ハンガリーのピアニスト
イエネ・ヤンドー(1952 - )さんの
ハイドン:ピアノ・ソナタ全集、
1枚目は、
ウィーン原典版の通し番号で、
第1番から第10番までを聴きました。
フランツ・ヨセフ・ハイドン(1732 - 1809)
ピアノ・ソナタ 第1番 ト長調 Hob.XVI-8
ピアノ・ソナタ 第2番 ハ長調 Hob.XVI-7
ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ長調 Hob.XVI-9
ピアノ・ソナタ 第4番 ト長調 Hob.XVI-G1
ピアノ・ソナタ 第5番 ト長調 Hob.XVI-11
ピアノ・ソナタ 第6番 ハ長調 Hob.XVI-10
ピアノ・ソナタ 第7番 ニ長調 Hob.XVII-D1
ピアノ・ソナタ 第8番 イ長調 Hob.XVI-5
ピアノ・ソナタ 第9番 ニ長調 Hob.XVI-4
ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 Hob.XVI-1
イエネ・ヤンドー(ピアノ)
録音:1996年2月、ブダベスト、ユニテリアン教会
【Naxos 8.553824】
ウィーン原典版の通し番号を、
ホーボーケン番号で並べなおすと、
Hob.XVI-1(第10番)
*
Hob.XVI-4(第9番)
Hob.XVI-5(第8番)
*
Hob.XVI-7(第2番)
Hob.XVI-8(第1番)
Hob.XVI-9(第3番)
Hob.XVI-10(第6番)
Hob.XVI-11(第5番)
*
Hob.XVI-G1(第4番)
Hob.XVII-D1(第7番)
となります。
途中で抜けているのは、
Hob.XVI-2(第11番)
Hob.XVI-3(第14番)
Hob.XVI-6(第13番)
の3曲です。(次のCDに収録。)
ほかと異なる番号の2曲、
Hob.XVI-G1(第4番)
Hob.XVII-D1(第7番)
は、真作である裏づけの取れない作品で、
特に〈D1〉は偽作とする研究があるそうです。
ただし実際に聴いてみて、
ほかと明らかな違いがあるわけではなく、
とくに〈G1〉は良くまとまった佳曲だと思います。
***
今回、ハイドンの初期のソナタを聴いてみて、
思い浮かんだのは、
毒気を抜いたスカルラッティ。
1楽章完結というわけではありませんが、
簡潔な構成の中で、
前向きで明るく楽しいメロディが次々と展開していき、
思っていた以上に楽しむことができました。
ヤンドーさんのピアノは、もったいぶらずに
どんどん曲の本質に切り込んでくるところが好ましく、
ハイドンにぴったりだと思いました。
これなら眠くなる暇がありません。
ハイドンの音楽には予定調和なところがあるので、
若いころは、今ひとつ良さがわからなかったのですが、
四十を過ぎ、辛いこと、苦しいこと、
悲しいことがたくさん起こる世の中で、
心に平穏をもたらし、
明るく暖かなものとする、
音楽の大切さに気がつくようになると、
ハイドンの音楽が身に染むようになって来ました。
日々こんなに明るく楽しく、透明な心であれたらいいな、と。
※なお、
第4番(Hob.XVI- G1)の第3楽章は、
第5番(Hob.XVI- 11)の第1楽章と同じ曲なので、
CDを聴いていると、突然
同じ楽章がリピートされることになり、
若干戸惑います。
おおむね同じ時期に作曲されたと考えて、
このように並べたのかもしれませんが、
同じ楽章を含む別個のソナタを、
同時に作曲したとも考えにくいので、
コンサートなどで全曲を取り上げる場合に、
頭を悩ますだろうな、と思いました。
今回聴いた印象では、
第4番の方が完成度が高く、
第5番は今ひとつな感じがしました。
(ただし、真作の確証があるのは第5番の方だそうです。)
0 件のコメント:
コメントを投稿