イエネ・ヤンドー(1952 - )さんの
ハイドン:ピアノ・ソナタ全集
8枚目は、
ウィーン原典版(旧版)の通し番号で、
第48-52番のソナタ5曲を聴きました。
フランツ・ヨセフ・ハイドン(1732 - 1809)
1) ピアノ・ソナタ 第48番 ハ長調 作品30-1 Hob.XVI:35
2) ピアノ・ソナタ 第49番嬰ハ短調 作品30-2 Hob.XVI:36
3) ピアノ・ソナタ 第50番 ニ長調 作品30-3 Hob.XVI:37
4) ピアノ・ソナタ 第51番変ホ長調 作品30-4 Hob.XVI:38
5) ピアノ・ソナタ 第52番 ト長調 作品30-5 Hob.XVI:39
イエネ・ヤンドー(ピアノ)
録音:1993年6月15-18日、ブダベスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.553128】
ハイドンが、
42歳の時(1774)に初めて出版された
クラーヴィア・ソナタ集が
作品13 Hob.XVI:21-26〔全6曲〕
46歳の時(1778)に出版された
2番目のクラーヴィア・ソナタ集が
作品14 Hob/XVI:27-32〔全6曲〕
48歳の時(1780)に出版された
3番目のクラーヴィア・ソナタ集が
作品30 Hob/XVI:35-39・20〔全6曲〕
であり、このCDに作品30の第1-5曲目が収められました。
作品30〔全6曲〕の構成は次の通りです。
ソナタ 第48番 ハ長調 作品30-1 Hob.XVI:35
ソナタ 第49番嬰ハ短調作品30-2 Hob.XVI:36
ソナタ 第50番 ニ長調 作品30-3 Hob.XVI:37
ソナタ 第51番変ホ長調作品30-4 Hob.XVI:38
ソナタ 第52番 ト長調 作品30-5 Hob.XVI:39
ソナタ 第33番 ハ短調 作品30-6 Hob.XVI:20 *
このソナタ集は48歳の時(1780)に出版されたのですが、
第6曲目のみ、
10年近く前の39歳(1771)の時に作曲されたことが確認されたため、
現在の分類ではほかの5曲と切り離されて、
ウィーン原典版で第33番、
ホーボーケン番号で Hob.XVI:20 に分類されています。
(今回の全集ではCD5枚目【8.553800】に収録。)
個人的にはハイドンの意志で、
6曲1組のソナタ集として出版されている以上、
偶然残された史料によって
成立年代がはっきりした1曲のみ、
ほかと切り離して扱われるのは違和感がありました。
ほかの5曲のうち、
作品30-5 は1780年2月に作曲されたことが確認されていますが、
ほかの4曲が具体的にいつ作曲されたのかはわかっていません。
明らかにハイドンの意に反して
勝手に編集、出版されたのでなければ、
出版譜の曲順を再優先させても良いように感じました。
***
さて実際に聴いてみると、
このあたりに最もハイドンらしい、
一つの完成されたスタイルが表現されているように感じました。
それほど深く重くなり過ぎることもなく、
でもほどよく明るく心が晴やかになる作品群で、
仕事中のBGMに最適な
気楽に楽しめる1枚でした。
このうち、
小さなころからピアノのおけいこで弾かれるのを
繰り返し聴いてきたのが、
ピアノ・ソナタ 第50番 ニ長調 作品30-3 Hob.XVI:37
です。名手が弾くとまったく別物に生まれ変わります。
どれもほどよい完成度なので、
一つのコンサートで、
作品30の6曲すべてを取り上げるのも面白いように思いました。
スカルラッティやモーツァルトと組み合わせても良い刺激になるのでは。
ヤンドーさんのピアノ、
ほかの作曲者の演奏もいろいろ聴いていますが、
ハイドンとの相性が一番のようです。
くっきりはっきり、
抜群のテクニックで曲の内面に切り込んでいく演奏で、
ハイドンの面白さに気がつかせてくれました。
※Wikipediaの
「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
「ハイドンのピアノソナタ一覧」
「ハイドンのピアノ曲一覧」
「ホーボーケン番号」の各項目を参照。
※ピティナ・ピアノ曲事典の「ハイドン」を参照。
※ハイドン研究室「クラヴィア・ソナタの部屋」を参照。
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