2011年4月27日水曜日

柳家小三治2 落語名人会10 「あくび指南・不動坊火焔」(1989.5)

今日はこれです。



落語名人会10
柳家小三治〈2〉

「あくび指南」
「不動坊火焔」
(1989年5月31日 鈴本演芸場 第16回柳家小三治独演会)

〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい
〔ディレクター/京須偕充〕
【SRCL 2790】



どちらも丁寧で、模範的な口演です。

二席続けて聴いたからでしょうか、
「不動坊火焔」のほうは、少し間延びした感じになりました。

「あくび指南」はふつうに楽しめました。

恐らく二席とも、実演を目の当たりにしたほうが、
数倍おもしろくなりそうな話だと思いました。



柳家小三治
「あくび指南」89-5/31◯
「不動坊火焔」89-5/31△


(※あくまで個人的な、一時的な感想として)

2011年4月26日火曜日

柳家小三治9 落語名人会9 「富久」(1993.1)

落語が好きです。

聴き始めて、まだ2,3年。
聴くだけで、自分でやってみるわけでもありませんが、
主にCDで、過去の名演を楽しんでいます。

まず好きになったのは、
五代目古今亭志ん生
それから、
十代目柳家小三治
です。

今日聴いたのはこれ。



落語名人会9
柳家小三治〈1〉

「富久」
(1993年1月31日 鈴本演芸場 第28回柳家小三治独演会)

〔お囃子〕樋田ひさ/小口けい
〔ディレクター/京須偕充〕
【SONY RECORDS/SRCL 2789】


ひとつひとつ丁寧に、
しかし滞ることはなく、
ほどほどの間合いで、
おもしろおかしく最後まで聞かせてくれる、
模範的な口演だと思います。


これでもか、と
ねじ伏せるように笑わせるのではなく、

絶妙の間合いで、
心の奥のほうから自然に笑わせてくれる、

ごくふつうの、
ほのぼのとした笑いが、
いい感じで好きです。


柳家小三治
「富久」93-1/31◯

2011年4月20日水曜日

ヘッツェルのブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集

久しぶりに聴きなおして、やっぱりいいなあ、と惚れなおしました。

ブラームスのヴァイオリン・ソナタは、
ウィーン・フィルのコンサート・マスター、ゲアヘルト・ヘッツェルさんが、
登山中の不慮の事故で亡くなる半年前(1992年1月)に、
ヘルムート・ドイチュさんとともに録音したCDが、
すばらしいです。



ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ
第1番 ト長調 作品78 「雨の歌」
第2番イ長調 作品100
第3番二短調 作品108

ゲアヘルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)
ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)

ウィーン、カジノ・ツェーゲルニッツにて収録。
1992年1月23~28日
【PCCL00272】



50歳を過ぎ、満を持して取り組んだ最初のソロの録音です。
引続き、モーツァルトとベートーヴェンのソナタも録音する予定であったそうです。

「自分を常に作曲家、および作品のしもべであると感じており、
外面的な効果には、いつも不信の念で対していた」という
(ドイチュ、訳:鮫島有美子、CD解説書)
ヘッツェルさんのソロは、

恣意的なところは何もなく、
目立ったことを何もしていないにもかかわらず、
ただそのままで、心の内側からの、熱い想いが、
つよく心に染みわたってくる演奏です。

あらゆる気遣いと、優しさに満ちた、
しかし人一倍の心の強さにも支えられた
熱い音楽に励まされて、
またがんばろう、と思うのでした。


穏やかに心かはして君とゐる
雨の歌へと祈りを捧ぐ

静かなるその悲しみを受け止めて
春につらなる轍(わだち)を想ふ

ともにゐて恋に涙を流しつつ
空を仰いで微笑みとなる

2011年4月4日月曜日

内田光子のモーツァルト:ピアノ協奏曲集(新盤)

最近のお気に入りは、

内田光子氏(ピアノ、指揮)とクリーブランド管弦楽団

の組み合わせによる、モーツァルトのピアノ協奏曲集です。

現在CD2枚出ています。

《1枚目》

モーツァルト
ピアノ協奏曲 第24番ハ短調 K.491
ピアノ協奏曲 第23番イ長調 K.488
録音:2008年12月4&5日
クリーブランド、セヴェランス・ホール
【UCCD-1246】


《2枚目》

モーツァルト
ピアノ協奏曲 第20番 二短調K.466
ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調K.595
録音:2010年4月15、17&18日
クリーブランド、セヴェランス・ホール
【UCCD-1277】


実は1枚目を聴いたとき、
旧盤に比べて意外にあっさりとした印象で、
その意図をはかりかねていたのですが、
2枚目を聴いて、ようやくわかって来ました。

録音の場所や方法にもよるのでしょうが、
新盤のほうが、ホールの残響が少ないようで、
オケの華麗な印象が消え、
楽器の素材そのもので勝負している感じがあります。

パッと聴いて、
オケの響きが耳により心地よく感じられるのは、
明らかに旧盤のほうですが、
新盤の響きがデッドというわけでもなく、

本来鳴るべき音が見通しよく聴こえて来る分、
内田光子氏のピアノの演奏スタイルを、
そのままオーケストラでも実現しようとしたように感じられました。

肝心のピアノのほうも、
もともと派手なこれみよがしの表現を好む方ではないので、
純粋無垢な響きと、無駄を削ぎ落した演奏スタイルをさらに突き詰めて、
心の深みへと沈みこみながら、軽さもある、
モーツァルトの内実を浮き彫りにした名演だと思います。


音楽の深まりは、明らかに旧盤を上回っているのですが、
はじめてこの曲を聴く人が聴いて、激しく心を揺さぶられるようなあざとさはなく、

静かな場所で、心落ちつかせて、ゆっくり聴きいているうちに、
徐々にその魅力にはまり込んでいくような演奏です。


今宵も、モーツァルトに感謝。

夜に一人
モーツアルトを聴きながら
君の御霊にふれる一時

何ごとも申さぬうちに
ただ一人
君の孤独と対話してゐる

前を向いて
心のうちを見通して
その音楽を受け止めてみる