49番嬰ハ短調 作品30-2 Hob.XVI:36
 3) ピアノ・ソナタ 第50番 ニ長調  作品30-3 Hob.XVI:37
 4) ピアノ・ソナタ 第51番変ホ長調 作品30-4 Hob.XVI:38
 5) ピアノ・ソナタ 第52番 ト長調  作品30-5 Hob.XVI:39

イエネ・ヤンドー(ピアノ)
録音:1993年6月15-18日、ブダベスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.553128】


ハイドンが、
42歳の時(1774)に初めて出版された
クラーヴィア・ソナタ集が
 作品13 Hob.XVI:21-26〔全6曲〕

46歳の時(1778)に出版された
2番目のクラーヴィア・ソナタ集が
 作品14 Hob/XVI:27-32〔全6曲〕

48歳の時(1780)に出版された
3番目のクラーヴィア・ソナタ集が
 作品30 Hob/XVI:35-39・20〔全6曲〕

であり、このCDに作品30の第1-5曲目が収められました。


作品30〔全6曲〕の構成は次の通りです。

 ソナタ 第48番 ハ長調 作品30-1 Hob.XVI:35
 ソナタ 第49番嬰ハ短調作品30-2 Hob.XVI:36
 ソナタ 第50番 ニ長調 作品30-3 Hob.XVI:37
 ソナタ 第51番変ホ長調作品30-4 Hob.XVI:38
 ソナタ 第52番 ト長調 作品30-5 Hob.XVI:39
 ソナタ 第33番 ハ短調 作品30-6 Hob.XVI:20

このソナタ集は48歳の時(1780)に出版されたのですが、

第6曲目のみ、
10年近く前の39歳(1771)の時に作曲されたことが確認されたため、
現在の分類ではほかの5曲と切り離されて、

ウィーン原典版で第33番、
ホーボーケン番号で Hob.XVI:20 に分類されています。
(今回の全集ではCD5枚目【8.553800】に収録。)

個人的にはハイドンの意志で、
6曲1組のソナタ集として出版されている以上、

偶然残された史料によって
成立年代がはっきりした1曲のみ、
ほかと切り離して扱われるのは違和感がありました。

ほかの5曲のうち、
作品30-5 は1780年2月に作曲されたことが確認されていますが、
ほかの4曲が具体的にいつ作曲されたのかはわかっていません。

明らかにハイドンの意に反して
勝手に編集、出版されたのでなければ、
出版譜の曲順を再優先させても良いように感じました。


  ***

さて実際に聴いてみると、
このあたりに最もハイドンらしい、
一つの完成されたスタイルが表現されているように感じました。

それほど深く重くなり過ぎることもなく、
でもほどよく明るく心が晴やかになる作品群で、

仕事中のBGMに最適な
気楽に楽しめる1枚でした。


このうち、
小さなころからピアノのおけいこで弾かれるのを
繰り返し聴いてきたのが、

 ピアノ・ソナタ 第50番 ニ長調 作品30-3 Hob.XVI:37

です。名手が弾くとまったく別物に生まれ変わります。

どれもほどよい完成度なので、

一つのコンサートで、
作品30の6曲すべてを取り上げるのも面白いように思いました。

スカルラッティやモーツァルトと組み合わせても良い刺激になるのでは。


ヤンドーさんのピアノ、
ほかの作曲者の演奏もいろいろ聴いていますが、
ハイドンとの相性が一番のようです。

くっきりはっきり、
抜群のテクニックで曲の内面に切り込んでいく演奏で、
ハイドンの面白さに気がつかせてくれました。


※Wikipediaの
 「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
 「ハイドンのピアノソナタ一覧」
 「ハイドンのピアノ曲一覧」
 「ホーボーケン番号」の各項目を参照。

※ピティナ・ピアノ曲事典の「ハイドン」を参照。

※ハイドン研究室「クラヴィア・ソナタの部屋」を参照。

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