2018年6月11日月曜日

名古屋ボストン美術館の「ボストン美術館の至宝展」

去る6月3日(日)に、
名古屋市中区金山にある名古屋ボストン美術館まで、

「ボストン美術館の至宝展
  東西の名品、珠玉のコレクション」

を観に行って来ました。

名古屋会場は、
2018年2月18日(日)から7月1日(日)まで
主催は名古屋ボストン美術館、ボストン美術館、朝日新聞社となっていました。

 秋の閉館をひかえての展示のはずですが、
 名古屋に来る前に、

 2017年7月20日~10月9日 東京都美術館
 10月28日~2018年2月4日 神戸市立美術館

 の2箇所でも開催されていました。


図録の「あいさつ」には、

ボストン美術館は1870年に設立され、
 1876年7月4日に開館しました。
 (中略)

 ここに紹介するのは、
 同館がハーバード大学と
 共同発掘調査を行った古代エジプトの出土品
 北宋・南宋絵画の名品がそろう中国美術
 アーネスト・フランシスコ・フェノロサや
 ウィリアム・スタージス・ビゲローらが中心となって
 収集した日本美術
 ボストンの裕福な市民が寄贈した19世紀フランス絵画のほか、
 アメリカ絵画、版画・写真、現代美術の分野から選びぬいた
 計80点です。」

とありました(※改行はブログ編者による)。全体の構成は、

 Ⅰ 異国を旅したボストニアンたち
   1 古代エジプト美術
   2 中国美術
   3 日本美術
 Ⅱ 「グランド・ツアー」
    ― ヨーロッパ美術を集めたボストニアンたち
   4 フランス絵画
 Ⅲ アメリカン・ドリーム
    ― 時刻の美術を収集するボストニアンたち
   5 アメリカ絵画
 Ⅳ 同時代の美術へ ―未来に向かう美術館
   6 版画・写真
   7 現代美術

となっていました。


  ***

さすがボストン美術館。

強く印象に残る作品が多数展示されていて、
心に残る、内容の濃い時間を過ごすことができました。

個人的に強く心に残った作品を挙げておきます。

2 中国美術

17 陳容
「九龍図巻」
 南宋、淳祐4年(1244)
 1巻、紙本墨画淡彩

中国絵画の良品をみる機会がほとんどなかったので、
これまで気が付かなかったのですが、
日本の水墨画とは次元が異なるレベルの高さを実感できました。

これ1点でどうこういうわけには行きませんが、
このレベルの作品がたくさん観られるのであれば、
中国の絵画も忘れてはいけないなと認識を新たにしました。

特筆すべきはその保存状態で、
13世紀の絵画がここまでの鮮度で見られるとは驚異的でした。


3 日本美術

23 英一蝶
「涅槃図」
 正徳3年(1713)
 1幅、紙本着色

30-31 与謝蕪村
「柳堤渡水・丘辺行楽図屏風」
 江戸時代、18世紀
 6曲1双、紙本墨画淡彩

中国絵画の鮮烈な印象のあとだと、
中国の焼き直し的な日本の絵画は、
どうしても影が薄くなってしまいますが、

そうした中で、
英一蝶(はなぶさいっちょう, 1652-1724)
という画家の個性に気がつけたのは収穫でした。

細部のつめが今一つな印象で、
強烈な印象を残すところまでは至っていないのですが、

全体的な構図のバランスが絶妙で、
かなり良い印象を受けました。
ほかの作品も見てみたいです。


4 フランス絵画

今回、一番深く印象に残ったのは、
モネの良い作品を4点見られたことです。

方向性の違う4種類の絵が、
それぞれに高い完成度で魅力を放っており、
強く感銘を受けました。

良いもののみ厳選されていたからか、
或いは展示の仕方などに理由があったからか、

名古屋市立美術館でみた時に感じた
若干凡庸な印象が吹き飛びました。

今回展示されていた
すべての作品のなかで、
モネの4点が一番印象深かったです。

41 クロード・モネ
(Claude MOnet, 1840-1926)
「くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊」
 1885年。油彩、カンヴァス

42 クロード・モネ
「ルーアン大聖堂、正面」
 1894年。油彩、カンヴァス

44 クロード・モネ
「睡蓮」
 1905年。油彩、カンヴァス

43 クロード・モネ
「アンティーブ、午後の効果」
 1888年。油彩、カンヴァス


  ***

その他、
コローの絵画が1点。

コローは
仄暗い印象を受けるものが多いのですが、
これは全体的に明るく透明な色調で、
新たな魅力を感じることができました。

37 ジャン=バティスト=カミーユ・コロー
「ボーヴェ近郊の朝」
 1855-65年頃
 油彩、カンヴァス


  ***

もう一人、個人的に好きな
シスレーの作品が2点見られました。

この画家のベストとは言えないものの、
珍しい静物画を見ることができたので、
シスレーの画風を知る上で、
良い機会になりました。

39 アルフレッド・シスレー
「サン=マメスのラ・クロワ=ブランシュ」
 1884年。油彩、カンヴァス

49 アルフレッド・シスレー
「卓上のブドウとクルミ」
 1876年。油彩、カンヴァス


その他、
全体として見せ方のうまい、
深く印象に残る展示でした。

ただ1箇所の美術館の収蔵品だけで、
ここまでの内容を見せられるのは、
他ではなかなか敵わないことだろうと思いました。



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