2015年3月9日月曜日

井上道義&大阪フィルのショスタコーヴィチ:交響曲第4番(2014年録音)

井上道義(1946.12-)氏の指揮する
大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、

ロシアの作曲家
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906.9-1975.8)の
交響曲第4番を聴きました。

井上道義氏の
首席指揮者就任披露公演として行われた
大阪フィルハーモニー交響楽団第477回定期演奏会
のライブ収録で、

指揮者67歳の時(2014.4)の録音です。


ショスタコーヴィチ
交響曲 第4番 ハ短調 作品43

大阪フィルハーモニー交響楽団
井上道義(指揮)

録音:2014年4月4・5日、大阪、フェスティバルホール
【OVCL-00550】2014年11月発売


交響曲 第4番 ハ短調 作品43 は、

29歳のときに作曲(1935.9-1936.5)、
30歳のときに初演を予定していたものの(1936.12)

1936年1月に、
ソ連共産党中央委員会機関紙『プラウダ』誌上で、
ショスタコーヴィチ個人への批判が行われたことから、
初演が撤回されました。

ソ連共産党に批判されたということは、
粛清(殺害 or シベリア送り)の危機にあったのでしょうか。

破棄はされなかったものの初演は遅れ、
25年後の1961年12月に初演されました。

これは作品112の交響曲第12番が、
初演(1961.10)されて間もなくの時期に当たります。


  ***

ショスタコーヴィチの交響曲は、
バルシャイ&ケルン放送響の演奏で、
全曲を1曲ずつ聴き進めているところですが、

長く待ち焦がれてきた
井上道義氏のショスタコーヴィチ、
しかも4番が聴けるとのこと、
購入し聴いてみました。


最初のうち、
バルシャイ盤の記憶が残っていたせいか、

オケの機能性の面でいまいちな印象だったのですが、
聴き込むにつれ気にならなくなりました。

安全運転をしない井上の指揮のもと、
大阪フィルが大健闘していることは確かです。


バルシャイ盤では、
わざと熱くなるのを避けて、
楽譜をそのまま再現するだけでも
十分凄い作品であることが示されていたのに対して、

楽譜を尊重しつつも、
その奥にある何かを求めて、

早めのテンポでオケを煽りつつ、
全体像を一筆書きにする井上のスタイルは、

バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの
「革命」を思い起こさせました。


もう10年前なら、
あるいは若さゆえの軽さを感じさせたかもしれませんが、

もう60代後半の井上さん、

中身のぎっしりつまった
渾身の名演となっていると思います。

わかりやすさでは恐らく随一ではないかと。


ぜひこの機会に、
大阪フィルとのコンビで、
ショスタコーヴィチを1曲でも多く録音していただきたいです。

井上道義氏のショスタコーヴィチは、
特別だ、との認識を新たにしました。

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