2017年7月10日月曜日

横山幸雄のショパン:ピアノ独奏曲全集 その12(2011年録音)

横山幸雄(1971年2月-)氏による

ポーランド出身の作曲家
フレデリック・フランソワ・ショパン
(1810-1849)のピアノ独奏曲全集
12枚目を聴きました。


プレイエルによる
ショパン・ピアノ独奏曲全曲集〈12〉

◯3つのマズルカ 作品56
(1843年作曲、44年出版)
 ①第1番 ロ長調
 ②第2番 ハ長調
 ③第3番 ハ短調

◯3つのマズルカ 作品59
(1845年作曲、45年出版)
 ④第1番 イ短調
 ⑤第2番 変イ長調
 ⑥第3番 嬰ヘ短調

◯3つのマズルカ 作品63
(1846年作曲、47年出版)
 ⑦第1番 ロ短調
 ⑧第2番 ヘ短調
 ⑨第3番 嬰ハ短調

◯晩年の3つの最後のマズルカ
 ⑩イ短調 WN60(1846) op.posth.67-4
 ⑪ト短調 WN64(1848) op.posth.67-2
 ⑫ヘ短調 WN65(1849) op.posth.68-4

⑬ポロネーズ第7番 変イ長調 作品61《幻想ポロネーズ》
(1845-46年作曲、46年出版)

◯2つのノクターン 作品62
(1846年作曲、46年出版)
 ⑭第1番 ロ長調
 ⑮第2番 ホ長調

◯3つのワルツ 作品64
(1846-47年作曲、47年出版)
 ⑯第1番 変ニ長調《子犬のワルツ》
 ⑰第2番 嬰ハ短調
 ⑱第3番 変イ長調

⑲舟歌 嬰ヘ長調 作品60
(1845-46年作曲、46年出版)

横山幸雄(ピアノ)
使用楽器:プレイエル(1910年製)
録音:2011年10月17、18日
上野学園 石橋メモリアルホール
【KICC-924】※2011年11月発売


一度は全曲聴いておきたいと思っていた
ショパンのピアノ独奏曲の全集、
やっと最後まで辿り着きました。

12枚それぞれ別々のコンサートを聴くように
趣向を凝らしてあって、
習作レベルの作品もうまく織り交ぜて、
それぞれに飽きさせない内容に仕上がっていました。

正確無比なテクニックに支えられた
横山氏のショパンは、
楽譜を音楽的に再現した
バランス感覚に優れた繊細な演奏で、

それほど個性にあふれている訳ではないのですが、
聴き込むほどに味わいの増す
完成度の高い全集だと思いました。

初めて聴く分にも、
プレイエルのやさしい音色が耳に心地よく、
BGMとして最適なので、

コルトーのような、
個性あふれるショパンを好まれる場合は、
物足りなく思われるかもしれませんが、

とりあえず一度、
ショパンのピアノ独奏曲をすべて聴いてみたい方には、
第一に推せる全集だと思います。


全体的にみると、
ソナタや舟歌、幻想ポロネーズなど、
規模の大きめの作品になればなるほど
説得力を増していたのに対して、

ノクターンやワルツなど規模の小さな曲は、
悪くないのだけれども、ここからもう一捻り何か、
横山氏ならではの色合いが欲しいと感じました。

そうした中でも、
マズルカとは相性が良いのか、
リズムを強調しない、楽譜を純粋に、
音楽的に再現するタイプの演奏であるにもかかわらず、
不思議と心に残る味わい深さがありました。


横山氏のピアノ演奏、
40代はじめのこの録音をさかいに、
よりいっそう深みを増してきたように思います。

可能ならばもう一度、50代を過ぎたあたりで、
ここからもう一弾スケールアップしたショパンを聴きたいです。

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