アルトゥール・ルービンシュタイン(1887-1982)が、
88歳のときに(1975年)、
アルゼンチン出身のピアニスト兼指揮者
ダニエル・バレンボイム(1942 - )の指揮する
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と録音した
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の中から、
第1番と第2番を聴きました。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音:1975年4月9-11日、ロンドン、キングスウェイ・ホール
【09026-63077-2】
ピアノ協奏曲の第1番と第2番の成立について
少し調べてみましたが、諸説あるようでしたので、
今は、青木やよい著『ベートーヴェンの生涯』
(平凡社新書、平成21年12月)所収の「略年譜」によって、
25歳のとき(1795年)の成立としておきます。
第2番の方が第1番より
10年ほど早く作曲がスタートしたものの、
完成には苦心したようで、
第1番が1801年3月に出版されたのに続き、
同年12月に第2番が出版されたそうです。
※「国立音楽大学 音楽研究所 ベートーヴェン研究部門」
〈http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/index.html〉掲載の
「日本語版・ベートーヴェン作品目録」を参照。
実際よく聴いてみると、
第2番の方が多少まとまりが悪いようにも感じますが、
第3番以降の深化に比べれば、
わずかな違いのようにも思います。
なお、第1番第1楽章のカデンツァは、
ベートーヴェン自身によって3種類残されていますが、
ルービンシュタインは、3番目のを用いています。
***
ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、
ルービンシュタイン(ピアノ)と
バレンボイム(指揮)による「皇帝」が飛び抜けて素晴らしく、
長らく愛聴盤になっているので、
機会があれば他の番号もと思っていたのですが、
国内盤では不思議と再販されず、
聴く機会がなかったので、
輸入盤で手に入れることにしました。
もしかしたら「皇帝」以外は
大したことがないのかもと心配しましたが、
聴いてみて安心しました。
「皇帝」と同じレベルの好調さを維持しており、
明るく穏やかで力強くもある
若々しいエネルギーにあふれた演奏で、
私がこれまで聴いてきた中では、
文句なしにベストの出来でした。
1音たりとも弾き飛ばさずに、
しっかりと弾き切っているところが好ましく、
しかし少しももたつかず、重さを感じさせない、
推進力のある演奏は、
第1・2番の魅力を余すところなく伝えてくれていると思います。
意外に良いのがバレンボイムの指揮です。
重すぎず、軽すぎずの充実した響きと、
力強い推進力に支えられた立派な伴奏で、
これも私の中ではベストの出来です。
バレンボイムの指揮は、
最近の良くなったと言われる録音でも、
私とは肌に合わないものがほとんどなのですが、
このルービンシュタインとの協奏曲は、
例外的に良いです。
近いうちに、第3・4番も聴いてみようと思います。
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