2016年11月7日月曜日

松坂屋美術館の「平木コレクション 生誕220年 歌川広重の世界―保永堂版東海道五十三次と江戸の四季―」展

去る11月2日(水)、
秋休みの最終日に、
中区栄の松坂屋美術館まで、

「平木コレクション 生誕220年
 歌川広重の世界
 ―保永堂版東海道五十三次と江戸の四季―」展

を観に行ってきました。

 ※日程 2016年10月22日(土)~11月20日(日)
 ※主催 松坂屋美術館、日本経済新聞社、テレビ愛知、
     公益財団法人平木浮世絵財団
 ※企画協力 株式会社アートワン

歌川広重(1797-1858)の代表作
『東海道五十三次』をまとめて観る機会はこれまでなく、
しかも初摺(保永堂版)で観られるとのこと、
楽しみにしていたのですが、

これまで観てきた浮世絵の展示の中で、
一番といってよいレベルの質の高い作品がたくさん並んでいて、
非常に充実した時間を送ることができました。

ここ数年訪れてきた展示の中では、
疑いなくベストの内容でした。


  ***

歌川広重について、
最初に意識するようになったのは、

学生の時に、
田中英道著『日本美術全史』(講談社、1995年6月)を読んでからのことです。

「浮世絵の最後の名匠は
 一七九七年(寛政九年)生まれの
 歌川広重である。

 彼はすでに「明治維新」まで十年足らずの
 一八五八年(安政五年)に亡くなっているから、
 江戸時代の最後の画家と言うべき人物と言える。

 彼は北斎の世界の風景画のジャンルを、
 平明にしたといってもよいが、
 そこにさらにポエジー(詩情)を加えて、
 人気を博したといえるであろう。」

「一八三二年(天保三年)、
 広重は幕府の一行に随行して東海道を歩き、
 変化に富む沿道の様子をつぶさに見ることが出来た。

 そしてその実見をもとに一八三三年、
 保永堂版『東海道五拾三次』を出版した。

 彼が一幽斎より一立斎に名を改めたのも、
 これによって立とうとする心の表れかもしれない。

 これは広重が、
 北斎と異なった表現力を示した
 最初の傑作と呼べるものであろう。」

(以上、田中『日本美術史』344・348頁。改行はブログ編者による)

今回、実物を観てみると、
ハッとさせられる斬新な構図にまず目を奪われました。

風景画の構図からして
有無をいわせぬ説得力があるのは、
広重意外にあまり思い浮かびません。

斬新さは時に奇抜さのみを追い求める方向へ傾きがちですが、
広重の作品からはそうしたグロテスクな要素は感じません。

誰にでも受け入れられやすい平明さと、
すっきりとした清明な青色が印象に残りました。

観えるものをそのまま描く
西洋の印象派の風景画とは随分違いますが、

風景画家としての広重の存在は、
自分のなかでいっそう大きくなって来ました。


  ***

今回、展示された作品数が多すぎ、
観ているうちにお腹いっぱいになって、
自分にとって特別な作品を選ぶことは出来ませんでした。

展示期間中に、
ぜひもう一度来ようと思っていたのですが、
仕事が忙しく再訪はかないませんでした。

データ満載の図録は手元にあるので、
次の機会までくりかえし観返したいと思います。

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