2018年3月4日日曜日

バリリ四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集その1(1952-56年録音)

ウィーン・フィルの第1コンサートマスターを務めた
ウィーン生まれのヴァイオリニスト
ワルター・バリリ(Walter Barylli, 1921年6月~)が、
1945年に、ウィーン・フィルの同僚たちとともに結成した
バリリ四重奏団の演奏で、

結成7年目から11年目
(1952-56年)にかけて録音された
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770年12月-1827年3月)
弦楽四重奏曲全集を聴いていきます。

まずは1枚目、
ベートーヴェン30歳の時
(1801年6月〔1-3番〕・10月〔4-6番〕)に出版された
作品18の3曲(第1・2・3番)を収めた1枚を聴きました。


バリリ四重奏団の芸術~
Disc1
ベートーヴェン:
①弦楽四重奏曲第1番ヘ長調 Op.18-1
②弦楽四重奏曲第2番ト長調 Op.18-2
③弦楽四重奏曲第3番ニ長調 Op.18-3

バリリ四重奏団
 ヴァルター・バリリ(第1ヴァイオリン)
 オットー・シュトラッサー(第2ヴァイオリン)
 ルドルフ・シュトレンク(ヴィオラ)
 リヒャルト・クロチャック(チェロ)

録音:1953年(①②)、1952年(③)。
   ウィーン、コンツェルトハウス、モーツァルトザール
【SCRIBENDUM SC805】2016年7月発売

バリリ四重奏団による
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集は、
定評のある名盤ですので
昔から聴いてみたかった録音ですが、

廉価ではまず手に入らなかったので、
これまでほとんど聴く機会がありませんでした。

今回は総額2000円ほどで手に入りました。

これ以前に、
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、
スメタナ四重奏団1976年から85年にかけて
録音した全集を聴いているので、
今回はそちらと比べながら聴き進めることにしました。



  ***

バリリ四重奏団は、
第1ヴァイオリンがアンサンブルを主導するタイプの、
メロディーラインがはっきりくっきりと浮かび上がる
誰にもわかりやすい演奏で、

この最初の3曲がもつ瑞々しく快活な美しさを、
うまく引き出しているように感じました。

スメタナ四重奏団のほうを聴き直してみると、
第1ヴァイオリンがそこまで前に出ない、
すべてのパートが均等に鳴り響く
調和の取れた演奏で、

これはこれで悪くはないのですが、
バリリを聴いた後だと、多少物足りない思いが残ったことも確かです。

この2つだけ比べるなら、
明らかにバリリのほうが上ですが、
他の四重奏団による録音をほとんど聴いていないので、

他を圧倒しているのかどうかは、
まだ何ともいえません。

初めて聴いて、
一気に心を奪われるかというと、
そこまで別格の何かを備えているようにも思われませんが、

曲本来の魅力を十分に引き出した
好演の一つであることは疑いないでしょう。

とりあえずかなり聴き込んだので、
次の1枚に進みたいと思います。



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