2012年3月29日木曜日

ヴァルヒャのバッハ:オルガン作品全集(旧盤)その2



J.S.バッハ:オルガン作品全集
CD-2
1) 前奏曲とフーガ ハ長調 BWV531
2) 前奏曲とフーガ ニ長調 BWV532
3) 前奏曲とフーガ ホ短調 BWV533
4) 前奏曲とフーガ ヘ短調 BWV534
5) 前奏曲とフーガ ト短調 BWV535
6) 前奏曲とフーガ イ長調 BWV536
7) 前奏曲とフーガ ト長調 BWV541
8) 前奏曲とフーガ イ短調 BWV543

ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン)

録音:1952年(1)、1950年(2-8)
オルガン:カッペル、聖ペテロ=パウロ教会
【Membran 223489】CD-2

3月は、ずっとこれを聴き続けていました。

6つのトリオ・ソナタと比べれば、
ずっと華やかな、聴き映えのする曲が並んでいます。

わりと長期にわたって、
「前奏曲とフーガ」という形式に取り組んでいたようで、
CDでもう1枚分、同じ形式のものが集めてあるので、
来月はそちらを聴きます。


武久源造さんのCDで聴いた〈BWV535〉を除けば、
はじめて聴く曲ばかりなので、

内容をどうこういう段階ではないのですが、
ひと月聴いて、ようやく各曲に馴染んできて、

それぞれに魅力的な音楽であることはわかって来ました。


平均律クラヴィーア曲集
(これも前奏曲とフーガです!)のように、
調声によってうまくまとまっているわけではないので、

コンサートでも、まとめて聴く機会はあまりないでしょうが、
聴けば聴くほど味わい深く感じられる名曲がそろっていると思います。


街の教会にあるオルガンを前に、
1曲1曲これらの作品を練り上げていく生活。

バッハさんも、数百年をへて、
まさか今、こんなかたちで私が聴いているとは
想像だにしなかっただろうな。

ではCD3枚目、
「前奏曲とフーガ」の後半に参ります。

2012年3月28日水曜日

朝比奈隆&東響のブルックナー:交響曲第9・7番(1996&94)



ブルックナー
交響曲第9番ニ短調(原典版)

東京交響楽団
朝比奈隆(指揮)
録音:1996年4月13日、東京、サントリーホール
【PCCL-00362】DISC6


朝比奈さんが東響と録音した
ブルックナーの交響曲選集を持っていたのを思い出して、
久しぶりに聴き直してみました。


はじめに聴いた第9番が、
大阪フィルの2枚(1995・2001年録音)を上回る名演で、
とても嬉しくなりました。

最初、弦が少し弱いかな、と感じたのですが、
よく聴くと、大阪フィルとは鳴り方が違うだけで、

より洗練された絹のような響きで、
ブルックナーにはむしろこちらの方が
向いているような気がします。


この演奏を特徴づけるのは、
金管の大健闘だと思います。

ブルックナーの交響曲で、
ここまで心地良く金管が響いてくるのは、
私には初めての経験でした。

どれだけ強奏しても、
耳にうるさく響くことがなく、

オルガンのようにやわらかく共鳴し、
耳に心地よく、朗々と響き渡るので、

美しいハーモニーを心から楽しむことができました。


肝心の演奏も、
大阪フィルとの1995年の録音が
もう一押し深められており、

オケの調子も関係しているのでしょうが、
全体で3分ほど長くなっています。


まだまだ
聴いていない演奏も多いので、
さらにすぐれた演奏もあるのでしょうが、

とりあえず、
これだけ聴ければ私には十分です。




なお、
同じセットの第7番も聴いてみました。

ブルックナー
交響曲第7番ホ長調(ハース版)

東京交響楽団
朝比奈隆(指揮)
録音:1994年4月23日、東京、サントリーホール
【PCCL-00362】DISC3


第9と同じように、
金管がよく鳴る演奏ですが、

こちらは若干ですが
強奏時に濁りがあるようで、

第9と同じレベルで楽しむことはできませんでした。


大阪フィルとの1992年録音よりは
ずっと聴きやすい優れた演奏なのですが、

大阪フィルとの極上の2001年録音
を知っている身からすれば、

東響との1994年録音は、今一歩の感がありました。

2012年3月21日水曜日

Bruno Walter Conducts Mozart その6

ブルーノ・ワルター(1876-1962)さんの
モーツァルト(1756-1791)作品集、
最後の6枚目を聴きました。



CD-6
モーツァルト
1) 交響曲第25番ト短調 K.183(173dB)
2) 交響曲第28番ハ長調 K.200(189k)
3) 交響曲第29番イ長調 K.201(186a)

録音:1954年12月10日(25番)、
   1954年12月3日(28番)、
   1954年12月29日(29番)

ブルーノ・ワルター(指揮)
コロンビア交響楽団
【SONY 8 86079 06832 2】CD5


25番は、短調のモーツァルトの魅力が凝縮された作品です。

ワルターの達観した感じの穏やかさも加味されていて、
重々しさよりも清々しさを感じさせる、
完成度の高い名演だと思います。

28・29番は曲自体が若干軽めですが、
17・18歳のときの作品であることを考えれば、
すぐれて温か味のある華やかな佳曲で、

曲の魅力を十分に伝える演奏だと思います。


ワルターさんの個性を
強く押し出した印象はないのですが、

肩の力のぬけた軽やかさに、
穏やかな雰囲気をただよわせた演奏は
やはり独特の面白さがあります。


また日を改めて、
聴き返したいと思います。

2012年3月19日月曜日

宇野功芳&新星日響のブルックナー:交響曲第8番

功芳のブル8 ブルックナー:交 

アントン・ブルックナー
交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)

新星日本交響楽団
宇野功芳(指揮)

録音:1992年4月9日、東京、サントリーホール
【PCCL-00162】



宇野さんのブルックナーを
久しぶりに聴き直してみました。

発売当時に聴いた記憶では、
ほどほどの印象しかなかったのですが、

今回じっくり聴き直してみると、

よく考えられた上での指揮者の解釈が、
オーソドックスな流れの中で実現しており、

曲との相性の良さを感じさせる、
楽しく美しい、ブル8の名演でした。


ブルックナーでは、
それ「らしい」響きを作れるかどうかが
何より大切ですが、

金管を全体にしぼり気味にして、
弦主体の響きを作り出しているため、

ブルックナーらしい響きが途切れることなく、
安心して演奏を楽しむことができました。


理想をいえば、
金管に目いっぱい吹いてもらっても、
全体として美しく柔らかなハーモニーが実現できると良いのでしょうが、

現実的な対策としては
十分ありだと思いました。


8番が意外に良かったので、
新星日響との第4番「ロマンティック」も聴き直してみましたが、

こちらはブルックナーとして
全体的に調和がとれた録音になっておらず、
また今一つ腰が座っていない印象で、
聴き通すのがつらかったです。



素朴な感じのブル8がお好きでしたら、
このCDはなかなかの名演だと思います。

2012年3月12日月曜日

朝比奈隆&大阪poのブルックナー:交響曲第9番(1995&2001)

オーストリアの作曲家
ヨーゼフ・アントン・ブルックナー
(Josef Anton Bruckner, 1824-1896)
の交響曲第9番。

朝比奈隆さんと大阪フィルのコンビで、
2001年盤(新盤)と1995年盤(旧盤)の2種類を聴きました。



ブルックナー
交響曲第9番ニ短調(原典版)

大阪フィルハーモニー交響楽団
朝比奈隆(指揮)

録音:2001年9月24日、大阪・ザ・シンフォニーホール
【OVCL-00317】





録音:1995年4月23日、大阪・ザ・シンフォニーホール
【PCCL-00341】



これは少し評価がむつかしいです。

音質については、
新盤が断然優れていると思います。

旧盤は、ときおり金管の強奏が耳につき、
うるさく感じられることもあったのに対して、

新盤では、
響きが全体的にまろやかになって、
強奏でも決してうるさく響くことはなく、
オルガンのような響きを楽しむことが出来ました。

曲目がブルックナーであることを考えると、
旧盤の耳につくうるささは、あまり評価できないように感じました。


演奏については、
好みの問題もあると思いますが、

完成度の高いのは、旧盤の方でした。

音質を聴き手の側が適当に調整できるのであれば、
旧盤の方が、より模範的な演奏を実現していると思います。


新盤では、
よほど体調が良くなかったのか、
ときおり造形に乱れが出、

オケ全体で朝比奈さんを支えているような所があって、
完成度では若干問題が残る演奏になりました。

しかしその分、
指揮者とオケが必死で演奏する様子が
録音からもよく伝わってきて、

聴いていて感動させられるのは、
新盤の方でした。


新盤の方はより肩の力が抜けて、
のんびりじっくりと味わうように
曲が進行していく感じがあるのですが、

演奏時間はほとんど変わらず、
この曲の別な魅力を教えていただいた気がしました。


1度目は感傷的になっているだけかと思いましたが、
2度、3度と聴きなおしてみても、
私の好きなのは新盤の方でした。


朝比奈さんの他の録音も、
聴いてみようと思います。

2012年3月6日火曜日

ヴァルヒャのバッハ:オルガン作品全集(旧盤)その1

ドイツの鍵盤奏者
ヘルムート・ヴァルヒャ(Helmut Walcha, 1907 - 1991)による
1回目のJ.S.バッハ:オルガン作品全集、

CD10枚組で2000円を切っていたのに驚いて、
衝動買いしてしまいました。

モノラル録音ですが、
音質も非常によく、へたなステレオよりも、
安心して聴いていられる上質なものだったので、
良い買い物をしたと喜んでおります。

この機会に、ドイツの作曲家
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
(Johann Sebastian Bach, 1685-3/31生 1750-7/28没)
のオルガン作品を、ひと通り聴いていきたいと思います。



J.S.バッハ:オルガン作品全集

CD-1
1) トリオ・ソナタ第1番変ホ長調 BWV525
2) トリオ・ソナタ第2番ハ短調 BWV526
3) トリオ・ソナタ第3番ニ短調 BWV527
4) トリオ・ソナタ第4番ホ短調 BWV528
5) トリオ・ソナタ第5番ハ長調 BWV529
6) トリオ・ソナタ第6番ト長調 BWV530

ヘルムート・ヴァルヒャ(オルガン)

録音:1947年(1・6番)、1950年(2・4番)、
   1952年(5番)、1950・52年(3番)

オルガン:リューベック、聖ヤコビ教会(1・6番)
     カッペル、聖ペテロ=パウロ教会(2~5番)

【Membran 223489】CD-1



トリオ・ソナタとは通常、
2つの旋律楽器と1つの通奏低音とに分かれているのを、
オルガン1台で演奏するように作曲したものです。

1727年頃に作曲されたようなので
バッハ40代前半の作品ということになります。
(磯山雅『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』講談社学術文庫、223頁参照)

急―緩―急の3楽章でシンプルに作曲されていて、
それほど演奏効果に富むわけではないので、
コンサートで一気に全曲取り上げることも
少し難しいように思われますが、

どれもほどほどに充実しながら、
こちらの思索を邪魔しない音楽なので、
読書や仕事の仲間にもってこいかもしれません。

正直なところ、
ものすごく魅了された、とは言えないと思いますが、
ヴァルヒャの虚飾を排した、
でもそれなりに歌心のある演奏で、
曲のおもしろさは感じることができました。

通常のトリオ・ソナタとして、
3、4名で演奏するように編曲しなおしたものもあるようなので、
いずれそちらも聴いてみたいと思いました。