2016年10月10日月曜日

小澤征爾&水戸室内管のベートーヴェン:交響曲第4&7番(2014年録音)

小澤征爾(1935.9- )の指揮する
水戸室内管弦楽団の演奏で、

ドイツの作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven, 1770.12.16-1827.3)
交響曲第4番と第7番を聴きました。

小澤氏78歳の時
2014年1月17日、5月25日のコンサートをライブ録音したCDです


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
①交響曲第4番 変ロ長調 作品60
②交響曲第7番 イ長調 作品92

水戸室内管弦楽団
指揮:小澤征爾
録音:2014年1月17日(①)、5月25日(②)、水戸芸術館コンサートホールATM
【UCCD-1413】2015年1月発売

①交響曲第4番変ロ長調作品60は、
ベートーヴェン36歳の時(1807年3月)に初演された作品です

②交響曲第7番 イ長調 作品92
43歳の時(1813年12月8日)に初演された作品です


小澤征爾の指揮する水戸室内管弦楽団との《運命》を聴いて、
小澤氏のベートーヴェンも悪くないかもと思い、
4番と7番を収録したCDを購入してみました。

CDで聴く《運命》はよくいえば透明な、
悪くいえば少し気力の衰えを感じさせる演奏で、
無駄のない純音楽的な《運命》として、
究極的なところまで行き着いているとは思うものの、

心を揺さぶられるような感動を味わったかというと、
そこまでではないもどかしさが残りました。

しかし、
サイトウ・キネン・オーケストラとの録音よりも、
繰り返し聴きたくなる味わい深い演奏であったことは確かなので、
第4番と第7番を収録した1枚を聴いてみることにしました。

この中で、
圧倒的な迫力に驚いたのが第7番で、
《運命》の好印象を遥かに上回る名演が繰り広げられていました。

《運命》や第4番では、
室内オーケストラらしい薄い響きが若干気になっていたのですが、
第7番はまるで別のオケが弾いているのではないかと紛うばかりの
分厚い響きで、心を一気に鷲掴みにされました。

ふだんのオーソドックスなスタイルの中から、
一歩突き抜けた感じの物凄い音が溢れ出てきて、
これまで聴いたことのない第7番の世界が広がっていました。


このCDは、
小澤氏の録音に時折感じられる空虚さが微塵もなく、
耳に心地よい響きの充実したオケとともに、
手に汗握る名演が繰り広げられており、
私の中では疑いなく、第7番のベスト演奏の一つになりました。

第4番も、悪くはありません。
《運命》と同じくらいにはいいですし、
サイトウ・キネン・オーケストラとの旧録音より一歩、
解釈に深まりは感じられます。

しかしながら、
ほかを圧倒する何かがあるのかといわれると、
一貫してオーソドックスなスタイルを貫かれているだけに、
あえてこの第4番でなければならない特徴には欠けるように思われました。

小澤征爾&水戸室内管弦楽団のベートーヴェン、
第7番>《運命》>第4番
の順でお薦めです。

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